住宅街に“滝”出現 「騒音・水しぶき」住民苦悩…原因は“発電所故障” 2年も放置【羽鳥慎一 モーニングショー】(2022年11月9日)

住宅街に“滝”出現 「騒音・水しぶき」住民苦悩…原因は“発電所故障” 2年も放置【羽鳥慎一 モーニングショー】(2022年11月9日)

住宅街に“滝”出現 「騒音・水しぶき」住民苦悩…原因は“発電所故障” 2年も放置【羽鳥慎一 モーニングショー】(2022年11月9日)

 群馬県前橋市の住宅街を流れる川に大量の水が激しく流れ、まるで滝のような状態となっています。住民からは、この騒音で「夜も眠れない」と困惑の声が上がっています。

■住宅街に“滝”…地下鉄車内と同じ“騒音”

 前橋市の閑静な住宅街を流れる広瀬川。地元の代表的な農業用水として、農林水産省が選定する「疏水百選」に選ばれた地域のシンボルです。

 ある日突然、地元の人に親しまれている穏やかな川が、轟音(ごうおん)を生み出す、厄介な存在へと変貌しました。

 川の合流地点が段差になっていて、大量の水が滝のように流れ落ち、轟音を発生させています。

 騒音計で音を測ってみますと、大体71デシベルから72デシベルを指しています。この数値は、地下鉄の車内や掃除機の音と同じくらいの大きさ。

 住宅街のほうへ入っても、水の音が大きく聞こえます。川から30メートルほどの場所にあるお宅。川に近い部屋が寝室となっています。

 近隣住民:「すごいです。音が鳴る時はわーっと。夜になると余計(音が)大きく感じるので、私は頭を反対にして…」

 騒音を少しでも減らすため、枕の位置を川とは反対側にして寝ているといいます。

 近隣住民:「もう諦めよ。ここに住んだのが。直ってくれればいいけれど」

■きっかけは“発電所故障”…大量の水に「不安」

 住民を悩ます、滝のような騒音。

 以前の画像を見ると、うっすら雪が積もっていて、水は流れていませんでした。一体なぜ、このような状態になったのでしょうか?

 この“滝”ができたきっかけは、おととし2月。すぐ上流にある水力発電所の点検中に、作業ミスが発生。発電機室に水が入り、制御装置などが故障し、発電所は稼働停止になりました。

 上流から流れる水を発電所に流すことができなくなり、迂回(うかい)水路に水が集中。その結果、迂回水路と川の合流地点が激しい滝のような流れとなり、騒音が発生したのです。

 県は防音壁を設置するなど、騒音への対応をしましたが、近隣住民から「水の音がうるさくて眠れない」などの苦情が寄せられました。

 狭い迂回水路を大量の水が流れているため、不安の声も上がっています。

 近隣住民:「あふれたらって。そういう不安はありますよね。量もすごいし、見ていると怖くなりますよね」

■分岐地点も激しい騒音…2年経ち“初の説明会”

 川が滝のようになっているのは、合流地点だけではありません。

 川の上流から迂回水路へと水が流れる場所でも、およそ50メートルにわたって滝のように水が流れ落ち、激しい騒音が発生しています。

 付近の住宅の中でも…。

 水の音に悩まされている近隣住民:「(Q.『ゴー』という音が聞こえますね?)昼はまだいいんですけど。夜になると辺りの静けさがすごいので、この音だけが底から『グーッ』『ドーッ』というような…」「(Q.地響きのような?)そうです」

 これまで年に数十日ほど、水量が増えた時に滝のような流れが発生することもありましたが、迂回水路に流すようになってからは、毎日この状態だといいます。

 近隣住民:「(Q.行政からの説明は?)最近になって説明会ですか。もう2年、3年経過してからの話。(これまで)説明がなかったのが、どうしても納得いかないですね」

 県は今年9月、発電所の故障に関して、初めて住民向けに説明会を開きました。

 近隣住民:「寝付けないですね。夜に目が覚めてしまうと、また寝付けない。音ばっかり気になってしまって…」

■「水しぶき」飛散…冬場は“路面凍結”も

 周辺住民の悩みは騒音だけではありません。激しく舞い上がる水しぶき。風に乗って歩道まで届いています。

 近隣住民:「この水しぶきで(道が)凍ることは多々あります」「(Q.滑りやすくなったりする?)もちろん、歩かないほうがいい」

 取材中にも、カメラに水滴が付きます。

 冬場になると、舞い上がった水しぶきのせいで歩道が凍ることがあるといいます。さらに…。

 近隣住民:「南風になると、水しぶきが全部飛んでくるんですよ。シャワーみたいになる時もある。洗濯物が乾きが悪くなる」「(Q.その辺に洗濯物を干す?)前は干してたんですけど、最近は乾き悪いから、あまり干さなくない」

■群馬県知事 把握せず「率直に反省」

 住宅街に現れた激しい滝のような流れによって生じた今回の問題。群馬県の山本一太知事は、次のように述べました。

 山本知事:「確かに水音はうるさいです。住民の方々から苦情が出るのは、当然だという印象を持ちました。改めてご迷惑をお掛けしている住民の皆様に、おわび申し上げたいと思います。何より県のトップとして、この問題を把握できていなかったことを率直に反省しています」

 知事が謝罪したものの、依然として住民を悩ませ続けている騒音や水しぶき。原因となった水力発電所の故障は、2年以上にわたって放置されたままだといいます。一体なぜなのでしょうか?

■復旧工事の入札行うも決まらず…再入札予定

 騒音の原因は、水力発電所の故障です。 稼働を停止し、水門をせき止めたため「迂回水路」に大量の水が流れ込み、 分岐地点と本来の水路との合流地点で騒音が発生しています。

 おととし2月に点検中の作業ミスで機械が故障し、それ以降、迂回水路に水が流れるようになり、県はおととし8月に防音壁やシートで対策しました。

 今年の1月と6月に住民から苦情があり、9月に住民説明会を開いたところ、さらに多くの住民が困っていたことが分かったといいます。

 なぜ、発電所をすぐに直さないのか、群馬県の企画局は「昨年度、復旧工事の入札を行ったが、金額が安かったなどの理由で業者が決まらなかったとして、年度内に再入札を行う予定だ」といいます。

 さらに来年2月、水しぶきや騒音の苦情が出ている2カ所を鉄骨で囲う対策工事を行う予定です。

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2022年11月9日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

ANNnewsCHカテゴリの最新記事