着弾ミサイルはウクライナ防空用? ゼレンスキー大統領「現地で調査を…」(2022年11月17日)

着弾ミサイルはウクライナ防空用? ゼレンスキー大統領「現地で調査を…」(2022年11月17日)

着弾ミサイルはウクライナ防空用? ゼレンスキー大統領「現地で調査を…」(2022年11月17日)

 ポーランドに着弾したミサイルについて、アメリカをはじめ各国がウクライナの迎撃ミサイルだという見方を示すなか、ゼレンスキー大統領は真っ向からそれを否定し、ウクライナの専門家を現地に派遣して調査すべきだと主張しています。一体なぜなのでしょうか。

 ミサイルが着弾したポーランドとウクライナの国境にある草原。GPS(全地球測位システム)機器を手にした警察が破片などを回収するため探し歩いています。

 真っ黒く焼け焦げたような金属片もミサイルの残骸なのでしょうか。

 着弾した村の住民:「私たちは恐怖を感じています。何かがここへ落下して、詳しいことは何も分かっていません。そして2人が亡くなりました。その家族は今、悲嘆に暮れています。彼らは仕事に行ったまま、帰らぬ人となってしまいました」

 AP通信によりますと、犠牲となった民間人2人は近くの穀物乾燥施設で働く、いずれも60代前後の男性だったそうです。

 ポーランド、ドゥダ大統領:「ポーランドに対する意図的な攻撃だったという裏付けはまだ何もありません。誰がミサイル落下に対する責任を負っているのか、要するに誰がミサイルを落としたのかという疑問はあるが、現段階でロシアから発射されたという証拠は一切出ていない」

 ポーランドの大統領はウクライナ軍の迎撃ミサイル「S300」が着弾した可能性が高いとの見方を示しました。

 ウクライナが防衛のため配備しているS300。

 1970年代に旧ソ連が開発した地対空ミサイルシステムで、元々はウクライナも所有し、軍事侵攻後はヨーロッパ諸国などから追加で供与されています。

 防衛研究所の高橋杉雄さんは、S300が国境を越えてポーランドに着弾した理由について…。

 防衛研究所・高橋杉雄室長:「迎撃ミサイルですから、ロシアの巡航ミサイルが飛んできたものを迎え撃つために発射されて、当たらないでそのまま飛び越えて、ポーランドの領内に落ちたのではないか。意図的にポーランドの国境近くを(ミサイルが)通したと考えている理由は、対空ミサイルの基地とポーランドの国境の間をミサイルが飛んだ場合、今回のような事故が起こり得るのでウクライナは迎撃をしにくいとロシアは考える」

 しかし、NATO(北大西洋条約機構)は結局のところ最初に侵攻を始め、ウクライナが防空システムを使用せざるを得ない状況に追い込んだロシア側に責任があると表明。

 国連でもポーランドにミサイルが着弾したことを受けて安全保障理事会が開かれ、アメリカなどがロシアを非難しました。

 トーマス・グリンフィールド、アメリカ国連大使:「一つだけ分かっていることは、この悲劇がロシアの不必要なウクライナ侵攻と、ウクライナのインフラ施設に対する攻撃がなければ決して起こらなかったでしょう」

 そうしたなか、ウクライナ側が現地への立ち入り調査を求めています。

 ウクライナ、ゼレンスキー大統領:「ロシアの侵攻がどのようにポーランド国境を越えたのか、すべての状況を明らかにするべきです。私たちの専門家が国際的な調査に参加することが必要で、関係者が入手できるすべてのデータと爆発現場にアクセスすることが必要です」

 「ウクライナの迎撃ミサイルが着弾した」との見方に対し、反発するゼレンスキー大統領。

 そう主張する根拠について、専門家は軍との関係性を指摘します。

 国連でロシア代表がポーランドのミサイル着弾について全面否認しました。

 ロシア、ネベンツィア国連大使:「ポーランド領内に着弾したのはウクライナのミサイルであり、防空システムによって発射されたものです。つまり、これは単なる偽情報でなくNATOを我が国との直接的な対立に巻き込もうとする意図的な試みです」

 イギリス、ウッドワード国連大使:「調査の結果を待つ間、ロシアの違法かつ不当な侵略とウクライナ国民に対する非人道的攻撃が原因となっていることを明確にするべきです」

 一方、「ロシアのミサイルであることに疑いの余地はない」と主張するゼレンスキー大統領。

 ウクライナの主要メディアによりますと、ポーランドにミサイルが着弾した時間がロシア側から発射された複数のミサイルのうち1発と一致したという証拠があると伝えています。

 ウクライナ、ゼレンスキー大統領:「私たちは細部まで、すべての事実を立証することを目指しています。私たちはミサイルが着弾した夜の一連の出来事を関係国にも伝えてきました」

 ロシアが関与を否定し、バイデン大統領も「ロシアから発射された可能性は低い」と述べるなか、調査の進展に世界の注目が集まっています。

 ポーランド、ドゥダ大統領:「バイデン大統領から共同調査が提案されました。ポーランドとアメリカの専門家で行われ、いかなる者も我が国とアメリカの合意なく参加することはできません」

 防衛研究所・高橋杉雄室長:「ウクライナ軍が『我々の攻撃ではない、ミサイルではない』と言っている以上は、そのボス、最高司令官であるゼレンスキー大統領が軍が言っていることを覆すことはあり得ない。それを覆すとしたら、ウクライナ自身の目で破片を確認し軍に対して、うちの誤射であったと謝罪をさせてもらうような形の手順が必要」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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