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【解説】阪神・淡路大震災から27年 “防災”の変化は?
ここ最近の気になる地震活動について掘り下げる『週間地震ニュース』。社会部災害担当キャップ・中濱弘道記者とお送りします。
今月10日から16日まで先週1週間におきた地震では、11日に大分県南部を震源とする地震と、13日に鹿児島県の大隅半島の東でおきた地震でそれぞれ震度3を観測しています。
16日までの1週間に、国内では震度1以上の地震が26回発生しました。一方で16日の未明には津波警報が鹿児島県の奄美群島・トカラ列島と岩手県の沿岸に、そして太平洋沿岸の広範囲に津波注意報が発表され、1mを超える津波が観測された場所もありました。
■日本周辺では津波をおこすような大きな地震はなかった。どうしてでしょうか
日本から約8000キロ離れた、南半球のトンガで発生した火山噴火によるものなのです。気象衛星では、同心円状に噴火による煙が広がっている様子がわかります。
海外の気象機関によりますと、噴煙の高さが15キロ以上に上昇する非常に大きな規模の噴火だったとみられています。津波発生の詳しいメカニズムは調査中ですが、現在も、トンガの火山活動は続いていて、今後の噴火の情報にも注意が必要です。
■阪神大震災から27年
1月17日は27年前、兵庫県南部地震、阪神・淡路大震災が発生した日です。この地震では都市部をおそった直下型地震で、高速道路の高架橋やビルが倒壊、住宅密集地を中心に大きな火災が発生するなど、6000人を超える死者がでる甚大な被害がでました。
阪神大震災の時に観測された震度は、神戸市にあった当時の神戸海洋気象台と淡路島にあった気象庁の測候所で、震度6の揺れを観測、近畿四国中国地方で震度4や5となりました。
そして関東から九州地方にかけて広範囲で揺れを観測。神戸の震度は当初6と発表されていましたが、後に行われた現地調査によって、震度階級では最上位にあたる「震度7」の揺れと判定された地震です。
当時、地震の震度観測というのは、まだ機械で行うのはごく一部で、ほとんどが気象台の職員の体感によるものでした。さらに体感による震度発表は6までの発表にとどまっていました。
現在は震度計によって計測された震度が、その地域の震度としてテレビ等で発表されていますが、体感で震度を決めていたというのは驚きますよね。
■気象庁の担当者が体感で震度を決定。その基準は?
一例を紹介します。
▼震度4
眠っている人は飛びおき恐怖感を覚える。電柱・立木などが揺れるのがわかる。一般の家屋の瓦がずれることがあっても、まだ被害らしいものはでない。軽い目まいを覚える。
▼震度5
立っていることはかなり難しい。一般家屋に軽微な被害がではじめる。軟弱な地盤では割れたりくずれたりする。すわりの悪い家具は倒れる。
このような感じで基準が設けられていました。当時、気象庁で、体感による震度判定に携わっていた草野富二雄さんは、「阪神大震災が震度観測体制に大きな契機になった」と話しています。
「神戸の気象台で観測された震度6というのも、停電のためすぐに情報は伝わらなかった」とのことです。大地震の場合は、家屋の倒壊や崖崩れ、火災などが多数おきることが想定されますが、命を守るため、いち早く救助を送り込んだり、応援体制をととのえることが必要です。
■はやく震度を知ることが重要
阪神・淡路大震災の当時は、震度観測を行っていたのは、日本全国で150地点あまりでした。震災を契機に、自治体が独自に震度計を設置して初動の防災対応に活用を開始しました。
現在は、気象庁以外にも防災研究機関や自治体の震度計もフル活用し、全国で約4400か所の震度データが、気象庁を通じて広く伝えられる仕組みとなっています。
震度5弱以上の地震が発生すれば官邸に連絡室が立ち上がり、情報収集に入ります。自衛隊や海上保安庁なども震度の大きなエリアに航空機やヘリコプターを飛ばして、被害状況の収集に入ります。
阪神・淡路大震災は、地震防災の体制が大きく変わる起点となっているわけです。
以上、週間地震ニュースでした。(2022年1月17日放送)
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