【解説】都がオミクロン版“宣言”新指標を発表…その根拠は? 家庭内感染防ぐ“支援策”も 新型コロナウイルス
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、東京都は緊急事態宣言の要請を検討する新たな指標を発表しました。「オミクロン株の特性を踏まえた」とする新たな判断指標は、これまでとどう違うのか、詳しく解説します。
■累計感染者300万人超え…200万人から“2週間”で
3日、全国の新たな感染者は9万6845人となり、国内の感染者数の累計がついに300万人を超えました。
これまでの感染者の増え方を振り返ってみると、累計が100万人を超えたのは去年8月6日で、2020年1月に初めて感染者が確認されてからおよそ1年7か月後でした。
その後、200万人を超えたのが先月20日なので、100万人増えるのにおよそ5か月半かかりました。そこから2週間で300万人を超えたということで、すごいスピードで感染者が増えています。
■都“オミクロン版”宣言検討の新指標公表
感染者が増え続ける中、緊急事態宣言の発出も視野に入ってくるのでしょうか。東京都は、3日、緊急事態宣言の要請を検討する上で、新たな指標を公表しました。
東京都 小池知事
「オミクロン株の特性を踏まえた対策をさらに強化して、なんとしても感染拡大を食い止めてまいります」
東京都は、これまで緊急事態宣言の要請を検討する基準を「病床使用率50%」としてきましたが、オミクロン株の特性を踏まえた新たな指標は、「『重症用の病床使用率』と『入院患者のうち酸素投与が必要な人の割合』のどちらか一方が30%から40%」となった上で、「新規感染者の7日間平均が2万4000人」になったら、緊急事態宣言の要請を判断するというものです。
東京の現状は、2日時点で、重症用の病床使用率は15.1%で、入院患者のうち酸素投与が必要な人の割合は8%、そして新規感染者の7日間平均は1万7058.6人でした。
■「重症者」の定義見直し…“基礎疾患悪化”ICU患者も
こうした新たな指標は、どのような考え方のもとに作られたのか、細かく解説します。
「病床使用率」と「入院患者数」は、医療提供体制のひっ迫度合いをみています。「新規感染者数」は社会経済活動への影響を考慮しています。
まず、「重症用の病床使用率」について、ポイントとなるのは「『重症者』という言葉の定義が見直された」ということです。
これまでの新型コロナの重症者は、まず肺炎になって、それが悪化するケースが多かったので、肺の状態、つまり人工呼吸器やエクモが必要かどうかが、重症者と判断する1つの大きな目安でした。
一方、オミクロン株は肺炎になる人は比較的少なくて、重症化するのは、基礎疾患が悪化するケースが多いという特徴があります。
つまり、肺炎にならず人工呼吸器もエクモも必要ないので、新型コロナとしては「中等症以下」と分類されても、全身の状態でみると重症で、ICUに入る患者もいるということです。
こうしたことから、東京都はこれまでの重症者の定義である「人工呼吸器やエクモが必要」とは別に、ICU患者などを加えた新たな定義を作ったわけです。
新指標の「酸素投与が必要な人の割合30~40%」の根拠は次のようになっています。
第5波の時は、酸素投与が必要な人の割合が7月に40%を超えると、8月には一気に70%まで急増し、医療ひっ迫につながりました。この教訓を踏まえて、40%を超える手前で対策を講じる必要があるとしたわけです。
■感染者の7日間平均“2万4000人”根拠は
新指標の「新規感染者の7日間平均が2万4000人」の根拠ですが、「欠勤者が都の就業人口の1割に達する恐れがある水準」とされています。
現在の東京都の就業者人口はおよそ800万人です。その1割なので、およそ80万人の欠勤者を目安に算出したのが、「2万4000人」という数字です。
都が事前に企業などにヒアリングしたところ、「欠勤者が3割を超えると事業の継続に影響が出てくる」という声が多く、これをもとに、3割よりもさらに余裕を持たせる意味で「就業人口の1割」ということになりました。
■家庭内感染を予防“支援策”高齢者のホテル滞在に助成金も
いつ誰が感染してもおかしくない状況で、東京都は新たな支援策も打ち出しました。
まず、高齢者の家庭内感染を防ぐために「高齢者自身にホテルに滞在」してもらおうというもの。
対象は「都内で同居家族がいる65歳以上の高齢者」で、ホテルに6日間連続して滞在すると「1泊につき5000円」が助成されるというものです。
家庭内に感染者がいなくても助成されます。ただ、宿泊する本人が陰性であることの誓約書や検温は必要で、食事や日用品の買い物以外の外出は控えるという条件があります。
ほかにも、小学校が休校になって仕事を休まなければならない保護者のために、先月21日から、「ベビーシッターを1時間150円で利用できるように助成金を出す」といった新たな取り組みが始まっています。
◇
緊急事態宣言が出るかどうかは、私たちの日々の暮らしにも大きな影響を及ぼします。オミクロン株の特徴を踏まえた新たな判断指標をベースに、透明性をもって慎重に判断してほしいと思います。
(2022年2月4日午後4時半ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)
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