岸田総理“防衛増税”急いだワケ…突然止まった「安倍派の反発」(2022年12月16日)

岸田総理“防衛増税”急いだワケ…突然止まった「安倍派の反発」(2022年12月16日)

岸田総理“防衛増税”急いだワケ…突然止まった「安倍派の反発」(2022年12月16日)

 岸田総理の会見です。総理が説明を行っているのは、反撃能力の保有を初めて明記し、今月16日に閣議決定された安全保障戦略の大転換となる“防衛関連3文書”についてです。この文書の閣議決定に至るまでには、43兆円に増額される防衛費の財源を巡り、増税議論が混迷しました。岸田総理がここまで結論を急いだ背景には、来年1月に控えた、ある人との約束があったことが分かりました。

 「防衛増税」を巡り、自民党内は揉めに揉めましたが…。

 岸田総理大臣:「与党の税制調査会において約1兆円強について、法人税、所得税、たばこ税により確保する方針をお決め頂きました」

 結局は、宮沢税調会長一任という形になり16日、自公で2023年度税制改正大綱を決定しました。ただ、やはり納得のいっていない面々もいます。

 自民党・和田政宗参院議員:「我々は最後まで増税なき防衛費増額のために戦っていく」
 自民党・高鳥修一衆院議員:「安倍元総理がご存命であれば、岸田総理は安倍元総理に相談したはず。でも安倍元総理が亡くなったことで、相談する、気兼ねするという必要性もなくなった」

 高鳥衆議院議員など増税に対して“異論”や“不満”を表明していたなかには党内最大派閥・安倍派の所属だったり、安倍元総理と近かったりした議員も目立ちます。その反対のトーンを収めた“ある動き”があったといいます。

 ジャーナリスト・白鴎大学名誉教授、後藤謙次氏:「きのう決着しましたが、おとといの夜に大きな動きがあった。重要な会談があったと聞いている。この会談で、安倍派の動きが止まったと見ています」

 その会談、誰と誰との会談だったのでしょうか。

 ジャーナリスト・白鴎大学名誉教授、後藤謙次氏:「これはですね、首相動静等には全く出ていないんですが、おそらく夕方以降、岸田総理が公邸に引き上げた後に、森喜朗元総理と会談をしている。これ確認取れていますから間違いないことなんですが、この森元総理が、今事実上97人の安倍派に強い影響力を持っている」

 安倍派のパーティーに参加した時の森元総理のあいさつです。

 森喜朗元総理:「正直申し上げて、これだけの数がそろった派閥は、ほとんど私が作ったんですから。それは間違いないんです」

 ジャーナリスト・白鴎大学名誉教授、後藤謙次氏:「(Q.頼ったのが森元総理だった?)多分そうだと思います。今回この税調議論を見てても麻生副総裁と茂木幹事長の影は非常に薄くて、あくまで脇役でしかなかった。森さんが11月に岸田さんと会合した時も、岸田政権を全力で支えるということを伝えてそれを実行に移したんだと思う。つまり安倍派の萩生田さん、世耕さん、西村経済産業大臣等々に、『岸田総理を支えていけよ』ということを伝えて、これまで振り上げた拳を、幹部クラスが徐々にトーンダウンしていって、あの集約に持ち込んだと。ただそこでも手ぶらで降りられないので、いつ実行するかについては来年決めましょうというところで妥協をしたという面はあると思います」

 今回決定した大綱では、法人税は4%から4.5%を上乗せ。所得税は復興特別所得税を1%引き下げる代わりに防衛財源として1%を上乗せ。たばこ税は1本あたりの税額を3円引き上げるとしています。ただ実施する時期は、2024年以降の適切な時期として明記しませんでした。

 自民党・柴山昌彦衆院議員:「それだったらなぜ、この年末の税制大綱に、そういった内容のものを何が何でも入れなければいけないのかということについては、私はやはり疑問符を付けざるを得ない」

 一体なぜ、岸田総理は年内にこだわったのでしょうか。

 ジャーナリスト・白鴎大学名誉教授、後藤謙次氏:「取材から浮かび上がってくるのは、明らかに締め切り時間がありました。つまり締め切りから逆算してこの年末には決着しなきゃいけないと。その締め切りは何なのかと言うと、1月に検討している訪米があると思います。今回の防衛力増強についても、岸田さんが最初に口にしたのは、今年の5月来日したバイデン大統領、この会談の後の記者会見だったんですね。そのお土産を持ってワシントンに行かねばならない」

 「防衛力増強」というアメリカへのお土産。岸田総理がそのための増税方針を表明したのは、わずか8日前のことです。なぜここまで唐突で、駆け込みのような形になったのでしょうか。

 ジャーナリスト・白鴎大学名誉教授、後藤謙次氏:「臨時国会は旧統一教会問題があって、会期末の12月10日までギリギリ追いまくられてしまった。予習時間がないまま本番の試験が出てしまった。そこでポンと43兆円という規模を示して、その中身を詰める議論に入った」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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