【円安影響】外国人労働者“ニッポン離れ”加速…世界で起きる労働者“争奪戦”(2022年10月25日)
記録的な円安の影響で外国人労働者の日本離れが加速しています。25日は世界各国で起きている労働力の争奪戦を深掘りしていきます。
群馬県太田市のほうれん草農家で仕事を教わっているのはベトナム出身の男女です。2人とも日本の技術や知識を学ぶ技能実習生として2年前に来日。34歳のリエンさんは止まらない円安を嘆いています。
ベトナム、リエンさん:「今、円が安い。ベトナムの家族に(お金を)送るのが大変」
リエンさんは6歳の娘を持つ母親。母国のベトナムに夫や幼い我が子。そして、両親を残して単身で日本へやってきました。日本での月給は手取りで15万円。そのうち約4万円を毎月、ベトナムの家族に仕送りしています。ところが…。
ベトナム、リエンさん:「ベトナムの家族にお金を送るのは少し」
円安の影響で仕送りの金額が大きく目減りしているのです。
同じ農家で働くサンさん(27)は故郷のベトナムへ帰ることを真剣に考えています。
ベトナム、サンさん:「今はお金(円)は安いから、私は来年、多分帰る。給料良いけどお金(円)が安い」
ベトナムにいる両親と姉のために仕送りを続けていますが、今年に入って大きな変化が…。
ベトナム、サンさん:「これベトナムのお金」
ベトナムの通貨「ドン」。この1年で円安ドン高が急激に加速しています。サンさんは、ひと月の手取り額15万円のうち約8万円を故郷のベトナムに仕送りしていました。
1年前、8万円は約1550万ベトナムドンだったのが、今は約1311万ベトナムドンで、15%ほど目減りしています。仕方なく毎月の仕送り額を5万円に減らし、3万円は貯金に回しているといいます。
ベトナム、サンさん:「寂しい時は家族に電話する。『私は仕事を頑張っている』『お母さんとお父さんも頑張ってね』と。朝は私はラーメン」
約80円のインスタントラーメンで節約。母国の家族のため生活費を切り詰めています。
円安の影響で外国人労働者の日本離れが進めば、農家にとっては死活問題です。
小暮農園・小暮貴之代表:「(外国人労働者は)なくてはならない。いないと本当に仕事が回らない。今は企業が技能実習生を選ぶ形ではなく、技能実習生が企業を選ぶ。だいぶ変わっている状況」
外国人労働者を巡っては今、世界中で争奪戦が起きています。海外からの技能実習生をサポートする団体は…。
アシストワンパートナーズ協同組合・戸田明男理事:「(外国人労働者の)奪い合い。より多く、より良い人材をどれだけ国に寄せることができるかが各国で行われている」
外国人労働者の獲得に力を入れている国の1つがオーストラリアです。今後ベトナム人労働者の受け入れを本格的に始めることを決めました。オーストラリアの農林水産省を取材すると、このような回答が…。
オーストラリア農水省:「労働者不足に取り組むオーストラリアの農業を全力で支援し続けます」
オーストラリアで働く外国人労働者の賃金は日本の約2倍。こうした賃金格差や円安が大きく影響してくるといいます。
アシストワンパートナーズ協同組合・戸田明男理事:「このまま円安が進めば恐らく外国人実習生は日本以外に良い人材が流れていく。その外国人が入ってこないとなれば、経済はものすごく悪化してくる。倒産する企業もこれから増えてくると思う」
ただでさえ人材不足に陥っている日本の農家は止まらない円安に危機感を募らせています。
JA太田市ホウレン草部会・久保田泰成部会長:「日本政府もこの現実をよく見てもらって、早く政策を取ってもらって円高基調にしてもらいたい」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
コメントを書く