総理「私が責任を持って解決する」旧統一教会“解散請求”本気度は?スタジオ解説(2022年10月17日)

総理「私が責任を持って解決する」旧統一教会“解散請求”本気度は?スタジオ解説(2022年10月17日)

総理「私が責任を持って解決する」旧統一教会“解散請求”本気度は?スタジオ解説(2022年10月17日)

岸田総理は旧統一教会に対して、宗教法人法に基づく調査を行うよう指示しました。

『質問権』を使い、裁判所に『解散命令』を請求することを視野に入れています。

宗教法人法では、第78条の2で、宗教法人に解散命令の請求に該当する疑いがある場合、所管省庁が管理・運営などについて、報告を求めたり、質問などができる『質問権』が規定されています。

実際のアクションは、文部科学大臣の下にある文化庁宗務課が行います。

文化庁宗務課が宗教法人審議会に意見を聞いたうえで、質問権を行使。旧統一教会側は質問に対して報告する形になります。

違法性などが確認された場合、文科大臣が裁判所に解散命令を請求します。

最終的に判断するのは裁判所です。裁判所が仮に解散命令を出して、確定した場合、団体として存続することは可能ですが、宗教法人としてこれまで受けていた税制上の優遇措置などがなくなります。

◆政治部官邸キャップ・山本志門記者

(Q.なぜこのタイミングで踏み切ったのでしょうか?)

旧統一教会の問題が大きく影響する形で、政権の支持率低下に歯止めがかからなくなっていることに、強い危機感を持っていることが背景にあると思います。

17日から始まった国会で、野党側は、教団の宗教法人資格のはく奪に向けて、政府を追い込む方針ですが、政府が「信教の自由の観点で難しい」という、これまでの答弁を繰り返すことになれば、政府の後ろ向きな姿勢ばかりが際立ってしまうことになります。

そうなれば、さらに政権の体力が失われかねない。こうした懸念に押される形で、岸田総理としても、腰を上げざるを得ませんでした。

ある官邸関係者が「判断するタイミングが少し遅れた」と語るように、世論の反発に追い込まれるなかでの決断だったと思います。

(Q.総理の本気度が伺える判断だったと言えますか?)

岸田総理が17日の国会で語った「旧統一教会を守ることは考えていない」「私が責任をもって解決する」という言葉は重いわけですから、ここは本気で取り組む姿勢を示したとも言えます。

一方で、自民党内からは「裁判所が解散命令を出さなかったら、逆に教団にお墨付きを与えたことにならないか」「政権にさらなるダメージになる」といった懸念も相次いでいます。

さらに、政府高官は「宗教の話は相当慎重にやるべきだ」として、結論ありきではなく、時間をかけて調査する考えを示していて、岸田総理としても実態の解明に向けたスタート地点に立ったということだと思います。

◆元衆議院議員で、今回消費者庁に提言した検討会のメンバーでもある、弁護士・菅野志桜里さん

(Q.質問権を行使しての調査の指示を聞いてどう感じましたか?)

ここ数日は逡巡している印象がありましたが、いよいよ解散命令に向けた決定的な一歩を踏み出したという印象です。

(Q.調査のポイントとなるのはどこですか?)

ポイントは、実際に動く文化庁宗務課の事前の準備だと思います。

私の考えるポイントは『今ある資料をいかに集約するか』『それに基づいて事実を分析できるか』そして『法的に整理がやり切れるか』です。

違法性・組織性を裏付ける資料は、数十年の蓄積があるので、実際に民事の裁判例でも「組織として違法です」というような裁判例が積もっています。

脱会者や宗教2世の方の証言もあります。

また、文化庁自身の手元には、法人の財産目録や収支計算書などの会計書類もあります。

今ある資料について、文化庁が弁護団やジャーナリストなどの関係者に助力を真摯に仰いで、きちっとやるべきことをやれば、それほど時間がかかる作業ではないのではないかと思っています。

(Q.質問権では、どんな質問をするのでしょうか?)

違法な行為や反社会的な行為が、組織的に行われてきた場合は、解散命令につながります。

そういう疑いがある時に、当事者法人の話を聞いて事実を確認するために質問をします。

例えば質問としては「裁判例があり、不法だと言われていますが、教会としての認識はどうなんでしょうか」「不法な行為をしていませんということであれば、それを裏付ける資料がありますか」「個々の信者がやったことで、教会としてやったことではありませんという話であれば、マニュアルや献金ノルマがあると言われるなかで、それを覆す説得力のある説明や資料は出てくるのか」そんなやり取りになるイメージができると思います。

(Q.刑事事件であれば強制的に証拠を集めることもできますが、質問でそこまで調べることはできますか?)

質問は捜査ではないので、強制力はありません。

質問に答えなかったり、嘘をついた場合、10万円の過料で、それほど大きな制裁だとは思えません。

だからこそ、実際に質問権を行使する前に、万全の準備をして、疑いが晴れれば解散命令にはいきませんが、説得力のある説明がなく、疑いが固まれば、解散命令請求という結果に自ずとつながっていくということだと思います。

(Q.説得力を持った説明がない限りは、解散命令を請求できるということにもなりますか?)

少なくとも、この事案はそういう事案なんだと思います。

なぜなら、長期間にわたって、膨大な資料がすでにあるからです。

(Q.教会側が立ち入りを拒否した場合、教会側に不利になりますか?)

同意しないことをもって、不利に扱うのは問題があるかもしれません。

立ち入りはガサ入れとは違うので、そもそも同意があって立ち入れても、そこにある資料を強制的に押収できるわけではありません。

そこが本質というよりは、きちっと準備をして、質問をして、説明の機会を与える。ここがポイントになると思います。

(Q.解散命令の請求までに、どれくらい時間はかかりますか?)

ただ、請求までは数カ月~半年くらいで可能で、1年も2年もかける事案ではないと思っています。

その後、請求をして、裁判所の判断は白紙から厳正にやってもらうということだと思います。

(Q.今ある被害はどうなりますか?)

それを並行することがとても大事です。

今回、提言を出した取消権の範囲拡大や(献金の返金の)時効の延長、あるいは、必ずしも契約とは言えなくても献金自体についてルールを作って、不当な献金については返金させる。こういうルールを作ることにもきちんと踏みこむ必要があると思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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