「銃突きつけられ…」ミャンマーで拘束の久保田徹さん帰国直後スタジオで語る“当局が事実でない写真を撮影”｜TBS NEWS DIG
クーデターで軍が実権を握ったミャンマーで拘束され、3か月半ぶりに解放されたドキュメンタリー映像作家の久保田徹さん。帰国当日に拘束時の状況を伺いました。
■「禁固10年」の判決受けミャンマーで拘束 久保田徹さんが帰国
宮嵜仁美 記者
「11月18日午前6時すぎです。ミャンマーで拘束されていた久保田徹さんが羽田空港に到着しました」
拘束から約3か月半。出迎えた友人たちと再会を果たし、ホッとした表情を見せた久保田さん。
映像作家 久保田徹さん（26）
「本当に言葉では言い表せないほど感謝を感じています」
久保田さんは2022年7月、ミャンマーの最大都市ヤンゴンで、軍によるクーデターへの抗議デモを撮影中に拘束されました。
その後、ミャンマーの裁判所は久保田さんに対し、観光ビザで入国し抗議デモを取材したとして「入国管理法違反」や「扇動罪」「電子通信に関する違反」の3つの罪であわせて禁錮10年の判決を言いわたしました。
久保田徹さん
「電気通信法違反が最も重い量刑で5年間でした。私が以前ロヒンギャなどについてのドキュメンタリーを制作して、インターネット上で公開したことが理由として、私が知る限り罪状として与えられたことです」
11月17日、ミャンマー軍は政治犯ら約6000人に恩赦を与えると発表。久保田さんも解放され、11月18日に帰国しました。
■“40時間前に解放”で生出演 軍事クーデター後のミャンマーで何が？
小川彩佳キャスター：
久保田さんは40時間前に刑務所を出たばかりで、今東京にいらっしゃるという実感はどうですか？
久保田徹さん：
まだ現実を認識するのが、ちょっとまだ不明瞭なような感じで。徐々に慣れてきているような感覚は確かにあるなと思っています。
小川キャスター：
そんななかスタジオにお越しいただき、ありがとうございます。
まずは久保田さんが拘束されたミャンマーについてです。タイの西にある国です。2021年2月に軍事クーデターがあり、軍が全権を掌握しました。アウン・サン・スーチー氏も拘束され、今も刑務所に収監されています。
そんなミャンマーでは軍に抗議するデモが起きていました。久保田さんはそうしたミャンマーの現状を取材するために現地に入られたということですが、まず拘束されたときの状況を詳しく教えていただけますか。
久保田徹さん：
ミャンマーにおいては今現在デモというのは通常のような形で、場所や時間を告知して集まるということが、もはやできない状況になっています。
ですのでデモを組織する方々はゲリラ的に、つまり時間や場所を公開せずに秘密裏に集まって、わずか数分やあるいは数十秒の間だけ声を発して、そのまますぐに走って逃げ去るような。それが「フラッシュデモ」という名前で呼ばれています。
その場所や時間を知ることはとても難しいんですけども、匿名のSNSアカウントを通じて場所と時間を知ってその場所に行きました。
彼らはデモの時間になると、私の反対方向に走っていって、私はそれを後ろからこっそり撮影していて。そのまま何事もなかったかのように彼らは反対方向に行ったので、僕もその道にさっさと歩いていったんです。
ほんの少しして、後ろから近づいてくる車に気づいたときに、車から飛び出してきた2人の軍人が、大きな声で何か叫んで銃を突きつけてきました。
そのときにはもう手を挙げて伏せなければいけない、ここで逃げ出したりすると撃たれるだろうと思ったので、そのまま彼らの言う通りに手錠をかけられて車に入れられて警察署に連れて行かれました。
小川キャスター：
事前にデモに関するリークなどがあったということでしょうか？
久保田徹さん：
そうですね、既にその場所に私服で待機していたのだと思います。
国山ハセンキャスター:
拘束されたときは何を思いましたか？
久保田徹さん：
銃口がまず目の前に来るという体験が私にとって初めてだったので、一瞬頭が真っ白になりました。彼らの言うとおりにしないとまずいなと思いました。
■横断幕を持たされ撮影された写真が…「既成事実を作りたかったのか」
小川キャスター：
軍の会見で出された写真には、ミャンマー軍を批判するような内容の横断幕を持っている久保田さんが映っています。実際にこうして横断幕を持ってデモに参加したということはあったんですか？
久保田徹さん：
そのような事実はなかったです。この写真は警察に拘束された後に、4人で並ばされてもう何も分からず、このようなものを持たされて写真を撮らされました。このように使われていたのを知ったのも後のことです。既成事実を作って、起訴しやすくしたのかなという風に理解してます。
小川キャスター：
結果として久保田さんには「禁錮10年」という判決が言い渡されました。判決を聞いたときはどんな心情でしたか？
久保田徹さん：
10年という年月はあまりにも重たく実感がわきづらいですが…宣告されると目の前が暗くなるような衝撃がありました。
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