証拠捏造「捜査機関による可能性極めて高い」高裁が異例の言及『袴田事件』再審認める(2023年3月13日)
いわゆる『袴田事件』について、東京高裁は13日、再審の開始を認める決定を出しました。
袴田巌さんの姉・ひで子さん(90):「みなさま、ありがとうございます。再審開始になりました。本当にうれしいです。ダメでもしょうがないと思っていた。それでもね。(Q.ダメじゃ困ります)そんなこと思ってなかったけど、確たることは言わなかったが、本当にうれしゅうございます」
元プロボクサーの袴田巌さん(87)。日本プロボクシング協会も、長年支援してきました。
日本プロボクシング協会 袴田巌支援委員会・新田渉世さん:「ボクサー崩れという偏見から逮捕されたとも言われている。これでえん罪と証明されたと思う。どれだけ何回打ちのめされても、立ち上がって闘ってきた、ひで子さん。本当におめでとうと言いたい。我々の大先輩、巌さんにも、本当に心からおめでとうと言いたい」
袴田さんは57年前、静岡市で一家4人が殺害された事件で、1980年に死刑が確定しました。しかし9年前、静岡地方裁判所が再審を認める決定を出しました。釈放された袴田さん。外の世界に出たのは、48年ぶりのことです。
釈放後も、東京高裁は再審を認めませんでしたが、2020年、最高裁が高裁に審理を差し戻しました。再審開始か否か。争点は、5点の衣類でした。
犯行時に、袴田さんが着ていたとされる血まみれの半そでシャツやズボンなど。これらは、事件から1年2カ月後に、現場近くの工場のみそタンクから、麻袋に入った状態で見つかりました。
写真では、衣類についた血痕は、まだ赤い部分が残った状態です。しかし、弁護側は旭川医科大学に実験を依頼し、「時間が経つと赤みはなくなる」と主張しました。検察側も、みそに1年2カ月漬ける実験を行い、「血痕には赤みが残る可能性がある」と訴えました。
この争点について、東京高裁は13日、「1年以上、みそ漬けされた衣類の血痕の赤みが消失することは、専門的知見によって合理的に推測できる」としました。
弁護側の主張を認め、衣類以外に、袴田さんを犯人と認定できる証拠がないとして、再審を認めました。
さらに、衣類については、相当な期間が経過した後、第三者がタンクに隠した可能性が否定できないと指摘。事実上、捜査機関の者による可能性が極めて高いとしています。
小川秀世弁護士:「死刑事件であるにもかかわらず、一番重要な証拠について、こんな欠陥があった判決だったということを、この決定は認めているものと思います」
静岡地裁で、死刑の判決文を書いた熊本典道さん。無罪の心証を持っていましたが、3人の裁判官による合議制だったため、主張が通らず、結果的に信念に反したと、後日、告白しています。熊本さんは、2020年に亡くなりました。
熊本元裁判官のパートナー、島内和子さん:「後悔してましたよ。もうずっと『申し訳ない』、泣いて『袴田君に申し訳ない』と言っていました。熊本さんも天国で喜んでいると思います。『無罪』って、ずっと最初から言ってたから」
東京高裁が、血の付いた衣類を隠したのは、事実上、捜査機関の者による可能性が極めて高いと指摘したことについて、静岡県警は「組織として決定文を見ていないため、回答することはできない」とコメントしています。
また、東京高検は「検察官の主張が認められなかったことは遺憾である。決定の内容を精査し、適切に対処したい」とコメントしています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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