米大統領「90億ドル全額支払いを」湾岸戦争 外交文書に残る日米交渉の内幕(2022年12月21日)
外務省は21日、30年以上前の外交文書の一部を公開しました。
19冊のファイル、6800ページを超える1991年の外交文書です。そこには、こう記されています。
海部俊樹総理(当時):「極秘。総理発言の発言概要。今回の湾岸における武力衝突を人類の最後の戦争にしたいと皆考えている。日本としては
できる限りのことをしたい」
1991年といえば、湾岸戦争が始まった年。ペルシャ湾に自衛隊の機雷掃海艇を派遣するという戦後史の転換点でした。
海部俊樹総理(当時の会見):「これをいいことに巡洋艦まで出てくるようになるのではという懸念があるとの指摘もあったが、それはやはり、ご心配がすぎる。今回、行くのは機雷の掃海、掃海艇と掃海母艦が行って、平和目的の行為をしてくる」
文書を読んでいくと、その派遣の背景には、当時の駐米大使から政府に要請があったことがわかりました。非常に強い表現での公電です。
村田良平駐米大使(当時):「極秘。大至急。わが国に対する評価をばん回する絶好の機会にもなる。如何なる反対があろうとも、不退転の決意で実行」
ここまで強く人を出すことにこだわっていたのは、理由があります。クウェート政府が、アメリカの主要な新聞に出した広告です。支援のあった多国籍軍に対し感謝を記したものですが、総額で約1.8兆円を拠出した日本への言及がありません。日本と同じく資金提供だけだったドイツの名前があったり、軍を派遣した韓国が記載されなかったなど、そもそも不完全な感謝状ですが、この件は関係者にとって大きなトラウマになりました。
今回、外交文書では、その支援金をめぐる内幕も書いてありました。
1991年当時、湾岸戦争への協力に消極的な日本に対し、アメリカ議会では、日本を非難する決議が出されるなどしていました。そんな状況もあり、ブッシュ大統領は海部総理に追加支援を強く迫っていました。
アメリカ・ブッシュ大統領(当時):「米に存在する反日感情はよくない。解決されれば議会の感情を収めることは容易になろう。全額を支払う努力をしていただけないだろうか」
このとき、日本政府は90億ドル、1兆1700億円(当時のレート)の追加支援を決めていましたが、円安が進み、5億ドル目減りしていました。
海部俊樹総理(当時):「円建ての拠出を上下することはできない」
結局、目減りした分は、基金を通じて拠出することになります。当時は、補填を否定していましたが、今回、日米首脳のやり取りが文書で明らかになりました。
海部俊樹総理(当時):「本件については、政治的に決着がなされた」
アメリカ・ブッシュ大統領(当時):「日本のおしみない貢献には感謝している。本件は、これで終わりである」
こうした30年経った外交書は、一部が毎年公開されています。
外務省・小野日子報道官:「(Q.アメリカ側からの強い圧力があったことがわかりますが、所感をうかがいたい)外交記録の公開は、我が国政府の過去の外交活動の成果を、歴史的検証にゆだねるということを本旨としていて、内容につきましては、皆さま、または研究者に検証をお願いできればと」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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