【報ステ解説】裁判の行方は?起訴は大統領選挙にプラスになる?トランプ氏を起訴(2023年3月31日)
アメリカのトランプ前大統領が、ニューヨーク州マンハッタン地区の大陪審によって起訴されました。大統領経験者が起訴されるのは史上初めてです。
トランプ氏には、数々の疑惑が持たれています。最高機密を含む複数の機密文書を自宅に持ち帰った問題。2020年の大統領選挙で敗れたジョージア州の結果を覆すよう州当局に圧力をかけた疑い。2021年の連邦議会襲撃事件への関与疑惑。これら3つは、捜査が進められていますが、30日、起訴されたのが、不倫相手に支払った“口止め料”をめぐる疑惑です。
検察は、罪状を明らかにしていませんが、この疑惑に関連する罪で起訴。4月4日にもトランプ氏が出頭要請に応じるとみられます。
◆ニューヨークの中丸徹支局長に聞きます。
(Q.裁判の行方は、どう見ていますか)
トランプ氏を起訴したマンハッタン地区検察の前からお伝えします。アメリカのメディアもニュースで中継を行っています。
起訴から裁判の審理が始まるまで、ニューヨーク州の平均ですと、約1年くらいかかるとみられています。現在、起訴の詳細は明らかになっていませんが、CNNは「30以上のビジネスの不正に関する嫌疑があるのではないか」と報じています。そうなりますと、不倫口止め料の不正会計以外も起訴に含まれている可能性があります。そうなると、裁判は、大がかりなものになる可能性があります。
(Q.アメリカ国民は、どのように受け止めているのでしょうか)
アメリカの政治的な分断を、そのまま表しています。民主党支持者からは「トランプ氏がついに牢獄へ」という喜びの声がある一方で、共和党支持者からは「これは民主党からの選挙の妨害だ」「共和党支持者はより団結して、この戦いに勝たなければならない」といった感じです。中間的な無党派層からは、「司法のことなので裁判の結果をしっかり見守りましょう」と冷静な声も聞かれます。
2年前の連邦議会襲撃事件は、アメリカ人に大きなショックを与え、トランプ離れを起こす一因にもなりました。今回、トランプ氏の起訴に反対して、公園で20人ほどの人が集まりましたが、「我々は平和的に、非暴力で活動を行う」と言っていました。荒れてしまった議会襲撃の二の舞は避けたいという本音も垣間見えました。
(Q.トランプ氏は、次の大統領選挙の指名争いに名乗りを上げていますが、今回の起訴は、トランプ氏にとって痛手になるのではないでしょうか)
むしろ逆で、トランプ氏本人は「起訴は大統領選挙にプラスになる」と考えていると思います。「政治的な迫害」と主張しているのも、その一環です。「民主党は選挙を有利にするための卑劣な罠だ。自分は被害者で、これは魔女狩りだ」と言うことで、自身の支持者や、政府に不満や怒りを覚えている人たちの気持ちをあおっていこうという行動に出ています。そもそも、2022年の中間選挙では、トランプ氏にとっては思ったような結果が出ず、トランプ氏に対する飽きがささやかれたりして、ポストトランプを探る動きが始まっていました。トランプ氏が何より嫌なのが、飽きられ、人々の話題に上らないことだとみられます。今回の件で、すでに1週間以上、テレビのトップニュースをジャックして、来週以降もそれが見込める。今回の起訴は、むしろ選挙にとってチャンスだと思っているのではないでしょうか。
(Q.しかし、起訴されているので、さすがに共和党支持者のなかでも見捨てるという人はいないのですか)
いると思います。これがプラスかマイナスかということですが、そもそもアメリカの白人の割合が2040年代には5割を割っていくという期日が迫っているなかで、白人男性の価値観を持ってきた共和党が、一体、これからどこへ向かっていくのか。方向性が見えていないというのが根本的な問題としてあります。そんななか、トランプ氏に頼れば、選挙が有利になるという誘惑もあるなかで、「そこに未来はない」という共和党関係者もいます。
論調査をみても、約44%の共和党支持者が「トランプ氏が起訴された場合、指名争いから降りるべき」としています。これから共和党の中でどのような声が上がってくるのか。次の動きがどのようになるのかが、大きな注目のポイントになると思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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