「火付けるぞ」過去に近所でトラブル 92歳の親族男性宅を捜索 5人死亡火災の不審点(2023年4月14日)

「火付けるぞ」過去に近所でトラブル 92歳の親族男性宅を捜索 5人死亡火災の不審点(2023年4月14日)

「火付けるぞ」過去に近所でトラブル 92歳の親族男性宅を捜索 5人死亡火災の不審点(2023年4月14日)

 青森県六戸町の住宅で5人が死亡した火災です。警察は放火の疑いで近くに住む親族の男性の自宅に家宅捜索に入りました。事件の概要が徐々に明らかになってきています。

■放火の疑いで親族男性宅を捜索

 十文字利美さんの次女・抄知さん。火災の後、安否が分かっていません。

 青森県警は14日朝、現住建造物等放火容疑で現場検証を始めました。利美さんの住宅から見つかった5人の遺体のうち4人は妻と妻の母親、次女、孫の4人とみられています。そして、5人目が親族にあたる92歳男性の可能性が高いとされ、火災後、この男性とは連絡が取れていません。

 さらに、時をほぼ同じくして被害者の自宅から300メートルほど離れた所にある親族男性の自宅内に警察が捜査に入りました。この親族男性の自宅は現場となった十文字さんの家から徒歩で数分しかかからない距離。

 13日、押収された男性の車。警察によりますと、後部座席から液体の入ったポリタンクが見つかっていて、中身が何かはこれから捜査するということです。

■近所でもトラブル「火を付けるぞ」

 家宅捜索が行われた親族の男性について、近所では複数の人がトラブルになった過去を明かしました。

 近所の人:「いざこざを起こすようなおじいさん。ちょっと言い争うと、すぐ『火を付けるぞ』いうような人。そこらじゅうでトラブルを起こすような人」「変わり者というか、短気で感情の浮き沈みが激しい人。機嫌良い時はいいけど、悪くなると『なんやコラ!』っと怒鳴る。この辺では気難しいオヤジで有名だった」

 一方、親族の男性が十文字さん側に不満を漏らしていたとの声もあります。

 近所の人:「(親族男性は)鬱積(うっせき)しているから。思いが。自分の田んぼだったと思ったり、とられたと思ったり。(十文字さん側が田んぼを)よこさないって思いがずっとあったのでは」「(Q.田んぼをとられた?)結局、自分のものだと言っていたらしい。自分が何十年も使っていたから」

 警察への取材で、火災当時の十文字家の状況が分かってきました。5人の遺体は玄関の近くに1人、玄関に向かって右に2人、左に2人。逃げようとしていたのでしょうか。玄関付近に集まっていたそうです。玄関周辺の燃え方が激しかったとの目撃証言もあり、可燃性の液体がまかれた可能性もあるとみて捜査しています。

 また、現場付近のガソリンスタンドでは92歳の親族男性について「灯油の購入歴」など警察が聞き込みを行っていました。

 近所のガソリンスタンド店員:「『灯油を買う客を知っていますか?』(警察に)写真を見せられて」「(Q.どんな人が写っていた?)年のいったおじいちゃんみたいな感じ」「(Q.灯油?ガソリン?)灯油って言っていました」

■消防の専門家も不審な点を指摘

 消防署長を務めていた専門家も今回の火災には不審な点があると指摘。

 元麻布消防署長・坂口隆夫さん:「まず、燃え方がですね、非常に早くて激しいという印象を持ちました。今回の場合は、かなり早い時期で激しい炎になっているということは何かガソリンだとか、あるいは灯油だとか。要は出火場所がどこなのかを確認しなければいけない。そこに油分が検出されたとか、そういうことになると火を付けられた可能性が高くなるわけです」

■捜査のポイントは?5人死亡火災

 また、出火当時、2階で就寝中だった13歳と16歳の孫は窓から逃げて助かっていますが、火災報知器の音などで2人が目覚めた際、室内は煙が充満していて、何も見えない状況だったことが警察への取材で新たに分かりました。燃え方が早すぎたため、安否が分からない他の家族は避難が遅れてしまった可能性もあります。

 元麻布消防署長・坂口隆夫さん:「特に高齢の方、小さな子ども。やはり、気が付いた時には煙を吸ったり熱気を吸ったりして避難ができなくなってしまった。そういうことも十分考えられますね」

 近所の人:「火事だから行ってみたら燃えている家の車庫の前に(親族の男性の)車が止まっていた。車が開いていたのかな、そこにポリタンクが積んであったと。じいさんの車が止めてあって、その後ろにポリタンクが見えていた。ふたが取れて転がっていた」

 親族の男性宅を調べる警察官。裏手にある灯油タンクの辺りで立ち止まって入念に見ていました。

 骨組みだけが残った住宅…。放火殺人も視野に入れた捜査のポイントについて、元刑事の佐々木成三さんは…。

 元埼玉県警捜査1課・佐々木成三さん:「現場が損傷しているとなると、かなり綿密な現場検証、あらゆる総合捜査を展開しなければいけないのが放火事件の難しさ。ほとんどが崩れ落ちている状態での捜査。本当に油性反応があるのか、他に犯行に供用したものがあるのか。残された燃焼物をショベルで押収して、綿密に精査しないといけない。今回、これが過失なのか故意なのか見極めるのが事件としての大きなポイント。まだ容疑者が誰だか分かりませんが、もし、容疑者が亡くなっていた場合、供述を得ることができない。現場検証だったり証拠物で立証しないといけない、かなり難しい捜査」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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