5~11歳用ワクチンの使用を了承 どのような子どもが打つべき?専門家に聞く(2022年1月20日)

5~11歳用ワクチンの使用を了承 どのような子どもが打つべき?専門家に聞く(2022年1月20日)

5~11歳用ワクチンの使用を了承 どのような子どもが打つべき?専門家に聞く(2022年1月20日)

厚労省で開かれた専門家らの審議会は、去年11月にファイザー社が薬事承認の申請を出していた5~11歳を対象としたワクチンについて、安全性や有効性が確認できたとして、使用することを了承しました。

海外の臨床試験では90.7%の有効性が得られていて、5~11歳への接種の拡大は、国内では初めてです。

早ければ21日にも後藤厚労大臣が特例承認する見通しです。

この小児用ワクチンは、大人と比べて接種量が3分の1で、日本小児科学会などが取り扱いに注意する必要があるなどの提言をまとめています。

政府は2月に輸入し、3月以降に接種を始めたい考えです。

日本小児科学会の理事を務める、長崎大学大学院・森内浩幸教授に聞きます。

(Q.どのような子どもが打つべきものですか)

森内浩幸教授:「このワクチンは、あくまで重症化を防ぐという点が第一義的なものだと思います。感染予防効果は、オミクロン株になってずいぶん弱くなりましたが、それでも重症化を防ぐ効果は非常に強いワクチンです。5~11歳でも重症化につながるような基礎疾患を持っている子どもたちがいます。例えば、慢性の呼吸器疾患や、脳性まひのように神経の障害、先天性の心臓病、ダウン症のような染色体の病気、小児がんなどの様々な病気、もしくは治療のために免疫の力が弱まっている、肥満傾向のお子さんなどには、積極的にワクチンを進めることによって重症化を防ぐことは大事なことです。このワクチンが出てきたことは、非常に良いニュースだと受け止めています」

(Q.重症化リスクがない子どもはどう対応すれば良いですか)

森内浩幸教授:「5~11歳の健康な子どもが重症化することは非常に少ないと思います。ただし、これまでにも人工呼吸器やECMOなどで命が救われた子どもたちがいます。まれとは言いながら、子どもたちも重症化することがあるので、ワクチンの意義はあると思います。ただ、その意義は、健康な子どもたちにとって、リスクのある子どもたちほどではないので、迷われても仕方がないだろうと思います」

(Q.子どもが打った場合の副反応はどうですか)

森内浩幸教授:「小児用ワクチンは、大人のワクチンの3分の1の量を使うので、痛みや熱のような副反応は少なくなることが分かっています。まれながら気になる心筋炎に関しても、アメリカではすでに800万回以上、このワクチンが使われていますが、心筋炎が起こったのは11例です。もっと年長の子どもや若い世代に比べると一桁少なくなっています。そして、11例すべてが軽症で自然に治っています。副反応については、過度に心配する必要はないだろうと思います」

日本より早く子どもへの接種が進むアメリカでは、5~11歳の接種後の副反応として、接種部位の痛みが55.8%、けん怠感が25.9%、頭痛が19.8%、発熱が13.4%、筋肉痛が10.2%という結果が出ています。

保護者からの色んな疑問をまとめました。

30代父親(子ども8歳・6歳):「将来、後遺症が残るかどうか不安」

森内浩幸教授:「可能性はかなり低いと思います。長期的な影響を及ぼすには、このワクチン、メッセンジャーRNAというスパイクたんぱくの設計図は、あっという間に消え失せてしまいます。だからこそ、低温で保存しないといけないなど、面倒なところがあります。それによって作られたスパイクたんぱくもしばらく残り、その後は消え失せてしまう。だからこそ、抗体が作られなくなり、減っていくことによってブレイクスルー感染が起こるということでもあります。可能性はゼロではありませんが、限りなく低く、それがもし起こるなら、普通に感染することでも同じようなことが起こり得ると思います」

30代母親(子ども6歳):「感染して発症した時の症状と、副反応どちらが大変」

森内浩幸教授:「個人差はあると思います。感染した場合、非常に強い症状が出る子どももいますし、一般に副反応が軽くなったとはいっても、そうとうこたえる子どももいると思います。こればかりは個人差としか言いようがないと思います」

30代母親(子ども9歳):「打ってない子、打った子で差別が起きないか心配」

森内浩幸教授:「これは絶対にあってはいけないことだと思います。このワクチンは感染を予防するというよりも、あくまでも重症化を防ぐ。つまり、周りのために打つワクチンではなく、本人のために打つワクチンです。色んなことを考えて打たなかったことを理由として、いじめや差別が起こることは決してあってはいけないことだと思います」

(Q.ワクチンを打つかどうか迷う保護者が判断する時に大事なことはなんですか)

森内浩幸教授:「私たちが、今分かっている数字などを出しながら説明したうえでも、人によって判断が違ってくると思います。十分に納得したうえで接種を受けるということで、もし疑問点や不安なことがあれば、それが解消されるまでは急いで接種する必要はないと思います」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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