【振り返り】円安と物価高に泣いた2022年―「賃上げ伴う物価上昇」はどうなる?
印象に残る 2022年の取材を特集。日本テレビ経済部で日銀など金融分野を担当する広芝学記者と、円安や物価高に国民が悲鳴を上げた一年を振り返ります。値上げラッシュを引き起こした要因や、景気に配慮する政府・日銀の姿勢とその影響を考えます。
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■32年ぶり「円安ドル高」で話題に
今年に入り、円相場は円安が進んでいました。10月20日。広芝記者は「1ドル150円を突破しました。32年ぶりの円安ドル高水準を更新です」と現場からレポートしました。
広芝記者
「これほどまでに緊迫感が、為替の動向によって強まったのは初めての経験でしたね」
その後、円安を抑えようと政府・日銀が通貨の売買を行う「為替介入」を数回にわたって実施。一時的に歯止めがかかったものの、乱高下が続きました。
■日米の「金利差」で急激な円安に
杉原凜アナウンサー
「そもそも、どうして円安が急激に進んだのでしょうか?」
広芝記者
「大きな要因となるのは、日本とアメリカの金利差です。アメリカやヨーロッパでは今、歴史的な物価高、つまりインフレが進んでいます。これを退治しようと、アメリカはいまだかつてないほどの大幅な利上げに踏み切りました」
しかし金利を上げると、企業などに負担がかかり、景気が冷え込むリスクもあります。
広芝記者
「政府・日銀が景気に配慮して、何とか低く金利を抑えようとする、大規模な金融緩和策を今も継続しています。この結果、金利の安い円を売って、金利が高くより利回りを得られるドルを買う動きが強まりました」
■食用油など身近な物で値上げラッシュ
杉原アナウンサー
「急激な円安によって、どんな影響が具体的に出ていますか?」
広芝記者
「多くを輸入に頼る日本なので、エネルギーや食料品など、さまざまな物が値上がりしました。ガス代、電気代などをはじめとして、牛肉やスパゲティ、iPhone に代表されるデバイスなど電子機器も値上がりしたことが大きな話題となりました」
ロシアのウクライナ侵攻で、穀物や資源などが世界的に高騰したことに加え、円安が値上げラッシュに拍車をかけたとみられています。
広芝記者
「電気代やガス代もかなり上がりましたが、値上げ幅が特に大きかったのは食用油です。約20~30%以上値上がりした商品もあります。こうした身近な食用油などが値上がりすると、それを多く使う飲食店などにも影響があり、値上げの連鎖という形になっています」
■SNSなどで…黒田総裁に批判集中
円安、値上げと国民の関心が高まったことで、日銀の黒田総裁の発言も注目されました。
「日本の家計の値上げ許容度も高まってきているのは…」。今年 6 月にあった講演で発言の一部が切り取られ、SNS などで批判が集中。その後、発言を撤回するなど異例の事態となりました。
■値上げいつまで?…来年の展望は
杉原アナウンサー
「ずっと値上げが続いている状態ですが、これはいつまで続きそうですか?」
広芝記者
「円安の影響で、国内の企業間の物の値段(の動き)をやりとりする指数(国内企業物価指数、総平均)があり、11月は前年比プラス9.3%で、8か月連続で過去最高を更新しています。目先は、物価高がまだまだ落ち着く気配はなさそうです」
杉原アナウンサー
「もう本当に、一刻も早くどうにかなってほしいという気持ちもありますが、来年の日本経済はどうなると思いますか?」
広芝記者
「日銀のある幹部は、『企業のトップの話を聞くと賃上げに対する意識が変わってきている』と言っています。世界経済に不確実性というリスクはあるものの、賃上げを伴う物価上昇、そういった好循環の経済を期待したいですね」
(2022年12月22日放送「Oha!4」より)
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