“15%賃上げ企業”カギはAI 一方増加する「ゾンビ企業」賃上げできない社長苦悩(2023年1月29日)

“15%賃上げ企業”カギはAI 一方増加する「ゾンビ企業」賃上げできない社長苦悩(2023年1月29日)

“15%賃上げ企業”カギはAI 一方増加する「ゾンビ企業」賃上げできない社長苦悩(2023年1月29日)

政府が最重要課題と強調する賃上げについてです。
「賃上げできる企業」と「できない企業」、それぞれを取材すると、コロナ禍で増加する「ゾンビ企業」の問題が見えてきました

▽「ゾンビ企業」増加…“手取り19万円”の社長苦悩
(印刷会社の社長(48))「200~300万円あった売上がほぼ0って感じですね。」
従業員3人の小さな印刷会社を経営しているAさん。旅行関係の印刷物が中心で、新型コロナの影響が直撃しました。
(印刷会社の社長(48))「僕の給料を半分近くに下げている状況なので、従業員にも(賃上げを)我慢してもらっている状況ですね。」
記録的な物価高の中、“賃上げ”が課題となっていますが、とてもその余裕はないと言います。
(印刷会社の社長(48))「(私の)手取りは19万円ですね。」
Q. 社員に給料を払うために?
「そうですね、はい。コロナ融資で借りたお金からやりくりして支払いとか給料を払ったりしてる感じですね。」
今、実質的に経営破綻しているにもかかわらず、“金融支援”で生き延びている、いわゆる「ゾンビ企業」が増えています。「ゾンビ企業」とは、借入金の利子を、儲けで賄うことができない企業のこと。18万8000社あり、その比率は日12.9%に及びます。
(印刷会社の社長(48))「もうゾンビですね、まさしく。(金融機関)2行から借りてまして、合計で2500万円。(会社を)もう畳んだほうがいいのかなって思うんですけど、借り入れをたくさんしちゃっているので…」
Aさんは、きのうから副業として、フードデリバリーの配達員も始めました。
(印刷会社の社長(48))「やっぱり従業員もね、家庭とか生活があってのことなので、そこは絶対(社員の)給料だけは払えるように。」
城南信用金庫が、取引先の中小企業738社に賃上げについて尋ねたところ、72.8%が「賃上げの予定なし」と答えました。
最大の理由は、価格転嫁の難しさでした。
(城南信用金庫 営業部本店 福井亮介副本店長)「物価高騰の流れから大きく影響を受けておりますので、価格転嫁を度重なって交渉すると、じゃあ他にあたってみるよっていうことを言われてしまったり、お取引先との力の関係、バランスもあると思うんですよね。」
コスト上昇分の商品への価格転嫁については、「まったくできていない」が6.8%、「ほとんどできていない」が26%に上りました。

▽警備員600人データ化 「15%賃上げ」の秘訣
一方で、大幅な賃上げに踏み切ったところも。名古屋市にある警備会社です。
(セキュリティスタッフ 梅本和希社長)「600人を対象に平均して15%、金額にすると月額2万5000円から3万円のベースアップをします。」
警備員600人の給料を、平均15%アップ。どうやって、これを実現したかというと。
(セキュリティスタッフ 梅本和希社長)「今“AI”が全部一元管理をしているので、それが今回の大幅な賃上げに踏み切れた大きな要因かなと」
カギはAIの活用。以前はホワイトボードに警備員の名前を書いたマグネットを張り付け、どこの工事現場に配置するか、社員が頭をひねっていました。
(セキュリティスタッフ 配置業務担当 牧野智子さん)「一日の大半を配置業務に時間を費やすような毎日が続いていました。」
それが今は、警備員600人のデータと、顧客がオンライン発注した、現場の住所や仕事内容などの情報を、AIが瞬時にマッチングします。
(セキュリティスタッフ 配置業務担当 牧野智子さん)「おおよそ4時間ぐらいは時間が空くようになりました。その空いた時間を使って隊員の方のフォローがより手厚くできるように」
管理部門の効率化は、経費削減や生産性の向上につながり、それを賃上げにあてたのです。
(セキュリティスタッフ警備員 池田正浩さん)「率直にとても嬉しいです。電気料金とか野菜とかも上がってきてますし、家計にも助かるので、すごい嬉しいです。」

▽独自技術で“2年連続の賃上げ”実現
(佐々木一真アナウンサー)「多くの中小企業で賃上げが難しいと言われる状況の中、都内にあるこちらのブラインドを製作している会社では2年連続で賃上げする事を決めたといいます」
去年は2.2%、今年は3%程度の賃上げを予定していると言います。貢献したのが、この会社独自の技術です。
(佐々木一真アナウンサー)「防犯ブザーの音、響いてますけども、これを“吸音素材”の中に入れると…」
「…かなり音量下がりますね。」
このグレーのパネルには、騒音を軽減する効果があります。
(東京ブラインド工業 櫻井武志社長)「音のエネルギーを吸って熱に変える技術なんですけど、室内音環境を快適するビジネスを始めた」
従業員20人のこちらの会社は、この“吸音素材”を使った製品を開発。今や売り上げの3割を占めるまでに成長しました。
(東京ブラインド工業 櫻井武志社長)「やはり社員さんが一生懸命やってくれるあっての会社なので。内部留保ばかりしてもしょうがないので。(社員に)還元できるところは還元するっていう形を取っていかなくちゃいけないかなと思っています」
賃上げに加え、パート従業員の正社員化にも力を入れ、それらが開発力のアップにつながっていると言います。
(東京ブラインド工業 櫻井武志社長)「パートさんから正社員になったのは(去年)3名おりまして、モチベーションが上がって一生懸命仕事をしてもらって、また忙しくなって、利益がまた出てくるっていうような、それでいいサイクルとしてつながっていると思います。」

1月29日『サンデーステーション』より
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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