『裁判所は差別を認めたんだなと』聴覚障がい女児死亡事故…争点の「逸失利益」とは(2023年2月27日)

『裁判所は差別を認めたんだなと』聴覚障がい女児死亡事故…争点の「逸失利益」とは(2023年2月27日)

『裁判所は差別を認めたんだなと』聴覚障がい女児死亡事故…争点の「逸失利益」とは(2023年2月27日)

聴覚障がいのある児童が死亡した事故をめぐる裁判。争点となったのは「女の子が将来得られるはずだった収入」をどのように算出するかでした。

 聴覚に障がいのある娘を事故で失った両親が損害賠償を求めた裁判。2月27日の会見で両親は怒りを露わにしました。

 (死亡した安優香さんの母 井出さつ美さん)
 「どんなに努力しても聴覚障がい者だというそのひと言で社会には受け入れてもらえないんですかって」

 2018年2月、大阪市生野区の聴覚支援学校の北側の歩道で車道を走っていた重機が下校中だった児童らに突っ込み、この学校に通っていた井出安優香さん(当時11)が死亡しました。重機を運転していた男は2021年に懲役7年の刑が確定して現在は服役中です。

 事故から2年後、安優香さんの両親は男らに対して約6100万円の損害賠償を求める裁判を起こします。争点となったのは『逸失利益』でした。逸失利益とは「将来得られるはずだった収入」のことです。

 井出さんの両親は「全労働者の平均賃金」である年収約500万円を基に算出すべきと主張。一方の被告側は「聴覚障がい者の平均賃金」を基にするべきとし、全労働者の平均賃金の約60%に相当する年収約290万円での算出を求めました。

 障がいを理由に将来の収入が少なくなるとする被告側の主張に、安優香さんの両親は次のように話しました。

 (安優香さんの母 井出さつ美さん 2月15日)
 「ただただいい結果を信じています。あんな差別的なことを言われて、やっぱり私はどうしても謝罪させたいんです」

 そして迎えた2月27日の判決。大阪地裁は男らに約3700万円の賠償を命じました。逸失利益については全労働者平均の85%にあたる年収約420万円相当と判断。その根拠について裁判所は「事故当時の聴覚障がい者の収入は全労働者の平均と同程度であったとはいえない」としながらも「将来さまざまな手段で聴覚障がいによる影響を小さくすることができたといえる」などと理由を述べました。

 しかし両親は会見で納得できないと話しました。

 (安優香さんの母 井出さつ美さん)
 「どんなに努力しても、ただ聴覚に障がいを持っているというだけで、その子の人生を否定されなければいけないんですかって」
 (安優香さんの父 井出努さん)
 「結局は裁判官・裁判所は差別を認めたんだなと、落胆した気持ちです」

 井出さんの両親は控訴について今後検討するとしています。

▼MBS NEWS HP
https://ift.tt/LiJG0Ps

▼最新ニュースや特集を毎日配信 チャンネル登録お願いします!
https://www.youtube.com/c/MBSnewsCH?sub_confirmation=1

#MBSニュース #毎日放送 #逸失利益 #聴覚障がい #死亡事故 #損害賠償 #賠償命令

MBSnewsCHカテゴリの最新記事