「有事の場合どうすれば」住民が抱える抑止力への“期待と不安”石垣島に自衛隊駐屯地(2023年3月17日)
陸上自衛隊の駐屯地が、新たに石垣島に設置されました。この駐屯地が、敵の基地をたたく“反撃能力”の拠点となることはあるのでしょうか。開設後初めて、内部にテレビカメラが入りました。
陸自石垣駐屯地司令・井上雄一朗1佐:「きょうからやっと本格的な隊務運営が始まるということで、特に災害に対しては24時間態勢で対応をする」
5万人ほどの人々が暮らす、沖縄の離島・石垣島。特別天然記念物のカンムリワシが生息する、自然豊かなこの島に、計画がもたらされたのは、今から8年ほど前のことです。海洋進出を活発化させる中国を念頭に、防衛省は、鹿児島の奄美大島や、日本最西端の与那国島などに、部隊を次々配備。いわゆる“南西シフト”の最後の1つとして、石垣駐屯地が開設されました。
石垣駐屯地の特徴の一つが『12式地対艦誘導弾』の存在です。政府は去年、国防に関する“安保3文書”を国会閉会後に改定。これにより、日本は事実上、敵から攻撃を受ける前に、相手の基地などを直接たたく能力を持ったことになります。この能力の要となるミサイルを、より射程の長い『スタンド・オフ・ミサイル』という最新型に改良しようとしています。
303地対艦ミサイル中隊長・汐崎仁昭3佐:「(Q.いずれ長射程のミサイルも積まれるのか?)私の方では現在、把握はしておりません」
防衛省も17日までに、配備先を明言していません。
浜田防衛大臣「具体的な配備先は現時点では決まっていない」
ただ、石垣駐屯地に置くことを否定してもいません。配備されれば、それはすなわち、中国本土を射程に収めることを意味します。石垣島の駐屯地に、もしも射程の長いミサイルを配備する打診が来たら、地元自治体は、どう判断をするのでしょうか。駐屯地を受け入れた、中山義隆石垣市長に聞きました。
中山市長:「国防とか安全保障の問題での住民投票はふさわしくない。私からの提案で住民投票をすることはない。基本的には、市長の立場として受け入れるか否かは判断したい」
“反撃能力”の保有で、ふって沸いた、スタンド・オフ・ミサイル配備の可能性。自衛隊を受け入れたことが、かえって仇となり、敵の標的となりかねないのではという指摘もあります。市議会も、反応しました。長射程ミサイルの配備に懸念を示す意見書を、与野党が出し、共に可決されています。
駐屯地の300メートルほど先に畑を持つ、農家・金城龍太郎さん(32)。過去には駐屯地の賛否を問うべく、1万4000筆の署名を集めました。
金城さん:「有事の場合に、僕たちがどうやったら助かるかという方法は、まだそんなに議論されていない」
金城さん自身は今、複雑な気持ちを抱えています。抑止力となることへの期待、島自体が狙われかねない不安、どちらの言い分も分かるからです。
金城さん:「例えば駐屯地の情報も、そこまで知らされていなかった。どうせ犠牲になるから話さなくてもいいと思われているのかなと。そんな不誠意な感じを受けます」
防衛省は来週、自衛隊の運用について、市民に説明する場を設けます。説明会が前回開かれたのは、4年前の2019年2月。駐屯地の建設が始まる前のことでした。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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