【解説】火山と地震の関係は 伊豆諸島の火山帯では群発地震も『週刊地震ニュース』

【解説】火山と地震の関係は 伊豆諸島の火山帯では群発地震も『週刊地震ニュース』

【解説】火山と地震の関係は 伊豆諸島の火山帯では群発地震も『週刊地震ニュース』

火山島が多い伊豆諸島では、島の周辺を震源とする群発地震が時々おこります。約20年前には群発地震と火山噴火が同時期に発生しました。密接に関わり合う、伊豆諸島の地震活動と火山。時に、地下のマグマが津波を引き起こすことも…。社会部災害担当・中濱弘道デスクが解説します。【週刊地震ニュース】

■震度1以上の地震が32回 最大震度は茨城や伊豆諸島などで震度3
先月27日~今月5日までの期間、国内で震度1以上の地震が32回発生しました。このうち、震度3以上の地震は2回です。

▼先月28日午後0時55分頃、茨城県沖を震源とする地震があり、茨城県神栖市と千葉県旭市で震度3の揺れを観測しました。地震の規模を示すマグニチュードは4.5、震源の深さは40キロでした。

▼今月2日午後3時47分頃、伊豆諸島の八丈町で震度3を観測する地震がありました。震源は、八丈島近海、マグニチュードは5.0、震源の深さは14キロでした。

■八丈島周辺の地震活動――2年前には震度4の揺れも
1997年以降の八丈島周辺の地震活動です。地震は、八丈島の北西の海域に集中しています。3月2日の地震以外にも2年前、2021年7月にも、マグニチュード5.4の地震が発生し、八丈島で震度4の揺れを観測しています。このエリアでは、マグニチュード4~5程度の地震が時々発生、短期間でまとまった地震活動になることがあります。震源が島に近い場所であれば、強い揺れになることもあります。

■伊豆諸島の火山帯では群発地震も――2000年には三宅島が噴火
伊豆諸島周辺では、火山の噴火前後に浅い場所を震源とする、やや規模の大きな地震や、群発地震活動がおこることがあります。

▼2000年7月1日の午後4時1分ごろ、伊豆諸島の神津島で震度6弱の激しい揺れを観測する地震がありました。地震の規模を示すマグニチュードは6.5。この地震では崖崩れが発生し、死者もでています。

▼同じく2000年の7月30日の午後9時25分頃には、三宅島で震度6弱を観測する地震が発生。震源は三宅島近海、地震の規模を示すマグニチュードは6.5でした。

このように2000年7月は、大きな地震が相次ぎましたが、三宅島では17年ぶりに火山の噴火がありました。また、神津島近海の地震は、海底の地殻にたまっていたひずみを、三宅島の火山活動によるマグマの動きが、誘発したことによっておこしたと言われています。

伊豆諸島の島々は、フィリピン海プレートの上にのっていますが、このプレートの表面の地殻内には、地震を引き起こす「ひずみ」がたまりやすい場所があって、繰り返し地震がおきています。まさに2000年の一連の活動は、そのひずみを動かす、最後の一押しが地下のマグマの動きとみられています。

■マグニチュード5.9でも津波? 海底火山の影響による津波発生の危険性も――
2015年5月3日の午前2時前、鳥島近海を震源とするマグニチュード5.9の地震がありました。この地震では、震度1以上を観測した場所はありませんでしたが、その後伊豆諸島の八丈島で、0.6メートルの津波が観測されたため、気象庁が急遽、津波注意報を発表するという出来事がありました。

この想定外の津波発生も、火山の影響によるものとみられています。鳥島の近海では地震の規模に比べて、規模の大きな津波が時々発生していて、予測困難な津波とされていました。気象庁は当時、海底の地下からマグマが上昇して地震が発生。急激に海底を押し上げる形となり、津波が発生したのではないかと説明しました。これも、火山が多くある伊豆諸島の地震の特徴の1つと言えます。
(2023年3月6日放送)

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