「現実的ではない」総理の発言に戸惑いの声も…解散命令“刑事事件に限る”で国会紛糾(2022年10月18日)

「現実的ではない」総理の発言に戸惑いの声も…解散命令“刑事事件に限る”で国会紛糾(2022年10月18日)

「現実的ではない」総理の発言に戸惑いの声も…解散命令“刑事事件に限る”で国会紛糾(2022年10月18日)

元妻が旧統一教会の信者で、高額献金などで家庭が崩壊、長男を自殺で失った橋田達夫さん(64)が18日午後に会見を開き、教会幹部が突然、自宅を訪ねてきたことに抗議しました。

橋田達夫さん:「ずっと苦しんできて、長男も苦しんできて亡くなった。その家にあえて来るんですか?異常です。僕は断ってますから」

高知の自宅に約束なしでやってきたのは、教会改革推進本部長の勅使河原秀行氏でした。

勅使河原秀行氏(4日):「高知の問題に関しては、私の方で直接対応いたします」

15日昼過ぎ、教会関係者から電話があったといいます。

橋田達夫さん:「『16日に勅使河原さんが会いたいと』そこではっきりと断りました。(勅使河原氏は)家族が苦しんだことも知っている。『来ないでください』って電話を切りました」

しかし翌日の夕方。

橋田達夫さん:「『勅使河原です。橋田さんと直接会いたいと思って直接来ました』と。マスクなしで来たんですよ。それから24時間寝てないですよ。誰が来るか分からないし。(信者が)後ろで車で隠れて待ってますからね。何人待ってるかも分かりませんからね。警察に即電話を入れました。ここまでやったらダメですよ、人間として。(Q.警察が到着するまでは)10分くらいですよね。その間に僕は彼に言いました。息子の恨みのこととか。ただ彼は『メディアに出ないでほしい。きょうは話を聞きに来た。1対1で話をしたい』と。勅使河原さんに『1対1では話はしません。あなたたちの嘘は聞き飽きた』と」

橋田さんは「深刻な被害を訴えようとしている言論を封殺するもの」として、抗議書を送りました。

旧統一教会はANNの取材に「抗議書を確認するまで分からない」とコメントしています。

予算委員会2日目の国会では、旧統一教会への『解散命令請求』の基準をめぐり、議論がたびたび紛糾しました。

立憲民主党・長妻昭政調会長:「解散請求は要件の1つで『法令違反』とある。その法令違反は刑事に限ると、この解釈を変えない限り、いくら調査しようが解散請求できない。解釈を変えたんですか」

岸田総理:「最高裁で確定した判決において示された考え方、これは政府としても考え方は変わっておりません」

岸田総理は、1996年のオウム真理教への解散命令の際に、最高裁で確定した判決を受けて、政府が“刑事事件に限る”としてきた要件を踏襲すると表明しました。

立憲民主党・長妻昭政調会長:「民法の不法行為、これは入らないという理解ですね」

岸田総理:「民法の不法行為、これは入らないという解釈です」

立憲民主党・長妻昭政調会長:「これではっきりしました。私はこれ信用できません。そういう解釈に固執する限り、刑事訴追して確定判決が出る、いくつも出る、それを待つことになる。私は何年もかかると思わざるを得ない。総理の本気度が問われますので」

旧統一教会をめぐっては、これまで民事で不法行為が認められたことはありますが、確定した刑事事件はありません。

「これでは解散請求は難しい」というのが、長妻議員の主張です。

一方、岸田総理は、旧統一教会をめぐっては、今後、刑事事件につながる可能性があると説明します。

岸田総理:「合同相談窓口において、1700件の相談が寄せられた。そのなかには警察等につないだ案件が含まれている。警察につないだような案件に、刑法をはじめ、様々な規範に抵触する可能性はあると認識している。それも含めて手続きに入った」

ただ、17日に取りまとめられた河野消費者担当大臣が設置した検討会の提言では、民事裁判が数多くあることを理由に、質問権を行使するよう求めていました。

18日の総理の発言に対しては、政府内からも戸惑いの声が上がっています。

政府関係者:「『あれ?きょうになって答弁が変わった?』と思った。被害の救済のためには、解散請求が大事。河野大臣は自分が諮問した検討会議の提言内容をどう実現するべきかと動いている」

午後の質疑では、総理に解釈の変更を求める声が上がりました。

共産党・宮本徹衆院議員:「解散命令請求についても、民事裁判の判決を根拠に行える運用に変えるべきでは」

岸田総理:「午前中も申し上げたように、民法は、これには該当しないと思っています」

共産党・宮本徹衆院議員:「変わってないんじゃなくて、変えてくれと質問している」

岸田総理:「違反に対して刑罰を科すことを定めた法令であると認識しています」

予算委員会の後に開かれた立憲民主党の会議。文科庁の担当者は「総理の答弁が矛盾しているのではないか」と問われました。

文化庁担当者:「官邸には、私たちの考え方を説明している。(総理は)誤っておっしゃったのではないと思っている。何かに違反しているのかどうか、はっきり分かる刑法的な世界と、民法的な世界との差はやはりあるんじゃないか」

***

消費者庁・有識者検討会は、ポイントとして「旧統一教会は民事裁判において、組織的な不法行為に基づき、損害賠償を認める裁判例が複数積み重なっている」ことを挙げています。

しかし、岸田総理は18日の国会で、解散請求の根拠となる“法令違反”について「民法上の不法行為は入らない」と答弁しました。

『民法上の不法行為』とは、霊感商法や多額の献金の被害など、過去に民事裁判で、旧統一教会の組織的な関与が認められた行為で、これらが「解散命令の要件となる法令違反には含まれない」とも受け取れる解釈を示しました。

検討会メンバー・菅野志桜里弁護士:「旧統一教会は民法上の組織的な不法行為が問題。それが外されてしまうと“解散請求”の前提や、調査する意味合いすらなくなってしまう。雲をつかむような話になってきた」としています。

実際、解散請求から命令に至った過去の事例を見ると、例えばオウム真理教であれば『地下鉄サリン事件』など、いずれも教団幹部に対して、刑事事件で有罪判決が出された団体に解散命令が出ています。

旧統一教会は、関連団体を除くと、刑事責任を問われた確定判決は出ていません。

岸田総理は、相談窓口に寄せられた1700件のなかには、警察につないだ案件も含まれているとして「刑法に抵触する可能性はある」との認識を示しました。

検討会メンバー・菅野志桜里弁護士:「新しく刑事事件の可能性があることをにおわせることで、これまで積み上げてきた民事事件の裁判例を外そうとしているなら、深刻な答弁変更だ。確定判決が出るまで何年もかかるため、現実的ではない。朝令暮改で、17日は一歩進んだのに、一日経って引き返したという印象だ」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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