「見ているだけでなく出来ることがある」データから事実解き明かす“OSINT” ロシアの進軍暴いた大学生の戦い【ウクライナ侵攻から1年】|TBS NEWS DIG
24日でロシアによるウクライナ侵攻から1年です。戦場から遠く離れた地で、ネット上の様々な情報からロシア軍の動きを暴くなど事実を解き明かそうとする取り組みがこの1年で一気に広がりました。
撮影者
「ウクライナに向かって渋滞が起きている。軍用車両が列をなしているけど、どこに向かっているのだろう?」
去年2月、ロシアがウクライナに侵攻する2日前に撮影され、ネット上に投稿された動画です。
「特定完了!」
撮影場所を特定したとの投稿が。そこは、ウクライナ国境までわずか10キロほどのロシアの田舎町。「戦車は西に向かっている」との分析もなされ、ロシア軍がウクライナ側へと移動していることを突き止めたのです。
ロシアが当時「侵攻の意図はない」としながら、一方で、国境付近に軍を集結させているとの情報を裏付けるものでした。
投稿主はアメリカ・アラバマ州にいました。ジャスティン・ピーデンさん(21)。9000キロも離れた場所からどうやって特定したのでしょうか。
ジャスティン・ピーデンさん
「ここに標識が見えますよね。それから角にガソリンスタンドが見えますよね。緑の屋根が特徴です。ガソリンスタンド名を検索すると、町に4~5か所しかないと分かったのです」
動画内の様々なヒントから、ネット上の地図や実際の風景を見られるサービスを活用し、場所を割り出したといいます。
ジャスティン・ピーデンさん
「これは大きな発見でした。ロシア軍が集まり始めているのは知られていましたが、実際に軍用車両が国境に向かって走行している様子は、事態がいかに差し迫っているのかを物語っていました」
大学生のピーデンさん。授業の合間を縫い、ウクライナ側の被害の実態やロシア軍の動きを暴く活動を毎日のように続けてきました。
まだ情報が錯綜していた侵攻3日後にも。
投稿されたのは、ロシア軍とみられる兵士や車両の映像。ピーデンさんは同様の手法で撮影場所を特定し、当局の発表よりも前に、ロシア軍がウクライナ南部のベルジャンシクに進軍したことを暴いたのです。
こうしたSNSに投稿される画像や衛星データなど、様々な公開情報を丹念に分析し、事実を解き明かす手法は「OSINT=オシント」と呼ばれ、ウクライナ侵攻以降、個人レベルで取り組む人が一気に増えました。
専門家はその意義をこう強調します。
スウェーデン国防大学 マシュー・フォード教授
「ウクライナでの戦争は『オシント』の活動などで、より透明性が保たれています。さらにウクライナ軍は、市民が提供する情報など含め、様々な情報を組み合わせることで、この戦争をより効率的に遂行しようとしています」
ジャスティン・ピーデンさん
「私たちはただ見ているだけでなく、できることがあるのです。戦地に行かなくても情報戦に参画することで、誰もが積極的に関与することができるのです」
虚実入り交じった情報戦のなかで闘う「オシント」の担い手たち。その闘いもまもなく2年目を迎えます。
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