「検体古いんで捨てますね」存在しない病院の名でPCR検査所開設 ずさんな検査や投資トラブルまで【調査報道】|TBS NEWS DIG

「検体古いんで捨てますね」存在しない病院の名でPCR検査所開設 ずさんな検査や投資トラブルまで【調査報道】|TBS NEWS DIG

「検体古いんで捨てますね」存在しない病院の名でPCR検査所開設 ずさんな検査や投資トラブルまで【調査報道】|TBS NEWS DIG

街中で良くみかける無料のPCR検査所をめぐる不正の問題です。私たちは、ある無料PCR検査所が、「存在しない病院の名前を使って作られている」という情報を入手しました。調べてみると、一部でずさんな検査が行われていた疑いや、投資を巡るトラブルも浮上。問題が相次いでいることが分かりました。

■存在しない病院名でPCR検査を実施 検査会社は医療に関する業務なし

街中で見かける無料のPCR検査所。その数、全国に1万3000か所あまり。

無料なのは検査費用が全額、税金で賄われているからだ。1件の検査につき9500円の補助金が国から検査所に支払われている。2022年7月までは1万1500円だった。

この補助金を目当てに不正が行われているという情報が、TBSテレビの情報提供サイト「TBSインサイダーズ」に寄せられた。

「『プライベートクリニック六本木』という存在しないクリニックを使って無料PCR検査所を開設しています」

横浜市にある検査所。「プライベートクリニック六本木監修」と書かれているが、「プライベートクリニック六本木」はすでに閉院し、今は存在しないというのだ。

このクリニックの住所に向かうと、確かに診療していなかった。

神奈川、埼玉、福島、宮城の4つの県に、このクリニックの名を使った検査所が少なくとも12か所あることがわかった。では、これらの検査所の検体の分析はどこで行われていたのか。私たちは問題の検査所で集められた検体=唾液を分析していた施設に潜入した。

東京・江戸川区にあるその施設は、関係者の間で“ラボ”と呼ばれていた。今は使われていない。山積みにされた段ボール、検査キットの残骸。

記者
「PCR検査の時に唾液を入れるものなんですけれども、廃棄されずに部屋に置かれたままになっています」

テーブルには検査を受けた人の個人情報が書かれた「問診票」も。冷凍庫には複数の検体がそのまま残されていた。

実はこのラボ、検査分析に必要な「衛生検査所」の登録がされないまま、運営されていた。ずさんな検査が行われていた可能性はないのか。私たちはこのラボで分析を行っていた会社の元社員に、話を聞くことができた。

検査業務に関わっていた元社員
「PCRに関して何の知識もない素人がこの仕事をすることはできるのかと、それに関しては当時思っていました」

検査をしていた会社は、それまで医療に関する業務に携わったことはないという。

■集めた検体「捨てますね」 ずさんな処理に責任者は「途中までまともにやっていた」

検査を担当していた社員たちのLINEのやり取りが残っている。

「25(日)の検体だからもう古いし、今更出てきたのにビックリですわ」
「また揉み消すか…?」
「検体も古いんで、どうしようもありません。捨てますね~」
「どんどん悪徳業者になっていくww」

かなりずさんな処理が行われていたことがうかがえる。

「もしなんか連絡があったら、前と同じく『再検査になってしまい…』と伝える方向でいくしかないな。何も言われなければ放置しよう」

社員のやり取りには検査所が増えたことで、検査体制が追いついていない様子が見て取れる。

「準備をする人手がいまでさえ足りていないのに、これ以上(検査所を)増やしてどうするおつもりですか?」
「人手の足りないこの状況で続けたら倒れるしミスもたくさん出る気がします!」

元社員の男性によると、検査事業を取り仕切っていたのはX氏という、会社の経営者を名乗る男性だという。

検査業務に関わっていた元社員
「検査所で使う検査キット、机、椅子など備品の購入もまずX氏に指示を他の社員が仰いでいました。X氏は最初からPCRの補助金が目当てと言っていました」

国から検査所に支払われていた1件の検査につき、1万1500円の補助金。それが目当てだと話していたという。そのX氏に電話が繋がった。

記者
「検体を捨てるなど、信頼できないような検査をしているのは、検査の信頼を損ねているのではないですか?」

検査業務を取り仕切っていたX氏
「それはそうかも知れないですけど、途中までまともにやっていましたし。完全な検査を最後までやるというのは正直難しかった。こちらの落ち度もありますけれども」

最初はまともな検査をしていたが「途中から検査が不完全になった」と話したX氏。一方、存在しないクリニックの名前を使って検査所を開設したことについては…

検査業務を取り仕切っていたX氏
「本来なら開設届を出しているものと思って神奈川などに無料検査所の申請を出しているんですね。みんな開設届けを出しているものと思ってスタートしているんですよ」

X氏は「クリニックが一旦閉院した後、改めて開設届が出されたと思い込んでいた」と主張した。

Xが関わった無料PCR検査所への補助金は、結局支払われなかった。各自治体に内部通報があったためだ。

だが、安心安全な検査を担保するためには医療機関などとの提携が欠かせない。X氏が関わった無料PCR検査所が設置されていた4つの県のうち、神奈川・埼玉・福島の3県は検査所の登録を取…(https://newsdig.tbs.co.jp/list/article?id=jnn-20221024-6047725)

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