“ロシア軍糾弾”で存在感高めるプリゴジン氏その狙いは 元「ワグネル」指揮官が語る(2023年5月14日)

“ロシア軍糾弾”で存在感高めるプリゴジン氏その狙いは 元「ワグネル」指揮官が語る(2023年5月14日)

“ロシア軍糾弾”で存在感高めるプリゴジン氏その狙いは 元「ワグネル」指揮官が語る(2023年5月14日)

大規模な反撃をめぐり情報が錯綜するウクライナ情勢。
そんな中、ロシア軍を敵視する言動で注目されるのがロシアの民間軍事会社ワグネルの創設者プリゴジン氏です。
番組ではワグネルの元指揮官を取材、その狙いを探りました

▽ウクライナ新兵器「ストームシャドー」使用か
黒煙を上げるビル。場所はロシアが一方的に併合を宣言し、占拠しているウクライナ東部のルハンシク。
(被害にあった住民)「大爆発があって、窓が割れて、窓グラスの破片が飛んで、ドアも。私は子どもの身を隠して守った」
(被害にあった女性)「子どもは小さい。5歳です」
Q.(子どもは)怖がっていました?
「とても怖がり、みんなに『ミサイルだよ!』と叫びました」
12日、2つの工場などが攻撃を受け、子ども6人が負傷したといいます。ロシア側は、ウクライナ軍がイギリスから供与された長距離巡航ミサイル「ストームシャドー」を使用したと発表。回収された部品には確かに「ストームシャドー」の刻印が…もし、本当ならば、11日にイギリスが供与を発表した翌日に使ったことになります。「ストームシャドー」の射程距離は250kmを超え、これまでウクライナに供与されていたアメリカ製の「ハイマース」(80km)の3倍以上で、ウクライナ国内から撃っても実効支配されている二つの共和国やクリミア半島が射程圏内に入り、ロシアが誇る黒海艦隊も狙えるなど「戦争のゲームチェンジャー」になると言われています。
また、ロシア西部でもロシア軍機が墜落。タス通信によると、13日、ロシア西部のブリャンスク州でロシア軍のヘリコプターが墜落、搭乗していた2人が死亡したといいます。
「これ見て、なんだろう、よくわからないね」
「きっとウクライナのでしょ」
ロシアの独立系メディアは、ブリャンスク州内でロシア軍のヘリコプター2機、戦闘機2機の合わせて4機が墜落し、搭乗員9人が死亡したと報じています。これまでのところ、ロシア国防省からは墜落に関する発表はなく、詳しい原因は分かっていません。

▽「ウクライナの負傷兵が大幅減少」
およそ10カ月に渡り戦闘が続く、東部の激戦地バフムト…ロシア国防省は12日、バフムトから部隊の後退は認めたものの、それはより有利な陣地に“再編”したと発表。これに対し、ロシアの民間軍事会社ワグネルの創設者プリゴジン氏は、再編ではなく“逃亡”だと痛烈に批判しました。ロシアが“内輪もめ”で混乱する中、ウクライナの反転攻勢は着々と…。
(ウクライナの軍事専門家ミハイロ・サモシ氏)「昨年11月から反転攻勢の準備に入っていました。つい最近、本格的な作戦が始まりました。例えば高精度な武器を使った作戦や一部地域では特殊部隊を使った作戦、攻撃用ドローンを使った作戦なども、すでに始まっています」
バフムトから20kmほどの場所で、衛生兵として負傷兵のケアを続けているサシャさん。最近の戦況の変化についてこう話します。
(ウクライナの衛生兵サシャさん)「部隊の負傷者は激減しています。侵攻初期より1桁減りました。軍隊のレベルが上がったんだと思います」
弾薬不足が伝えられるロシア軍ですが、攻撃がなくなったわけではありません。
(ウクライナの衛生兵サシャさん)「丈夫な地下室だったから助かったけど、今ここにいない可能性もあった。攻撃は減っていません。ずっと続いています。」
攻撃するのはロシアの正規軍ではないといいます。
(ウクライナの衛生兵サシャさん)「ロシア正規軍は危険なところへ来ない。前線にいるのはワグネル軍です。ワグネルは後退せず犠牲者が出ても気にせず前進します」

