【解説】政府「支援策」実施も…全然足りない可能性?冬の電気代値上げ

【解説】政府「支援策」実施も…全然足りない可能性?冬の電気代値上げ

【解説】政府「支援策」実施も…全然足りない可能性?冬の電気代値上げ

12月1日からまたしても電気代が値上がりします。春以降はさらに値上げされる可能性もあり、生活への影響が懸念されます。

「また…12月1日から値上げ」
「政府想定上回るレベル」
「何ができる? 家庭で対策」

以上の3点について詳しくお伝えします。

■7年ぶりに冬の「節電要請」 電気料金も値上げで“厳しい冬”に
政府は12月1日から、全国の家庭や企業に無理のない範囲での節電“を呼びかけます。全国規模での冬の節電要請というのは2015年度以来、7年ぶりのことになります。期間は来年3月末までです。今年の夏にも7月から9月末まで節電が要請されました。2か月おいて再び「節電要請」ということになります。

今年は電気料金の値上げも続くので、一層、厳しい冬になりそうです。

■「自由料金プラン」 割安のはずが割高に…なぜ?
家庭の電気料金プランというのは2022年11月現在、大きく分けると、国の認可をもとに価格を設定する従来の「規制料金プラン」と、6年前の電力自由化で電力会社が自由に設定できるようになった「自由料金プラン」があります。

多くの人が「自由料金プラン」を利用していますが、12月に値上げになるのが、その「自由料金プラン」の方です。例えば、東京電力では平均的な電気使用量の家庭で(月の電気料金が)1万944円になるということで、11月分と比べても572円の値上がりになります。一方で「規制料金プラン」については、据え置きで9126円のままです。
本来であれば、価格競争が働く自由料金プランの方が割安となるはずですが、今は逆に割高な状態が続いているということです。

なぜ、こういった逆転現象が起きているのかというと、従来の規制料金プランというのは、値上げするには国の認可が必要だからです。規制料金プランは、すでに大手電力10社すべてで値上げできる上限に達してしまっています。

東京電力の2つの料金のプランの推移ですが、規制料金プランの方は、値上げの上限に達した後はしばらく据え置きが続いていますが、自由料金プランはどんどん値上げしていて、来年1月にはさらに値上げして、1万1170円となり、規制料金プランより約2000円、割高になってしまいます。

【東京電力の電気代の推移(モデル家庭)】
◇規制料金プラン
・去年11月時点で月7371円
・上限に達し、その後は月9126円で据え置き

◇自由料金プラン
・去年11月時点で月7423円
・来年1月には月1万1170円まで上昇

■平均で3割から4割値上げか…電力各社が「値上げ申請」
自由料金プランから規制料金プランに戻したとしても、値上げからは逃れられそうにありません。

規制料金については東北電力、中国電力、四国電力、沖縄電力の電力各社が、すでに値上げを経済産業省に申請しています。値上げ幅は平均で3割から4割程度で、来年4月の実施を目指しています。例えば、沖縄電力で平均39.3%の値上げを申請していて、この通りに認められると、1か月の支払額が3473円増えることになります。

また、東京電力も値上げ申請に向け準備をしていて、北陸電力は11月30日に申請したということです。

■年明けから政府の「支援策」実施も…全然足りない可能性
家計に直結する電気料金の値上げですが、年明けから政府の支援策というのが始まります。この支援策では、今よりも電気料金が2割ほど増えると想定して、その分を政府が肩代わりするというイメージです。それによって、東京電力の標準的な電気使用量の家庭では、月に1820円値下がりすることになりますが、ただ、これだけでは全然足りない可能性があります。

例えば、東京電力の規制料金プランの場合だと、今は(モデル家庭の月の電気料金が)月に9126円です。来年1月に政府の支援が始まると、家庭の負担というのは(支援策の1820円分が)下がって7306円となり、いったんは安くなります。ただ、来年4月以降に東京電力も規制料金が値上げされて、仮にその値上げ幅が4割だとすると、料金は1万2000円を超えることになり、支援策の分を差し引いても、家庭の負担は今よりも増えて1万円を超えるとみられます。つまり、政府の想定を上回るレベルで値上げが加速していくおそれもあるとみられています。

■「冬の節電プログラム」で“最大で5000円相当”のポイント
ここまで電気代が上がると、「節電しなきゃ」という人も増えそうです。そこで国は、国の節電プログラムで、最大で5000円相当のポイントがもらえる「節電チャレンジ2022」という取り組みをしています。詳しくみてみますと、「冬の節電プログラム」にエントリーするだけで、まず2000円相当のポイントがもらえます。さらに、電気使用量を前の年の同じ月と比べて3%以上減らすと、月に1000円相当のポイントがもらえます。対象となるのは来年の1月から3月分の電気料金で、もらったポイントは電子マネーなどに交換することができるというものです。
“3%の節電”と言われてもなかなかイメージがわかないかもしれませんが、具体的にどうすればいいか、経産省が具体的な節電効果を数字で示しています。

それによると、節電効果が高いのは、「重ね着などをして室温を下げる」ことです。エアコンの設定を22℃から20℃に下げると、2.7%の節電、そしてリビングや寝室などの部屋の明るさを下げると、1.5%の節電になります。また、「冷蔵庫を冷やす強度を『強』から『中』に変えて、扉を開ける時間を減らしたり、食品を詰め込み過ぎたりしないようにする」と、1.5%の節電になるということです。ちりも積もれば…ですが、普段の生活の中で少し意識するだけで、3%ぐらいの節電は達成できそうです。

   ◇

この電気料金の値上がりがいつまで続くか見通せない中、節電や補助金だけで乗り切るのには限度があります。これを機会に輸入資源に頼らないエネルギー構造の転換も一層、加速する必要がありそうです。
(2022年11月30日放送「news every.」より)

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