維新、一部会派からは反対も…“身を切るため”大阪市議会議員定数を一気に14%、11削減案を提出へ
大阪維新の会が大阪市議会の議員定数について11の選挙区から1ずつ減らす素案をまとめました。しかし、“身を切るため”に一気に14%も減らされる議席をめぐり波紋もー。
有吉優海記者「大阪市議会の各会派の幹部が次々入室していきます。市議会の定数削減についての協議が行われます」
15日行われた各会派の幹部が参加した非公開の会議。維新がこの場で示したのは現在81ある市議会の定数を一気に14%、11議席も減らすという素案です。
その内訳は、いずれも定数が6から3の選挙区で平野区、城東区、東淀川区、住吉区、北区、生野区、住之江区、東住吉区、西淀川区、東成区、旭区です。
これらの選挙区から選出される議員が1人ずつ減ることになるこの案。維新は来月、市議会に提出し、次回2027年の選挙から実施したい考えです。
大阪維新の会大阪市議団の岡崎太幹事長「身を切る改革が過半数を得たことで、ようやく実行に移せる。大阪市議会全体が新しい方向に向かって走り出す、第一歩の形になるんじゃないかという手ごたえを感じている」
「身を切る改革」を標ぼうしてきた維新が、先月の大阪市議会議員選挙で過半数を獲得したあと、すぐにとりかかった定数削減。しかし、維新と長年対立している、この政党はー。
共産党大阪市議会議員団の山中智子団長「ものすごい乱暴だなと思います。今度11減となると、少数の人がいなくなるという点では、市民の声を押しつぶすということが一番問題」
こうした指摘に対して、党の顔のこの人は「自らもリスクを背負っている」という点を強調します。
大阪維新の会・吉村洋文代表「やはり最下位で当選している議員も維新の中で多くいます。そうすると議員定数の削減となれば、普通に考えれば、その候補は厳しくなってくる。だから維新にとっても厳しい案です。だからといってやらないというのは既得権そのものです」
「わが町の議員が少なくなる」。対象となった選挙区に住む人たちの受け止めは複雑です。
定数削減が検討されている東成区在住の70代女性「経費削減になるんだったらいいんじゃない。(議員数が)多くても声が届いてるとはような気がしないんだけど」
80代女性「人数が多い意見が出て初めて生きるからね、住民にとって」
削減によって、大阪市議会の議員一人に対する有権者の数は今より約4000人多い3万2000人余りに。近畿の4つの政令指定都市の中で最も多くなり、市民一人ひとりの声が議会に届きずらくなるという懸念が出ています。
地方議会と有権者の関係を長年調べている研究者は「慎重に検討すべきだ」と指摘します。
大阪経済大学・柏原誠准教授「私はこれはメリットはあまりないと思っています。維新を支持する人、あるいは維新の会にとっても自分たちをチェックする勢力がそんなに小さくなっていいのか。むしろいろんな幅広い視点からチェックしてもらって、それで修正をかけていった方が政策としてはみんなに受け入れてもらえてスムーズに進むのでは」
地域の声を議会に届ける市議会議員を一気に減らすという今回の素案。“数の論理”で進めるだけでなく、丁寧な議論が求められています。
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