ウクライナ戦地は冬に「弾丸込める手が」前線兵士語る戦闘への影響と覚悟“春を待つ”(2022年10月30日)

ウクライナ戦地は冬に「弾丸込める手が」前線兵士語る戦闘への影響と覚悟“春を待つ”(2022年10月30日)

ウクライナ戦地は冬に「弾丸込める手が」前線兵士語る戦闘への影響と覚悟“春を待つ”(2022年10月30日)

ロシアによる相次ぐインフラへの攻撃で電力不足が深刻な問題となっています。
そんな中、迎える「厳しい冬」が戦況にどう影響するのか?最前線の兵士が語りました。

▽発電所など狙い撃ち「ロシアの専門家が関与」
ロシア軍がほぼ全域を制圧していた東部ルハンシク州でも、ウクライナ軍は反転攻勢を強めています。
(ウクライナ軍兵士)「ここはウクライナ軍がルハンシク州で最初に解放した村だ。」
劣勢が続くロシア軍が、いま新たな標的にし始めているのが―。
ウクライナ各地にあるエネルギー関連のインフラです。発電所や変電所などもミサイルやドローンで狙い撃ちされ、すでに発電能力の40%が失われたと言います。
(CNN ニック・ロバートソン記者)「この発電所にはドローン1機が直撃。同じ日に巡航ミサイルの攻撃も受けました。ドローンは高圧線にからまって、設備を引き裂きました。辺り一帯でケーブルは燃え、設備が燃え尽きました。問題はここが最も繊細でシステムを簡単に停止できる場所だったことです。発電所は完全に停止しました。」
今回、番組の取材に応じてくれた、ウクライナ国営の送電会社「ウクレネルゴ」のCEOは…。
(国営「ウクレネルゴ」送電会社 クードリツキィCEO)「エネルギーシステムに最大限の被害を与え、効果的にバランスを崩すような標的の選び方をみると、ロシア軍だけでなく、ロシアのエネルギー専門家が関与していることは間違いない。」
ロシア側の電力の専門家が加わった計画的な攻撃で、市民生活の破壊が目的だとクードリツキィCEOは非難します。
(クードリツキィCEO)「戦場で負けているロシアは巡航ミサイルを軍隊に向けているのではなく、何百万人を苦しませるために必要不可欠な(インフラ)施設を破壊しようとしている。ロシアはウクライナに住んでいる数千万人を電気、暖房、通信なしの状態にしたい。」

▽「薪で暖を…」街は節電 “計画停電“も
北東部の街、ハルキウ市はすでに深刻な電力不足に陥っていました。
(ハルキウ市在住 ハイェヴィイさん)「節電中の街の様子です。住宅の窓の光以外は真っ暗です。ハルキウ州ではこの2週間で4回突然停電しました。」
冬が近づく中で、特に問題となるのは“寒さ”です。
(ハイェヴィイさん)「冬はマイナス25℃まで下がり、雪がたくさん降ります。気温がここまで低いと、防寒対策をしないと凍え死にます。」
ハイェヴィイさんは、電気やガスの供給が遮断された場合は、薪を使って暖をとると言います。
(ハイェヴィイさん)「みんな凍死を恐れています。私もなんとかこの冬を生き延びたいです。」

▽「機関銃を持つ手が」極寒で詰める弾丸
厳しい冬は、今後の戦況をどう左右するのか。ハルキウ州の最前線で戦っているウクライナ軍の兵士、エフゲンさんに直接話を聞くことができました。
(ウクライナ兵 エフゲンさん)「マイナス15℃までは武器も問題なく使えるが、それ以下になると武器を扱う我々に影響がある。このように1つ1つ、中に入れないといけないので、寒すぎると難しくなる。」
凍て付く寒さや大量の雪は、反転攻勢する側のウクライナ軍にとって、不利だと言います。
(エフゲンさん)「雪が降ると確実に(攻勢の)スピードが落ちて、これまでのようにはいかない。雪の上を(ロシア軍)の陣地まで歩くと、3時間以上かかる。そんなに歩いたら凍えて、戦えなくなる。寒さが厳しいと進軍できない。この1カ月半で前線を大きく進めることができました。ハルキウ州のほぼ全域、ヘルソン州の大部分、ルハンシク州の一部も取り戻したが、残念ながら、それ以上の解放は難しくなる。」
一方で、エフゲンさんはこの冬さえ乗り切れば、ウクライナ側がさらに優勢になると期待していました。
(エフゲンさん)「まだ届いてない欧米からの武器が段階的に届くと思う。ロシアを弱体化させる制裁が効くことも祈っている。春には我々がさらに優位になるだろう。僕の言葉を思い出すだろう。春には我々が勝利する。」

▽「砲弾の餌食」南部へルソンに動員兵が続々と
本格的な冬が到来する前に、ウクライナ軍はどこまで進軍するのか。攻防の焦点となっている南部の要衝、ヘルソン市では異変も―。
今月20日に撮影された映像には、大きな荷物を持って船に乗り込む、大勢の人たちの姿が映っていました。ウクライナ軍が迫る中で、親ロシア派当局が住民を避難させる様子だと言います。
(地元テレビ局「へルソン・プラス」コシュク代表)「この1週間で町の様子は激変した。ロシアの将校・行政機関の家族、占領の協力者、そして偽の国民投票の主催者や関係者が避難しました。」
こう話すのは、今もヘルソン市に留まっている地元テレビ局の代表コシュクさんです。ロシア側はちょうど1カ月前に、一方的な併合を宣言したばかりですが、新たに設置した行政機関まで退避させていると言います。
(コシュク代表)「なぜいま私がオープンに話せるかというと、ヘルソンからすべての親ロシア派の行政機関、警察など、住民を弾圧していた権力機関が避難したからです。」
その一方で、ヘルソン市、死守に向けた動きなのか。動員されたロシア兵が次々と集められていると言います。
(コシュク代表)「ヘルソンの兵士数が増えた。若い兵士で、私のように眼鏡をかけていて、大学生のように見えます。新品の軍服で全然サイズがあっていない。動員兵は前線に投げ出され“砲弾の餌食”になります。ロシアの死者数は恐ろしいものになるだろう。」

10月30日『サンデーステーション』より (C) CABLE NEWS NETWORK 2022
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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