人権を守るために…ウクライナ侵攻続くなかウクライナ・ロシアの人権団体などに平和賞(2022年10月7日)

人権を守るために…ウクライナ侵攻続くなかウクライナ・ロシアの人権団体などに平和賞(2022年10月7日)

人権を守るために…ウクライナ侵攻続くなかウクライナ・ロシアの人権団体などに平和賞(2022年10月7日)

今年のノーベル平和賞に、ベラルーシの人権活動家、アレス・ビアリアツキ氏(60)と、ウクライナとロシアの人権団体が選ばれました。

ビアリアツキ氏は、ベラルーシの民主化運動をけん引してきた1人です。30年近く、ヨーロッパ最後の独裁者と呼ばれるルカシェンコ大統領に立ち向かい、抗議活動を率いたり、市民に対する当局の拷問を記録したりするなどしてきました。2011年、当局から“大規模脱税”の容疑をかけられ、3年近く投獄。それでも独裁政権との闘いをやめることはありませんでした。

2年前、大統領選に端を発し、ベラルーシ全土に拡大した大規模デモ。拘束された1万人以上の市民の中には、ビアリアツキ氏も含まれています。以来、裁判を受けることもなく、身柄を拘束されている状態です。

2年前の大統領選で、ルカシェンコ氏に挑んだチハノフスカヤ氏は、こう話します。
反ルカシェンコ政権を掲げるチハノフスカヤ氏:「ビアリアツキ氏が平和賞に決まり、うれしく、光栄に思う。(受賞をきっかけに)我が国の人道問題に関心が集まるでしょう。ビアリアツキ氏は1年以上にわたって投獄されていて、懲罰房にも入れられている。彼以外にも政府に反対し、数千人が身柄拘束されている。今回の受賞で、国内の意識が高まって、人権保護のため自由を犠牲にした人たちを釈放する具体的な措置がとられることを願います」

そして、残る受賞者は、ウクライナとロシア、いままさに戦争をしている国の人権団体です。

ロシアの人権団体『メモリアル』は、旧ソ連のスターリン政権による人権弾圧を検証。ソ連崩壊後も、ロシアの人権侵害の監視に取り組んできました。1975年にノーベル平和賞を受賞したアンドレイ・サハロフ氏も創設に携わっています。

“人権を守る”という仕事は、ロシアにおいては取り締まりの対象となり得ます。プーチン大統領の主張は、こうです。
ロシア・プーチン大統領:「『メモリアル』が保護しようとしている国際組織は、テロリストおよび過激派組織のリストに含まれている」

この声に応えるように、ロシアの最高裁は、去年、『メモリアル』の解散を命じました。検察側の主張は、ソ連とその勝利の記憶を汚し、「ナチスの犯罪者」を復権させているというものでした。『メモリアル』のヤン・ラチンスキー会長は、「正義の幻影は、今も存在しています。私たちは上訴する。この判決は、次の裁判で取り消されるべき」と話していましたが、望みかなわず『メモリアル』は、今年2月に解散し、活動停止となっていました。

そして、ウクライナの人権団体『市民自由センター』。2007年、ウクライナの人権保護と民主化促進を目的としてキーウに設立されました。 2014年以降は、新たなミッションが加わりました。ロシアが一方的に併合を宣言したクリミア半島や東部・ドンバス地方での人権状況の監視です。今回の全面侵攻でも、キーウ近郊・ブチャなどで起きた戦争犯罪について、証言を集めて続けています。この団体は、先月、平和・人権分野で“もう一つのノーベル賞”と呼ばれるスウェーデンの賞にも選ばれていました。

受賞決定を受け広報担当者は、こう話します。
人権団体『市民自由センター』広報担当者:「ロシア軍の2万以上の犯罪が、すでに私たちのデータベースに記録されている。犯罪を記録するために、私たちは解放されたキーウ周辺にいた。恐ろしい光景ですが、加害者を罰するために必要な作業。新たな成果を得るために活動を続ける必要がある」

ノーベル平和賞を3者に贈る意義について、プレゼンターは、こう述べました。
プレゼンター:「ノーベル平和賞の授与をもって、我々はベラルーシ、ロシア、ウクライナで人権保護・民主主義・平和的共存を進める優れた3者をたたえたいと思います。人間の価値観・反軍国主義・法の原則のため、不断の努力を通じて、3者はノーベルが理想とした国家間の平和と人類愛に新たな命を吹き込んでくれました。この理想像こそが、今の世界で最も求められている」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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