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【報ステ解説】「失敗認めないと…」NATOと“溝”ができる恐れも 隣国に着弾2人死亡(2022年11月16日)
日本時間16日未明、ウクライナと国境を接するNATO加盟国ポーランドにミサイルが着弾し、2人が死亡しました。
ミサイルが落下したのは、ウクライナとの国境から6キロほど離れたプシェボドフです。
ゼレンスキー大統領は日本時間16日午前、「ミサイル攻撃は、NATOの集団安全保障に対するロシアの攻撃だ」とポーランド国民に呼び掛けました。
ただ、アメリカのバイデン大統領は、G7とNATOの緊急会合で「ポーランドで起きた爆発は、ウクライナの防空ミサイルが原因だ」と通知しました。
ウクライナの防空ミサイルが原因だったという見方は、ポーランドの大統領やNATO側も同じような見方をしています。
ウクライナ空軍司令部によりますと、ロシアは15日、ウクライナ全土に96発のミサイル攻撃を行い、そのうちの75発を迎撃に成功したとしています。
ポーランドとの国境に近い、リビウ周辺にもミサイル攻撃があったということです。
◆プシェボドフにいる金指光宏記者
この辺りは住宅があって、人の姿も見られますが、辺り一帯は農地が広がって非常にのどかな場所です。
検問の警察官や集まったメディアがいなければ、こんな所にミサイルが落ちたことが信じられないほどです。
(Q.『ウクライナの迎撃用ミサイルが着弾した』という見方が支配的になっていますが、ポーランド国内では、どのように受け止められていますか?)
今回の戦争でポーランド人が亡くなったということで、ポーランド国内では非常に大きな衝撃をもって受け止められています。
一方で、比較的冷静だという印象を受けます。
取材をすると「ウクライナとの国境近くで攻撃が起きている以上、いつかこういうことが起きるのではないかと思っていた」と話す人もいました。
また、ポーランド政府などから「ミサイルがどこから発射されたものか分からないので、冷静になるように」と呼び掛けられていたこともあって、今回のミサイル着弾ですぐに「ロシアと戦争だ」「避難をしないといけない」という動きにはつながっていません。
◆防衛省防衛研究所の兵頭慎治さん
(Q.なぜウクライナのミサイルがポーランドへ着弾したのでしょうか?)
15日にロシアが行った、ウクライナ全土に対する大規模ミサイル攻撃が大きく影響しているとみられます。
ウクライナはロシア製の防空システムを使っていて、これまでも「かなり高い確率で迎撃に成功してきた」と表明していますが、100%撃ち落とすことはできません。
場合によっては、外れてどこかに着弾してしまったり、迎撃に成功したとしても、ミサイルの一部が飛び散る可能性があります。
(Q.国境近くのミサイル攻撃があると、予想できない事態も出てしまいますか?)
ロシア製のミサイルがNATO加盟国に着弾して、犠牲者が出るのは、ウクライナ戦争では初めての事態で、私もヒヤッとしました。
国境近くでの攻撃は、隣国を巻き込んで戦争がエスカレーションする危険があるということを、国際社会は今回改めて認識させられました。
なぜポーランドに着弾したのか。正確なところは分かっていませんが、アメリカはレーダーで、今回ポーランド国内に着弾したとみられるミサイルの飛行ルートを把握していたとみられます。
バイデン大統領も早い段階で「ウクライナのミサイルの可能性がある」と述べることによって、ロシアとNATOの緊張のさらなる先鋭化を避ける狙いもあったと思います。
(Q.ウクライナは、ポーランドからの避難民支援や、NATO全体から軍事支援を受けています。ウクライナとNATOの関係性にひびが入る可能性はありますか?)
ポーランドのドゥダ大統領も「今回の事件は故意ではなく、不幸な事故だ」と述べ、鎮静化を図ろうとしています。
今後の焦点は「ロシア側の攻撃だ」と発言したゼレンスキー大統領が“ウクライナ側の過ち”だと認めるかどうかです。
それによって、ポーランドとウクライナの溝ができるのかだと思います。
ポーランドは大量の避難民を受け入れ、ウクライナに様々な支援を行っている隣国です。
ここで何らかの形で溝ができてしまうと、ロシアが隙ができたとみなして、さらなる揺さぶりをかけてくる可能性もあります。
ゼレンスキー大統領が、今回の事件をどのように受け止めて、事実認定するのかが、今後の展開のカギを握ると思います。
(Q.ロシアは15日だけで、ウクライナ全土に90発近くのミサイルを発射しました。ロシアが今、ミサイル攻撃に集中する狙いは何ですか?)
ロシアが東部・南部での戦況でかなり追い詰められ、ウクライナが優勢な状況で展開していることと関係していると思います。
先般も、ロシア軍がハルキウ市から撤退し、ウクライナが大きく奪還しています。
ロシアが戦況を大きく変えられないなか、ウクライナ全土をミサイル攻撃することによって、ウクライナ国民を巻き込む形で、寒い冬の到来前に、エネルギー不足という形で揺さぶりをかけながら、ウクライナ全体の戦意を喪失させる狙いがあるのではないかと思います。
ウクライナではすでに、地面がぬかるみ始める『泥濘期』に入っています。
地面が冬になって凍ると、戦車などを使って領土奪還を進めることができますが、気象条件がどうなるかも大きな注目点です。
また、ハルキウ州から撤退したロシア軍が今後、東部に転戦して、攻勢を強めることも予想されるため、東部ではさらに戦闘が激化・長期化する可能性があるとみています。
(Q.戦闘はしばらく続きそうだと考えられますか?)
しばらく、東部・南部での戦闘が続いていくとみられます。
また、プーチン大統領は、ウクライナ全土を狙ったミサイル攻撃も続くのではないかと思われます。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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