“みなし陽性”診断開始 保健所は「ひっ迫どころじゃない 崩壊に近い」

“みなし陽性”診断開始 保健所は「ひっ迫どころじゃない 崩壊に近い」

“みなし陽性”診断開始 保健所は「ひっ迫どころじゃない 崩壊に近い」

検査をせずに医師が感染を判断する“みなし陽性”の運用が始まりました。PCR検査が受けられない患者にとっては安心材料となると言う声がある一方、診断に時間がかかる、陽性者の届け出が増えるなど医師や保健所職員にとってはさらなる負担となるおそれもあります。“みなし陽性”診断の現場を取材しました。

■“みなし陽性”の診断とは?

医師の判断で感染者とみなすことができる“みなし陽性”の診断が
2月2日から始まりました。

ひなた在宅クリニックの田代和馬院長がオンラインで新型コロナかどうかの診断をしている様子を、見せてもらいました。

パソコンに向かって話す田代医師:
「(娘さんは)どんな症状でしたか?」

母親:
「お熱が38度台あって、扁桃痛。ちょっと下痢もありました。咳はないです」

診察をうけているのは保育園に通う2人の娘さんがいる夫婦です。

田代医師:「保育園でコロナが出ちゃってるんだ?」
子:「(頷く)」
母:「出ているよね」
田代医師:「そして、娘さんがきょう(1月30日)になってお熱が出始めたということですね」

娘たちの通う保育園で1月26日に感染者が出た4日後に上の娘さんに発熱などの症状、また家族にも様々な気になる症状が出てきたといいます。

田代医師:
「典型的な症状も揃っているのでね、上の娘さんはほぼ間違いなく新型コロナウイルス感染症でしょう」

問診の結果、長女と両親が「陽性」と診断されました。次女は症状があまり出ていないため経過観察となりました。

田代医師:
「結局療養をするというところが重要で、コロナかもしれないと思って外に出て行かないようにするのが一番の本質なので」

「みなし陽性」と判断するポイントは
▼感染者との接触歴がある
▼発熱などコロナの症状が出ている
▼基礎疾患がないの
3つになります。

田代医師:
「(みなし陽性の診断は)大体私の肌感覚だと検査する場合の3倍くらいの時間がかかります」

田代医師のクリニックでは2月2日、25件の対応をして、「みなし陽性」と判断したのは7例でした。

実際に、みなし陽性と診断された30代の女性。子どもが新型コロナに感染したあと、微熱や咳などの症状が出て、発熱外来を受診したといいます。

“みなし陽性”と診断された女性:
「抗原検査では陰性だったんですね。PCRはあまりに混んでいてできないってことだったので」

このときはいったん陰性ということで帰宅。しかし、その6時間後、
高熱と頭痛が襲ってきました。

“みなし陽性”と診断された女性:
「医療機関に再度受診の相談をしたところ、そのまま『みなし陽性 』っていう診断をしてもらいました。『みなし陽性』だしてもらえた方が治療に専念できるので。次どうしようとか考えなくていいので、ちょっと安心はしました」

■「ひっ迫どころじゃない 崩壊に近い」

一方、みなし陽性が増えると大変なことになると、悲鳴をあげているのは埼玉県の保健所で働く男性です。

保健所で働く男性:
「正直医師の判断だけで陽性になってしまうと、おそらく今以上に届け出が増えて・・・ということを考えると、ほんとにいっぱいいっぱいかなとは思っています」

埼玉ではまだ“みなし診断”は始まっていませんが、今後運用が始まることが怖いといいます。

保健所で働く男性:
「ひっ迫どころじゃないですね。もう崩壊って言葉の方が近いかなっていう」

2月4日の東京の新規感染者は1万9798人でした。

(2月4日放送『Nスタ』)

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