浸水、逆流、漁船転覆 “噴火で津波”世界中で被害(2022年1月16日)

浸水、逆流、漁船転覆 “噴火で津波”世界中で被害(2022年1月16日)

浸水、逆流、漁船転覆 “噴火で津波”世界中で被害(2022年1月16日)

▽「すべて浸水」世界中に“津波”襲来
これは南米、ペルーの港町の様子です。津波が船を押し流し、街の方へと流れ込んでいきます。波は繰り返し、押し寄せたといいます。
(住民)
「2回目の波で、人々が動き出し、岸に向かって走り出しました。3回目の波でみんなが転びました。4回目の波ですべて浸水しました。」
津波は、アメリカ西海岸のカリフォルニア州にも。車が通っているので道路でしょうか。次々と波が押し寄せます。
「そっちじゃない。こっちへ。」
男性がいるすぐそばの海から、どんどん海水があふれ出しています。
「そこは駐車場だった。あの辺の車はみんな流されているな。」
駐車場にある車はタイヤの上まで水没しているのがわかります。

各地で観測されたこの津波。原因は、日本時間の15日、午後1時10分ごろ、トンガ沖の「フンガトンガ・フンガ・ハアパイ」と呼ばれる海底火山で発生した大規模噴火です。
気象衛星による画像では、巨大な噴煙が上がり、衝撃波が広がる様子がとらえられています。噴煙は高度およそ1万6000mまで達したということです。
トンガでも、噴火に伴って津波が発生。津波がフェンスを倒して、住宅のある方へと流れ込んでいきます。ここでも波が繰り返し押し寄せる様子が確認できます。この噴火で、トンガでは最大80センチの津波が観測されました。

▽川逆流、漁船転覆・・・受験生にも影響
トンガの海底火山噴火の影響は、およそ8000kmと遠く離れた日本列島にも―。
午前0時20分ごろ、沖縄県の与那原町の水路では、津波が海の方からさかのぼるように流れる様子が撮影されました。
その10時間後、午前10時20分ごろには、宮城県の多賀城市でも、津波が川をさかのぼっていく様子が確認されました。高知県室戸市の港では、漁船への被害も出ています。
(城岸宏記者)
「津波の影響でしょうか。漁船の先端だけ残して沈んでいるのがわかります。こちらの漁港では4、5隻ほどの漁船が沈んでおります。」
現在、漁船5隻が沈没、5隻の行方がわかっていません。津波による「引き波」の影響で、被害に遭ったとみられます。

16日は「大学入学共通テスト」の2日目。津波警報が出ていたため、岩手県内の会場1カ所で試験が中止となりました。
(受験生)「意気込んで来たんですけれど、中止になって残念ですね。勉強する期間ものびたと前向きに捉えて次の時まで頑張りたいと思います。」
この会場の志願者数は195人で、再来週の30日に再試験を行うといいます。

▽「通常の津波とは違う」気象庁困惑
トンガの大規模噴火に伴う、今回の津波。気象庁は、15日の午後7時すぎ、若干の海面変動の可能性はあるものの、「津波による被害の心配はない」と発表しました。それが一転・・・
急遽、午前0時15分になって、奄美群島とトカラ列島に津波警報が発表されたのです。
(気象庁会見)
「沿岸部や川沿いにいる人は直ちに高台や避難ビルなど安全な場所へ避難してください。」
鹿児島県奄美市では、真っ暗な中、避難のため、高台に向かう車の列ができていました。
渋滞で、車はまったく進みません。カメラを後ろに向けると、後続車がさらに連なっていることが分かります。

さらに午前2時54分には岩手県の津波注意報が、警報に切り替えられました。
(花崎和彦記者)「津波警報が発表されたことで、次々に高台に人が避難してきます。」
8つの県で、最大23万人に避難指示が出され、住民らが避難所に身を寄せました。
(避難した住民)「寝始めていたんですけど、注意報が警報になったタイミングでやっぱり避難しようっていう気持ちに変わりました。」
今回は、地震ではなく、火山の噴火による津波ということで―
(避難した住民)「油断していました。ちょっと。噴火でしたっけ?大丈夫だろうっていう情報があったので、久々でびっくりしました。」
「海の近くなんですけど、赤ちゃんもいるので、急いでミルクとか全部詰めて、びっくりして頭の中が追い付いていない。」

気象庁は、想定していた津波の到達時刻よりも2時間半も早く潮位が変化し、これまでの津波とは違うものだとしています。
(気象庁会見)
「通常の地震による津波とは違っていると考えています。」
Q. 今回あまりない現象が起きている?
「はい。今まで私たちはこういった現象は知っておりません。」
今回、気象庁は各地で大きな潮位の変化が確認されたので、津波警報、注意報の発表に踏み切ったと言います。
「どういった経過たどるとか予測がつきませんので、そのあたり少し検討に時間を要したということはございます。」
気象庁は午後2時までにすべての津波警報と注意報を解除しましたが、今後も、海に入っての作業や釣りなど海での活動には十分注意するよう呼びかけています。

▽被害詳細いまだ不明・・・トンガの状況は・・・
今回の噴火による津波で、トンガの状況はどうなっているのでしょうか。広い地域で停電が続き、被害状況は詳しく分かっていません。
これは我々が入手した、現地時間午後1時ごろの映像です。首都ヌクアロファからおよそ170kmの村。津波の影響でしょうか、水浸しになったあとが見られます。

ニュージーランドのアーダーン首相はトンガ国内と連絡が取れたとして、会見を開きました。
(ニュージーランド アーダーン首相)
「正式な被害規模はまだ不明ですが、ヌクアロファ北部の沿岸地帯では、津波によって船や岩が打ち上げられ、大きな被害が出ているそうです。現在、トンガでは正式な負傷者や死者の報告はありません。」
アーダーン首相によると、死者の報告はないものの、「大きな被害」が出ていると言います。
(アーダーン首相)「トンガでは飲料水が必要になるでしょう。火山灰が水を汚染しているため、飲料水供給の条件がさらに厳しくなります。噴火による低地や各島への影響に関して情報がまったくありません。」

トンガの海底火山では、今回の津波を引き起こした噴火の前日、14日にも大規模な噴火が起きています。先月末から活発な活動を続けていて、今後も、警戒が必要です。

1月16日『サンデーステーション』より
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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