バレンタイン商戦・国宝もピンチ 東京の物価上昇40年ぶり高水準(2023年1月10日)

バレンタイン商戦・国宝もピンチ 東京の物価上昇40年ぶり高水準(2023年1月10日)

バレンタイン商戦・国宝もピンチ 東京の物価上昇40年ぶり高水準(2023年1月10日)

東京23区の先月の消費者物価指数は、前の年の同じ月と比べて4.0%上昇しました。40年8カ月ぶりの高い水準です。

『外食』の消費者物価指数は6.9%。そのなかで、ハンバーガーは18.3%と、突出した上昇率となっています。牛肉、バンズ、チーズ、野菜など、ハンバーガーは、値上げ食材のオンパレードです。

東京・原宿にあるアメリカンダイナーで一番人気のアボカドモッツアレラバーガー。何度も値上げせざるを得ない状況に陥っています。
サンフランシスコ ピークス・藁谷まどかマネージャー:「本当は一気に100円とか上げたかったけど、そうすると、いつも来てくれるお客さまに失礼というか、びっくりもしちゃうので。普通のハンバーガーでも1450円していて、なかには2000円近くするハンバーガーも出てきています。値上げしても“利益”は変わっていないと思います。材料費も上がって、人件費も上がっているんで。うちの社長と話しているのは、結構マイナスだよねみたいな。手軽に食べられるハンバーガーがいいんですけどね。レストランになっちゃいますからね」

『菓子類』の上昇率は6.6%。そのなかで、突出しているのは9.2%のチョコレート。原材料のカカオ豆などの高騰が原因です。

来月のバレンタイン商戦。特に今年は、大きな期待が寄せられていますが、価格上昇が不安の種となっています。
高島屋MD本部バイヤ―・森下由佳子さん:「3年ぶりに行動制限がないなかで迎えるバレンタイン商戦。店頭集客を大きく見込んでいる。(価格)上昇しているブランドだと10%前後上がっているところが多い」

そのため、現場は、新たな対策に打って出ています。
高島屋MD本部バイヤ―・森下由佳子さん:「中東レバノンのチョコレートブランドを開拓しまして、ナッツ類をふんだんに使ったチョコレートが特徴。ナッツが地域的に調達コストを安く抑えられるので、(商品価格を)比較的安く抑えられた」

上昇率が高いのは、食品だけに留まりません。電気代は26.0%、ガス代は36.2%の上昇率となっています。

全国に4つある国立博物館の1つ、東京国立博物館。物価高の影響はここにも及んでいます。今年度の光熱費予算は約2億円ですが、電気代・ガス代の高騰で、実際には2倍以上となる約4.5億円となる見込みです。
東京国立博物館・松嶋雅人調査研究課長:「展示の照明だけではなく、収蔵庫の中も温湿度を一定に保つために、ずっとエネルギーを使っている。“空調経費”は年間を通じて必要。それを止めることはできない。(Q.空調を止めると作品を殺しかねない)日本の文化財は、木や紙、大変軟らかくて、繊細な、脆弱な材料が多い。そのままの状態では、100年後、200年後には、ある意味、朽ち果ててしまう」

日本文化を守るという大きな使命が、揺らぐ事態となっています。
東京国立博物館・松嶋雅人調査研究課長:「(光熱費の)不足分を新規購入経費や修理経費を、すでに使われてしまっているエネルギー経費に置き換える。結果、新しく収集する文化財や修理する経費が不足してしまう」

「光熱費の不足分を補正予算に盛り込んでほしい」と文化庁から財務省に折衝してもらいましたが、ゼロ査定だったといいます。
東京国立博物館・松嶋雅人調査研究課長:「もちろん、博物館だけ困っているわけでないのは重々承知。皆さんに寄付いただきながら修理してる品物もあったり、あるいは、外資系企業から巨額の寄付金をいただいて修理しているものもある。孫やひ孫にも観てもらわないといけない。この作品・文化財を大切にしてきた人の思いを引き継いでいますので、それを先々伝えていきたい。今の人たちにも楽しんでもらいたい。それを何とか両立したい」

◆今後、食料品や光熱費は、どうなるのでしょうか。

大和証券のチーフエコノミスト・末廣徹氏は「食料品は、年末から円高が進んでいるので、今年の半ばには値上がりが落ち着く可能性がある。電気代は、政府の補助金が入るので2月以降は下がる。電力各社が4月からの値上げを目指しているが、円高の影響で原油価格が下がるので、電気代は今がピークの可能性が高い」としています。「今後、物価指数の伸び率は2~3%で推移する見込みだが、物価の上昇は続くので、それに見合うだけの賃上げが出来るかがカギだ」といいます。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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