「理解はひとりひとり違う」福島第一原発の「処理水」海洋放出へ“理解”めぐる溝埋まらず|TBS NEWS DIG
東日本大震災からまもなく12年。今年も被災地の今を見つめる「つなぐ、つながる」プロジェクトを展開します。福島第一原発では、処理水を海に放出する準備が進んでいますが、放出への「理解」をめぐる溝は今も埋まっていません。
記者
「事故から12年が経ちました。ずいぶん変わったなと思うところが増えた一方で、原子炉建屋を見るとやはり、爆発当時のすさまじさがうかがえます」
敷地内に立ち並ぶタンク。そのほとんどに放射能で汚染された水からトリチウム以外の放射性物質を取り除いた「処理水」が貯められています。
海側では、処理水を海水で薄めるための設備の建設が進んでいました。海の方を望むと、沖合1キロの先に棒のようなものが出ています。
政府と東電は、この春夏ごろから海底トンネルを通じて、ここから処理水を放出する予定です。
しかし、地元の漁業関係者は海洋放出に反対しています。
東電は2015年、福島県漁連に対し「関係者の理解なしにいかなる処分も行わない」と書いた文書を送りました。この約束があるのに、なぜ政府と東電は海洋放出を行う予定なのか。
東京電力の廃炉推進カンパニーのトップに、この「理解」という言葉の意味について尋ねました。
東京電力 廃炉推進カンパニー 小野明プレジデント
「なかなか理解という言葉は難しい言葉だと思っていまして、お1人1人の受け止めだと思うんですよね」
Q.地元には「理解」の意味を「賛成」に置き換えて考えた人もいるが?
東京電力 廃炉推進カンパニー 小野明プレジデント
「私の答えはずっと変わらないと思いますよ。私の『理解』の概念を教えろと言われてもなかなか答えられません」
Q.東電の(「理解」の概念)をきいている。東電としての「理解」の意味を教えてくれと
東京電力 廃炉推進カンパニー 小野明プレジデント
「東電の理解の意味はだからないですよ。これは東電が主体的にこういう定義だって決めるものではないからだと思ってます」
小野プレジデントは、「理解はひとりひとり違う」と繰り返し述べるにとどめました。
地元、相馬双葉漁協の組合長は…
Q.政府と東電の「関係者の理解なしに」の「理解」っていうのはなにを指すか?
相馬双葉漁業協同組合 今野智光組合長
「いつも言うんだけど、何を基準にして何をもって国の人たちは我々が理解したって判断するんだ。いつも処理水の問題の説明に来る国の役人がいる、その立場の人間が。なんぼ問いかけても答えてもらったときねえんだ」
Q.海洋放出ありきで工事を進めている姿勢は?
相馬双葉漁業協同組合 今野智光組合長
「あんなの話にならない。ただ今回の場合は、辺野古や成田と一緒で国策だ、海洋放出は。だから、ある程度の話し合いはついてるんじゃないの、東電と国の。だって結論もわからないんじゃ(処理水放出の)工事は進められない。 結論ありきのすすめ方だ、自分から言わせれば」
地元の「理解」があるとはとても言えない状況にもかかわらず、放出の準備は着々と進んでいます。
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