▽プリゴジン氏“ロシア軍糾弾”で存在感
ウクライナの反撃が続く中、この人物は…
(民間軍事会社「ワグネル」創設者プリゴジン氏)「弾薬が70%不足している。ショイグ(国防相)、ゲラシモフ(ロシア軍参謀総長)弾薬は一体どこにあるんだ!」
「状況を良く見せるために発表しようとする国防省の試みは、ロシアにとって全体的な悲劇をもたらすだろう。すぐに嘘をやめなければなりません。逃げた場合は、新たな防衛線を構築しろ」
ここに来て、毎日のようにロシア国防省を公然と非難し、存在感を増すのは、民間軍事会社ワグネルの創設者ブリゴジン氏。一体何者なのでしょうか…
「ワグネルプーチンの秘密軍隊」の著者で元ワグネルの指揮官・プリゴジン氏の補佐役も務めていたガビドゥリン氏はこう話します。
(元ワグネル指揮官マラート・ガビドゥリン氏)「(プリゴジンは)ロシアの愛国的な考えを正しいと信じている人です。高貴で困難に陥った仲間を見捨てない人ですが、同時に命をかけた争いに送ることもできます」
1961年、旧ソ連のレニングラード、現在のサンクトペテルブルクに生まれたプリゴジン氏。プーチン大統領の出身地でもあるこの地でホットドッグの販売から始まり、洋上レストラン経営に乗り出します。このレストランは、プーチン大統領のお気に入りとなり、2002年には当時のアメリカ・ブッシュ大統領との会食会場に選ばれます。これは、その時の写真。テーブルを囲む米ロ、二人の大統領。プーチン大統領の後ろには、プリゴジン氏の姿も…2006年に開かれたG8の夕食会。ここでもプーチン大統領の近くに…親密さを深めていったプリゴジン氏。いつしか、“プーチンの料理人”と呼ばれるようになり、その後、政権との密なパイプをいかし、学校やロシア軍への配給など、ビジネスを広げていきます。

プリゴジン氏が民間軍事会社を創設したのは2014年。ロシアが一方的にクリミア半島を併合したその年です。
(元ワグネル指揮官マラート・ガビドゥリン氏)「プリゴジンは2014年から不安定な政治的状況のある地域で自身のプロジェクト実現のためにワグネル・グループを利用したと思います。シリアとの内戦に参加したことで利益を得たとされています。その後は、中央アフリカ共和国でロシアの影響力を拡大するための計画を実施しながらプロジェクトもおこなっています」
去年2月のウクライナ侵攻以降、ロシアの民間軍事会社は乱立。イギリスの調査団体によると37社に上るといいます。その中でも一番大きいのがワグネル。プリゴジン氏の地元サンクトペテルブルクには、去年11月ワグネルの活動拠点となる巨大なビルが完成しました。

受刑者を次々と前線に送り込んでいるといわれるワグネル。兵士の募集要項を見ると、22歳から60歳までの愛国者で強い精神を持った方、報酬は、月額日本円でおよそ42万円(24万ルーブル)で、さらに173万円(100万ルーブル)のボーナスがでる可能性ありと記載されています。採用センターに直接電話してみると…
Q.今は採用状況はどうですか?大勢応募してきますか?
(採用センターの担当者)「十分な数です」
Q.十分とはどれくらい?頻繁に連絡はありますか?
「連絡はありますよ」
Q.何人くらいの応募がきているか答えられますか?
「いいえ、それは機密事項です」
Q.軍事経験がない場合どうなりますか?
「訓練します」
Q.契約はどれくらいの期間ですか?
「それは機密事項です」
Q.訓練期間も機密?すぐには派遣しない?
「訓練は必須です。3カ月あります」
Q.武器を持たない仕事もありますか?
「あります」

▽プリゴジン氏の思惑は…“元指揮官”語る
表舞台に登場したワグネル。モスクワ市内ではワグネルマークのTシャツが売られていました。
(元ワグネル指揮官マラート・ガビドゥリン氏)「ワグネルが軍事作戦に参加したことはロシアの国家体制の危機の表れです。(ワグネルの)主な目的はロシアの最高指導者の影響力を国外に広げること」
プーチン大統領と蜜月のプリゴジン氏、その“野望”とはー。
(元ワグネル指揮官マラート・ガビドゥリン氏)「プリゴジンは大統領になることを特に目指していません。現在、彼は政治的なキャリアを築いています。彼にとっての利益は、特定の政治勢力を率いることです。政治的地位はとても有利です。責任を取らずにすべてを得ることができます。プリゴジンがこの戦争に参加する理由は、命令されたことに加え、ドンバス工業団地の利権を得るためです」

5月14日『サンデーステーション』より
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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