「禁止命令」あるけど…“ストーカー規制法”で人は守れるのか?博多駅前女性刺殺事件から考える|TBS NEWS DIG

「禁止命令」あるけど…“ストーカー規制法”で人は守れるのか?博多駅前女性刺殺事件から考える|TBS NEWS DIG

「禁止命令」あるけど…“ストーカー規制法”で人は守れるのか?博多駅前女性刺殺事件から考える|TBS NEWS DIG

JR博多駅前の路上で女性が刃物で刺され殺害された事件で、死亡した川野さんの元・交際相手が先ほど任意同行されました。元交際相手は、去年11月に警察からストーカー規制法に基づく「禁止命令」を出されていたことが捜査関係者への取材でわかりました。ストーカー規制法で人は守れるのか?専門家に聞きました。

=元交際相手から"ストーカー被害"か複数の警察署に相談し禁止命令書も交付=

井上貴博キャスター:まだ逮捕には至っていませんので、元交際相手が犯行に及んだのかどうかというのはまだ断定はできない状況ではありますが、重要な事実を知っているということは間違いなさそうです。

殺害されたのは会社員・川野美樹さん(当時38)です。

▼16日の午後6時過ぎ
JR博多駅前の路上で男に刃物で刺される。30代から50代とみられる男が現場から逃走。捜査関係者によると現場近くの防犯カメラには、川野さんが抵抗できなくなった後も執ように刺し続ける様子の映像があった。

▼18日の昼前
その元交際相手が博多区内で発見。現在、警察署で事情聴取が続けられている。

その元交際相手から"ストーカー被害"を川野さんは訴えていました。

▼2022年10月
複数の警察署に相談「交際相手に別れを告げたのに職場で待ち伏せされている」

現場付近の指紋が元交際相手と一致したというところから犯行についてはまだ断定できませんが、元交際相手が現場付近にいたということは、このあたりで裏取りが取れたというところだろうと思います。

福岡県警によると、相談を受けて川野さんに・住んでいる場所変わってはどうか、転居を勧める・携帯型の緊急通報装置も貸し出す

▼11月ストーカー規制法に基づく禁止命令書を交付
▼12月交際トラブルが落ち着いたため、川野さんが緊急通報装置を返却。
これ以降警察への相談はなし。

相談があり、警察が乗り出し、ある程度状況が落ち着いていたように見えていた中での事件となってしまったのです。

=GPS機器などでの位置情報取得もストーカー規制法で規制対象に=

ストーカー規制法についてです。つきまといなどを繰り返すストーカー行為者に警告・逮捕することで被害者を守る法律です。

▼規制の対象となる行為・・・つきまといなど
・監視していると告げる
・無言電話
・執ようなメッセージ
・尾行
・待ち伏せ
などが対象になります。

その中で今回被害に遭った川野さんは「交際相手に携帯電話を取られた、そのことで位置情報が分かるようにされている」と、警察に何度も相談していました。位置情報がばれてしまっていると、この辺りも大変怖い思いをしてらっしゃったんだろうと思います。

実は法律が改正されています。このGPS位置機能について2021年、一部法律が改正されました。新たな規制対象として「相手の承諾なくGPS機器などを取り付け、位置情報を取得するなど」もつきまとい行為に当たるということで法律内で含まれました。

2021年のストーカー事案の相談件数を調べてみますと1万9728件。1年間で2万件ほどということは、単純計算で1日55件ぐらいの相談が寄せられている。それすらも氷山の一角というふうに言われています。

新たに加わった「相手の承諾なくGPS位置情報を取得したケース」というのも本当にごく一部、表に出ているだけの数字かと思いますが、2021年8月以降で43件ということが発表されています。

=「禁止命令」が出されても加害者への監視・聴取は基本なし=

「禁止命令」が出されるとどんな措置が取られるのか。被害を訴えた人は被害状況など定期的に聞き取りが行われます。警察ができうる限りのパトロールを行うことなどはできるそうです。

では、「禁止命令」が出された加害者側に対してはどんな措置があるのか。被害者との連絡のやり取りの履歴・データなど情報の消去措置は取られるそうです。ですが、これを行った後も具体的に監視を続けたり聴取を続けたりといったことは日本では基本的に行われていません。

ストーカー問題に取り組むNPO法人ヒューマニティ小早川明子理事長「措置としては不十分。医療機関などと連携し、禁止命令が出た側へのアプローチも必要ではないか(治療やカウンセリングなど)」

日本はどうしても被害者に対して転居を促すとか、被害者へのアプローチは強く、加害者側へのアプローチはやはり海外のように強めた方がいいのではないかというご指摘です。

今回のケースですが、川野さんは先ほどお伝えしました緊急通報装置を約1か月で警察に返却する措置を取っていました。どういうやり取りがあったのかは細かくわかっていませんが、小早川さん曰く、「ストーカー行為をする人の強い欲求がこの1か月という短期間で収まることはほぼありません。返却の受け入れは警察の判断に一つ甘さを感じます」というふうにおっしゃっています。

ホラン千秋キャスター:
ストーカーの相談件数が2万件近くあるというお話がありましたし、小早川さんの話で「短期間で収まることがない」ということになりますと、長期間にわたってたくさんの人がその対応…(https://newsdig.tbs.co.jp/list/article?id=jnn-20230118-6062664)

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