“世界同時不況”の目前!? カギ握るアメリカと欧州(2022年9月10日)

“世界同時不況”の目前!? カギ握るアメリカと欧州(2022年9月10日)

“世界同時不況”の目前!? カギ握るアメリカと欧州(2022年9月10日)

私たちの家計を圧迫する物価高騰。政府はその対策として、住民税非課税世帯を対象に、1世帯あたり5万円を給付することを新たに決めました。果たしてどれだけの効果があるのか、第一生命経済研究所の永濱利廣さんにうかがいます。

■物価高対策 5万円給付の効果は?
高島)
今回の物価高対策の効果をどう見ていますか?

永濱氏)
一定の効果があると思うんですが不公平感が大きい。この非課税世帯というのは7割以上が65歳以上の高齢者の世帯なんですね。もちろん年金生活で大変な世帯もあると思いますが、一方で収入はないが金融資産をたくさんもっているような高齢者もいらっしゃるので、そいういう意味では、もっと規模の大きな給付にすればよかったんじゃないかと思います。

高島)
家計への負担も増えていて、年間7万5000円増えるという試算もありますが、5万円では足りないという気もしますが。

■給付金よりも減税が効果的
永濱氏)
そのとおりだと思います。そこで私が提言したいのは、可能であれば、一過性の給付金よりも海外ではよくやってるんですが、物価が落ち着くまでは食料とかエネルギーの消費税を減税するとか、そういった策が効果的なのかなと思います。ただ日本はやはり減税のハードルが高いので、もし給付金ということであれば、私は5万円であれば一旦全世帯に5万円を配って、年末調整の時に収入が多かった世帯はそこで返すというような形であれば、幅広く負担が軽減できるかなと思いますね。

■世界同時不況は目前?
高島)
そして、物価高の要因になっているのが円安ですが、今週一時144円まで円安が進みました。こうした中で、にわかにささやかれ始めたのが、「世界同時不況」というキーワードです。大変危機感のある言葉ですけれども、どういうことなんでしょうか。

板倉)
その言葉は、先週IIF・国際金融協会のチーフエコノミストが発しました「世界同時不況が目前に迫っている」と、かなり強い言葉ですが、その理由としては、まずアメリカはインフレ対策として急速な利上げを行っていて、これで今後景気が落ち込む可能性がある。そしてヨーロッパについては、ウクライナ情勢によるエネルギー不足に陥っていて経済活動に大きな影響が出ている。さらには中国では、ゼロコロナ政策を行っていまして、これで経済が低迷している。また日本についても物価高やコロナの影響もあって景気が後退していると。これらが同時に起こると、もしかしたら世界同時不況になるんじゃないかと言われているんです。永濱さん、世界同時不況になる可能性どう見てますか?

永濱氏)
可能性はあると思います。鍵を握っているのがアメリカとヨーロッパで、ここは、むしろ経済が過熱してしまって物価が上がってるので、少し経済を冷ます為にブレーキをかけるため利上げをしてるんですね。ただブレーキをかけて利上げをしても、物価が思い通り下がらないと景気を悪くするまで利上げをしなきゃいけなくなるということもありますから、そうなると同時不況の可能性も出てくると思います。

板倉)
同時不況になってしまったら、具体的にどんなことが起きてしまうんでしょうか?

永濱氏)
日本国内で考えると企業業績は悪くなりますから、そうなると株価は低迷してくると思います。今、円安で倒産が増えていますが、世界経済が悪くなると輸出関連の企業なんかで倒産が増える可能性があると。ただ一方で世界同時不況になれば、世界中の食料とかエネルギーの値段は下がると思いますから、そこは負担が軽減するいい事もあるんですが、輸出関連の企業など中心に給料が下がってしまうという可能性もある

高島)
世界同時不況を阻止する策というのはあるんでしょうか?

永濱氏)
まずやはりアメリカやヨーロッパの中央銀行が利上げを慎重にやるということ。あとは世界の食料エネルギーの供給が減ってるわけですから、世界で協調していかに食料やエネルギーへの供給を増やすか。これを考えることが重要だと思いますね。

高島)
例えば、世界もアメリカが金利を上げた時に、ただでさえゼロ金利をやってる日本が、金利を上げることはできるんですか?

永濱氏)
やっぱり日本は、海外と違って経済が冷え込んでいるので、そこで利上げをすると、ただでさえ悪い景気がもっと悪くなってしまう可能性があるので、なかなか日本の場合は利上げはできないと思います。

■今後 日本が取るべき策は?
高島)
では、この世界同時不況がささやかれるなかで、今後日本経済を立て直すために、永濱さんはどういったことが必要だとお考えでしょうか。

永濱氏)
日本の景気がなぜ悪いかと言うと、国内でお金使う人が少ないわけなんですね。となると政府がいいところにお金を使う人たちに優遇すべきで、例えば生産性を上げるためのデジタル化にお金を使う企業を優遇するとか、省エネを推進するような企業に優遇するとか。あとは食糧自給率を高めるために農業に参入する所を優遇する、海外で稼いでいる日本企業が国内のお金を戻して国内投資する、こういった所に優遇するとか。

高島)
実際に、永濱さんがおっしゃったような声っていうのが届いて、政府が動いていくってことはないんですか?

永濱氏)
一応岸田政権下でも、グリーンエネルギーとかデジタルと経済安全保障に前向きに取り組むという方向性は出てきました。来月出てくる追加の経済対策で、どういったメニューがそこに入ってくるか、これ次第で変わってくるのかなと思いますね。

サタデーステーション 9月10日OA
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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