米大統領選に向け「広告合戦」が白熱…“人工知能生成CM”波紋 共和党陣営が作成(2023年5月2日)
来年行われるアメリカ大統領選挙に向けて、バイデン・トランプ両陣営がテレビCMを公開するなど、早くも広告合戦が熱を帯び始めている。そんななか、共和党が制作した1本の動画が波紋を広げている。
■両候補の出馬を望んでいる人“わずか5%”
バイデン大統領(80):「年齢というのは、合理的な問題であることは理解しています。誰もが気にするところです。“誰もが”というのはニューヨーク・タイムズのことです」
先月29日、毎年恒例のホワイトハウス記者会主催の晩餐(ばんさん)会でスピーチを行ったバイデン大統領。自らの年齢ばかりを問題視するメディアを揶揄(やゆ)し、会場の笑いをとった。
先月25日に来年の大統領選への出馬を表明したバイデン大統領。そして、この人物も…。
トランプ前大統領:「アメリカを再び偉大で輝かしい国にするために、私は今夜、次期大統領選への出馬を表明します」
この2人については、こんな調査がある。アメリカNBCが行った世論調査によると、来年の大統領選で、バイデン大統領とトランプ前大統領、両方の出馬を望んでいる人がわずか5%しかいないというのだ。
■トランプ氏の広告 矛先は共和党内最大のライバル
そんな状況を打開するため、両陣営は今、広告に力を入れている。
バイデン大統領のテレビCMがこれだ。
バイデン陣営のテレビCM:「日が昇るとき星条旗を掲げる。アメリカ人がみな最も大切にしているシンボルだ」
先週公開したテレビCMは、政権の成果をアピールするのではなく、おととし1月の議事堂乱入事件などの映像を使い、トランプ前大統領や過激な支持者を批判する内容になっている。
バイデン陣営のテレビCM:「民主主義は党派間の問題ではない。アメリカの問題なのだ」
一方のトランプ陣営が発表した広告では、批判の矛先はバイデン大統領ではなく、意外にも別の人物に向けられていた。
トランプ陣営のテレビCM:「ロン・デサンティスは大苦戦していた。フロリダ州知事予備選でデサンティスは負け続けていた」
共和党内最大のライバルと目されるフロリダ州のデサンティス知事に矛先が向けられていた。
さらに、この1分の動画ではトランプ氏の音声は一切使わず、映像もほとんどがデサンティス氏を揶揄する内容となっている。
トランプ陣営のテレビCM:「結局、アメリカを再び偉大にすることができるのは、この人しかいない」
アメリカの調査会社によると、来年の大統領選挙は、アメリカ政治において最も高額な選挙の1つになると予想している。
■トランプ陣営 知事批判の広告に“8.2億円”
なぜトランプ前大統領は、デサンティス知事に矛先を向けているのだろうか。
ウォール・ストリート・ジャーナルが去年12月に行った共和党予備選で、トランプ前大統領とデサンティス知事が一騎打ちとなった場合にどちらを支持するかという調査では、デサンティス知事が14ポイント上回る結果となっていた。
そのため、トランプ陣営は今年に入りデサンティス知事を批判する広告に8億2000万円近くを費やしてきた。
その効果はすでに出ているようで、先月中旬に行われた同じ調査ではトランプ前大統領が51%、デサンティス知事は38%と支持が逆転している。
■“人工知能でCM” 全編AI生成画像
今回の選挙戦では、AI(人工知能)が大きな役割を果たすとみられている。
ニューヨーク・タイムズによると、民主党と共和党の両党は有権者のデータをAIに分析させ、より個人向けの情報発信ができるよう研究を進めているという。
また、民主党では寄付を求めるメッセージの草案をAIに作らせる試みも始めているそうだ。
一方で、共和党陣営がAIを駆使して作ったCMが波紋を広げている。
共和党公式YouTubeから:「最弱の大統領が再選されたらどうなるか。国際的な緊張が高まる、金融システムの崩壊、私たちの国境がなくなる、犯罪が悪化」
このCMはAIが生成した画像で作られている。共和党によると、全編がAI生成画像でつくられたCMは初めてだということだ。
バイデン大統領が再選した場合の架空の未来として「中国の台湾進攻」や「不法移民の殺到」「株価暴落」「医療用麻薬乱用の蔓延(まんえん)」などがAIが生成した画像で描かれ、バイデン大統領が苦悩するシーンで終わっている。
ニューヨークタイムズは、AIが選挙戦に使われることによって有権者が自分の目や耳を信頼できなくなる可能性に懸念を示している。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2023年5月2日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
コメントを書く