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【入場制限がかかるほど話題の展覧会】映画のワンシーンのような実在風景に「探してみたい」
今、若い世代を中心に話題となっている『ウェス・アンダーソンすぎる風景展』。4月6日から東京・天王洲の寺田倉庫で開催中で、土日には一時入場規制がかかるほど人気となっています。展覧会は2022年に韓国・ソウルで約25万人を動員し、今回、日本に初上陸。なぜこの展覧会が人気となっているのかを取材しました。
■展示写真は映画の“ワンシーンにありそう”な風景
展示されているのはアメリカの映画監督、ウェス・アンダーソンさんが手がけた映画のワンシーンに出てきそうな実在する風景写真です。アンダーソン監督の熱狂的なファンたちが立ち上げたインスタグラムのコミュニティー“Accidentally Wes Anderson”(偶然のウェス・アンダーソン、通称AWA)に投稿された写真の中から300点余りを厳選して紹介しています。
映画「グランド・ブダペスト・ホテル」や「犬ヶ島」などを手がけ、これまでに米アカデミー賞やゴールデングローブ賞にノミネートされるなど、高い評価を得てきたアンダーソン監督。ピンクやターコイズを中心にしたポップなパステルカラーや左右対称な構図、さらに目を引くような装飾性など、“おしゃれ”で“個性的”な世界観は映画ファンのみならず、ファッションや流行に敏感な人々にも影響を与えてきました。そんなアンダーソン監督の作風が反映された世界各地の写真を、『旅行の計画を始めたくなる写真展』として、旅に関する10のキーワードのコーナーで紹介しています。
例えば『Mind the Gap』のエリアは、旅の移動には欠かせない“乗り物”がテーマ。飛行機や列車、バスやその車窓の写真が集められ、日常の中に映画のワンシーンのような世界観を感じることができます。
また、『Check in, Please』のエリアは、アンダーソン監督の代表作『グランド・ブダペスト・ホテル』を再現した空間の中に、個性的なデザインのホテルの写真が並んでいます。
■写真の背景を知ってより深い旅を疑似体験
展覧会は全て写真・動画撮影可能となっていて、おしゃれな風景写真と共に記念撮影する人が大勢いました。さらに各エリアの入口にあるQRコードをスマートフォンで読み取ると、その場所の歴史的背景や文化的背景などが書かれた解説ページへアクセスできるようになっていて、より深く写真の内容を知ることができるようになっています。
例えばこの写真のホテルは、一見美しく見えますが、窓には木が打ち付けられているのがわかります。スイスに実在するすでに使われていないホテルで氷河が見られる観光地だったそうですが、温暖化の影響で氷河が溶け、観光客が激減し、ホテルも廃業したというストーリーがあるということを解説してくれます。このように写真の背景を知ることで、旅の疑似体験ができる仕掛けが施されていました。
展示された写真の中には日本の風景も。三重県にあるナガシマスパーランドのジェットコースターやJR列車に乗る車掌、京都府の嵐山などの写真も展示され、海外の風景だけでなく、なじみのある風景を写真に収める来場客もいました。
■「次ここに行きたい!」 旅の行き先を見つけられる
実際に展覧会に来た人たちに話を聞いてみると、20代のお客さんは「作品の、世界観に入り込めたような気持ちが体験できた気がして楽しかったです。色合いに統一感があるけど、個性があるというか…そういったところが監督っぽい」と話していました。
また22歳のお客さんは、この展覧会の魅力について「“次ここに行きたいな”とか、(旅行の行き先を)見つけられるところかな。かわいいなと思った写真にドイツのものが多くて、行きたいなと思いました」と話していました。さらに23歳のお客さんは「日本でもこういう風景を探しにいきたいねっていうのを話しながら見ていました」と旅行への意欲をかき立てられていました。
■コロナ禍終息で増える旅行需要 「気分を思い出して」
学芸員の岡田由里さんは「単に作品を写真に撮ってもいいですし、作品と一緒に撮って、“ちょっと旅行に行きました”的な楽しみ方もできる。あと行ってみたいなと思った場所を写真に撮って、メモとして記録するみたいなこともできる」と、展覧会で得た情報の活用について話しました。
さらに「家にこもる生活に慣れきってしまった方もいるかもしれませんが、そういう方にもお越しいただいて、旅行に行って楽しかった気分を思い出してほしい。日常生活の中にも見え方次第で新しい発見があるんだという気付きでより実りある日常にしていただけるんじゃないか」と楽しみ方を語りました。
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