【独自】ロシアの原発攻撃は「核テロ」 原発トップが語る“怒りと危機感”(2022年9月22日)
ロシアから攻撃を受けた原発のトップに話を聞くことができました。着弾したのは原子炉建屋から、わずか270メートルほど離れた場所。極めて近い地点への攻撃にもみえますが、ロシア側の狙いは一体、どこにあるのでしょうか。
国民向けの演説から読み解けるのは劣勢が続くプーチン大統領の焦りです。
プーチン大統領:「部分的動員を支持する必要があると考えている。あらゆる手段を駆使する。はったりではない」
一部のロシア国民動員、核の使用示唆。ロシアの動きは慌ただしさを増しています。
対してゼレンスキー大統領はニューヨークでの国連総会で、こう批判しました。
ゼレンスキー大統領:「ウクライナ、欧州、全世界が平和を望むなか、我々はただ1人戦争を望む人物を目の当たりにした」
世界が懸念するのは焦るプーチン大統領の暴走です。
19日未明に起きたロシア軍による南ウクライナ原発への攻撃。現場から届く証言から、当時の緊迫した状況が分かってきました。
インタビューに応じてくれたのは、南ウクライナ原発の管理に携わる女性職員です。
南ウクライナ原発の管理に携わる女性:「私にも爆発音が聞こえました。原発内に着弾したのは最初のミサイルでした」
女性職員はミサイル攻撃を受けた際、5キロ以上も離れた自宅にいました。それでも…。
南ウクライナ原発の管理に携わる女性:「爆発の衝撃波が強く、大きなマンションの窓が震えて割れると思いました。とても怖かったです」
5キロ先にも伝わる爆発の衝撃波。3本の送電線が一時的に寸断されたほか、原発敷地内の建物でほとんどのガラスが割れるなど被害が出ています。
これまでも度々、原発を標的としてきたロシア軍。侵攻初日にチョルノービリ原発を占拠し、3月にもザポリージャ原発を制圧。その後、電力供給が遮断される事態となっています。
そして、今回は国内で10%の電力を賄う2番目に大きな南ウクライナ原発への攻撃です。現在は最悪の事態にも備えているそうです。
南ウクライナ原発の管理に携わる女性:「大惨事を覚悟しています。職員全員にヨウ化カリウムが配られ、どうやって飲むか教えられました。それはとても恐ろしいことです」
現場は放射性物質が拡散した場合に備え、ヨウ化カリウム製剤を投与する方法が伝えられるなど緊迫した状況が続いています。
ただ、原子炉建屋は無事で、現在は3基の原発が正常に運転を続けているということです。
そして、取材で新たに分かってきたのは原発を攻撃するロシア側の狙いについて…。
「Jチャンネル」はウクライナ国営の原子力企業、そのトップに話を聞くことができました。
着弾したのは原子炉から270メートル離れた地点。その狙いはどこにあるのでしょうか。
ウクライナ国営の原子力発電公社「エネルゴアトム」のトップ、ペトロ・コティン総裁は着弾の形跡から、このような分析をしています。
「エネルゴアトム」・ペトロ・コティン総裁:「これまでの原発に向けた攻撃のなかで原子炉に最も近い着弾でした。南ウクライナ原発への攻撃は元々あり得ないことでした。ミサイルは直接、原発内に撃ち込まれました。爆発の結果を調査したら、『イスカンデル』が撃ち込まれたことが分かった。非常に強い、決して“着弾してはいけない”ミサイルです」
コティン総裁によりますと、ロシアは戦勝記念日のパレードにも登場した約500キロの射程を誇る弾道ミサイル「イスカンデル」を使用した可能性があるといいます。
「エネルゴアトム」・ペトロ・コティン総裁:「(Q.わざと狙ったのか?たまたま着弾したのか?)270メートルの距離に3基の原子炉があります。そこに命中したら核事故になるところでした。彼らは原発内でミサイルがどこに落下するか気にしていない。我々は“核テロ”だと認識しています。(プーチン大統領は)“核テロ”に我々や世界がどう反応するのかを見ていると思います」
今も命掛けで原発の維持に努める女性職員は目に涙を浮かべながら、こう訴えます。
南ウクライナ原発の管理に携わる女性:「応援の言葉だけでも助かります。私たち本当に大変なの。前の生活に戻りたい。人がただ死なないことを願っています」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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