【多極化】プーチン氏が“戦勝記念日”で使った狙いは? 演説から透ける“狡猾さ”

【多極化】プーチン氏が“戦勝記念日”で使った狙いは? 演説から透ける“狡猾さ”

【多極化】プーチン氏が“戦勝記念日”で使った狙いは? 演説から透ける“狡猾さ”

ロシアの戦勝記念日の式典で、プーチン大統領が演説。初めて「多極化する世界」という言葉を使いました。中国の習近平国家主席との会談で多く出てきた言葉で、マイブームになっているようです。今回の演説でも使った2つの狙いを考えます。

■「新しい世界の秩序を作る」意味合い

有働由美子キャスター
「10分間にわたる(プーチン大統領の)演説は、どこに注目しましたか?」

小野高弘・日本テレビ解説委員
「去年の演説にはなく、今年初めて出てきた言葉があります。『多極化する世界』です。プーチン大統領はこの言葉を最近よく使い、マイブームになっているようです」
「多くの価値観が世界にはあるという意味です。アメリカの価値観が世界で一番正しいというような顔をするんじゃない、今ロシアや中国、インドなども中心となって新しい世界の秩序を作っているのだ、という意味のフレーズです」

■習主席との会談で「多極化」何度も

小野委員
「多極化という言葉が多く出てきたのは、3月に中国の習近平国家主席がモスクワを訪問した時です。2人はがっちり手を握り、『今世界は多極化している』『我々は協力していこう』とうなずき合いました。これでプーチン大統領もすっかり自信を深めたとみられます」

■国内向けアピールと世界への発信

有働キャスター
「その『多極化』を今回の演説でも使った狙いは何でしょうか?」

小野委員
「狙いは2つありそうです。戦勝記念日の式典には、去年は他の国の首脳は誰も来ませんでしたが、今年はベラルーシやアルメニアなど7つの国の首脳を招きました。ロシアは孤立していない、仲間がいると、ロシアの国内向けにもアピールになります」

「もう1つは、プーチン大統領の『世界中の全ての国・民族の自由な発展のため共に戦う』という言葉に表れています」

「ロシア政治に詳しい慶応義塾大学の廣瀬陽子教授は、この言葉に注目。『プーチン大統領はこの演説が世界中に発信されることを意識している。アフリカや南米などの、味方につけたい国々に届くようこの言葉を発信し、取り込もうとしている』と分析します」

■落合さんに聞く…演説から見えるもの

有働キャスター
「こうして味方を増やそうとしているということです」

落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「外交の分野だけでなく、例えばアートやビジネスの世界でも『ヨーロッパやアメリカが作るものだけが正義ではない』というのは、ここ4~5年はずっとさまざまな文化圏で言われてきたことです」
「そこに寄り添ったりするのは、実に賢いとは思います。そういう流れにかこつけて、ウクライナの話を多様化などの文脈に結びつけて、それをロシアの論理に寄せてきたのは非常に狡猾で、ずるいかなと思います」

有働キャスター
「多極化と言うと聞こえは良いですが、結局のところ、自分と合わない価値観を否定して正当化の方便にしているだけです。そんな言葉で人の命を奪い続ける戦争が、許されるはずがありません」
(2023年5月9日放送「news zero」より)

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