「絶対に人にあげるな」“光るメダカ”販売時に口止め 空前の“メダカブーム”の影で(2023年3月9日)

「絶対に人にあげるな」“光るメダカ”販売時に口止め 空前の“メダカブーム”の影で(2023年3月9日)

「絶対に人にあげるな」“光るメダカ”販売時に口止め 空前の“メダカブーム”の影で(2023年3月9日)

かつては身近だったメダカ。しかし今や減少し、絶滅危惧種に指定されていて、その希少性から一部の愛好家では高額売買されています。

広島・廿日市市にある『めだかの館』には、メダカだけで300種類以上いるといいます。

めだかの館・大場幸雄代表:「おそらく300種類以上はいる。メダカはたった20年で、ものすごく変化している。20年前は20種類だったのが、20年経ったら800種類」

大場さんは、そのうち100もの新種を生み出したという達人です。

その名を一躍、業界に轟かせたのが…。

大場幸雄代表:「改良メダカの火付け役はこれ。(Q.名前は?)私が名付けた名前は『楊貴妃』。数万匹の中にたった1匹、赤いメダカが生まれてきた。黄色しかいなかった世界に、赤が生まれてきたわけだから」

奥深い世界にどっぷり浸かれば、希少性の高いものを手に入れたくなるのが、人の心。しかし今回、それが犯罪にまで発展してしまいました。

メダカ販売業者の増田富男容疑者(67)ら5人が、遺伝子組み替えメダカを自宅で育てたなどとして逮捕されました。

押収されたメダカは一見、普通のメダカ。ところが、紫外線に当てると真っ赤に。照明を落とすと、輝きが際立ちます。

もともとは、ある大学がヒレや骨の再生などを研究する目的で『イソギンチャクモドキ』の遺伝子を組み込んだものです。

その卵が研究所から持ち出されて、繁殖を繰り返し、50人ほどの愛好家の手に渡ったとみられます。

警視庁は、容疑者の自宅などから約1400匹を押収。SNSや販売会を通じ“光るメダカ”として販売し、愛好家には10万円で売ったケースもあるといいます。

「流通させちゃいけないものだから」「絶対に人にあげたりするな」などと伝えていて、違法性の認識はあったとみられます。

より珍しい新種を追い求め、開発が過熱する。その背景にあるのは…。

大場幸雄代表:「面白いぐらいメダカが売れていて、日本中“メダカ祭り”。そのなかで、ペアで10万円で売れる“メダカ”。飛びついたと思いますよ、その人たちは。良くないと分かりながら」

メダカの売り上げがぐっと伸びたのは、ここ3年ほど。コロナの巣ごもり需要と重なります。

大場さんが生み出した『琥珀透明鱗 スモールアイサムライ』は、1匹100万円の値が付きました。

高額で取引されるメダカを狙った窃盗事件も相次いでいます。

福岡のショップでは、深夜に忍び込んだ男が百数匹、27万円相当のメダカを。広島でも、16匹の新種が盗まれました。

日本改良めだか研究所・松浦智加さん:「数年かけて改良を重ねて、今年の春から夏にかけて販売できるかなと思っていた種親だった。とてもショックです」

今回の光るメダカで逮捕された5人の容疑は、全国初となる『カルタヘナ法』に違反した疑いです。

コロンビアの都市カルタヘナで行われた国際会議にちなんで名付けられた法律で、遺伝子組み換え生物の育成などを規制しています。

研究室など閉鎖された場所以外で扱う場合は、国の承認が義務付けられています。

ただ、そもそも今も行われている品種改良と遺伝子組み替えは、何が違うのでしょうか。

実は、従来の交配による品種改良でも、自然な遺伝子の組み換えは起きています。

問題となっている遺伝子組み換えは、種の壁を越えて、他の生物の遺伝子を導入し、効率よく狙った効果をあげるものです。

大場幸雄代表:「やってはならないことをやる人もいるので。そんななかの1つが蛍光メダカ。こういう、つまらないこと、金に絡んだことは絶対やってほしくない」

今回の光るメダカの一部は、千葉県内の用水路にも放流されました。

在来種の遺伝子との交雑や汚染が危惧されますが、現地調査を行った環境省によりますと「用水路は、ほぼ干上がっていて、自然界への影響はない」としています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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