【侵攻長期化でロシア異変】原油下落で“財政悪化”値引幅制限の奇策◆日曜スクープ◆(2023年4月23日)
ウクライナ侵攻の長期化により国内で異変が生じている。ロシアで最も重要な祝日とされる5月9日の戦勝記念日の軍事パレードを巡り、占領地域や国内各地での中止の発表が相次いでいる。さらに、例年、プーチン大統領も参加して、戦没者の遺影を掲げながら、全土で市民約1000万人が街を行進する「不滅の連帯」が盛大に開催されていたが、今年は「不滅の連帯」が全土で中止となった。侵攻開始以来、反体制派や反逆者に対する処罰の強化が継続する。ロシアの裁判所は17日、政府に批判的なジャーナリストで活動家のウラジーミル・カラムルザ氏に対し、国家反逆罪などで25年の禁錮刑を言い渡した。去年、2月のウクライナ侵攻後、反政権派に対して、最も厳しい判決となった。カラムルザ氏は、10日の最終意見陳述で、プーチン政権や侵略を批判した自身の発言について、「誇りに思っている。ロシアを覆う闇が払われ黒は黒、白は白だと言える日が必ず訪れる」と語った。また、ロシア下院は18日、国家反逆罪の最高刑を現行の禁錮20年から終身刑に引き上げる刑法改正案を可決した。
侵攻長期化に伴う戦費膨張と西側による経済制裁の影響を受け、ロシア財政は悪化による荒波で揺れている。ロシア財務省が7日に発表した第1・四半期の財政収支は2兆4000億ルーブル(3.9兆円)の赤字となった。政府が2023年に見込む赤字額全体の8割超を占めている。ロシア経済を支えているロシア産原油の価格低迷が背景にあるとされる。ロシア産原油の輸出価格に上限を設定した先進国の制裁措置を契機に、価格に大きな変動が生じている。番組アンカーで野村総合研究所・エグゼクティブエコノミストの木内登英氏は、「ロシア産原油の主な輸出先であるインドや中国などに足元を見られ、大幅に値引きして輸出することを強いられている」と分析する。ロシアは税収確保の対応策として、ロシア産原油の価格に対し、値引き幅の上限を制限する措置を講じた。値引き幅の上限は、4月は34ドル、5月は31ドル、7月は25ドルと設定されており、徐々に縮小させていく。上限価格と実際の販売額の乖離分は、税金納付の際に石油会社の負担となる。 木内氏は、「仕組みはウラル原油の価格の値下がりをとめる要素にはならない」と有効性と持続性に懐疑的な見解を示す。
G7(主要7カ国)が、5月に広島で開催される首脳会議に合わせ、ロシアへの輸出を全面的に禁じる措置を検討していると米国メディアが報じた。20日の米ブルームバーグによると、G7が検討を進める新たな輸出禁止の制裁案は、「医薬品と農産物が除外される可能性が高い」と伝えた。西側の経済制裁及び規制をよそに、中国は、ロシアに対する資材輸出を拡大させている。米ウォールストリート・ジャーナル紙によると、中国はロシアへの半導体の輸出は、2021年の7400万ドルから2022年の1億7900万ドルと約2.4倍に増えており、一方、トルコによるロシアへの半導体の輸出は、2021年の7万9000ドルから、2022年の320万ドルとおよそ40倍にも増加している。 G7 がほぼ全ての品目の輸出禁止措置を講じた場合、制裁の実効性はあるのか、また、戦争に与える影響などを考察する。
★ゲスト:佐々木正明(大和大学社会学部教授)、山添博史(防衛省防衛研究所)、
★アンカー: 木内登英(野村総研エグゼクティブ・エコノミスト)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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