【全数把握】見直し検討…現場医師 続く負担も「すべてやめるべきではない」(2022年8月18日)

【全数把握】見直し検討…現場医師 続く負担も「すべてやめるべきではない」(2022年8月18日)

【全数把握】見直し検討…現場医師 続く負担も「すべてやめるべきではない」(2022年8月18日)

 新型コロナの全国の新規感染者が25万5000人を超え過去最多となりました。東京都では2万7453人の感染が確認されるなど高止まりが続くなか、見直しの検討が始まったのが「全数把握」です。発熱外来の大きな負担となっていますが、現場の医師は「すべてをやめるべきではない」と提言しています。

 国立国際医療研究センター・大曲貴夫医師:「誰もがいつどこで感染しても、おかしくない状況が続いています。自ら身を守る行動を徹底する必要がある」

 警戒はまだしばらく必要なようです。

 18日の東京の新規感染者数は2万7453人。11日に比べ、およそ3800人減っています。

 重症者は33人で、17日から2人減りましたが、病床使用率は59.8%と0.1ポイント上昇しました。

 専門家は感染者数が減少しているのはお盆休みの影響を受けていると分析していて、警戒レベルについては最も高いレベルを維持しました。

 小池都知事:「これからはお盆が明けて、仕事が本格化する。今一度気を引き締める必要がある」

 依然、高水準が続くなか、今、専門家らが強く求めているのが…。

 東京都医師会・尾崎治夫会長:「全数把握できているとはとても思えません」

 全数把握の見直しです。

 現在、医療機関はすべてのコロナ患者の情報を保健所に報告するよう求められていて、この作業が医療現場の“逼迫(ひっぱく)”につながっていると指摘されています。

 尾身会長ら専門家も今の全数把握を見直すよう政府に提言。

 政府分科会・尾身茂会長:「(厚労)大臣も段階的にいく(見直す)という思いを持たれているのははっきりした」

 実際、現場の医師はどう思っているのでしょうか。日々、コロナ患者の診療にあたる多摩ファミリークリニック・大橋医師に聞きました。

 多摩ファミリークリニック・大橋博樹医師:「(Q.全数把握の見直しについては?)賛成は賛成。現状のすべての患者さんの個人情報を『ハーシス』に入力して報告するという意味では、もうすぐにやめてしまった方が医療機関の負担は減っていいんじゃないか」

 コロナ患者の情報を一元的に管理し、関係者間で共有するシステム「HER-SYS」。

 患者を陽性と診断した医療機関は、名前や住所、生年月日など15項目を入力し、届け出る必要があります。

 多摩ファミリークリニック・大橋博樹医師:「例えばうちのクリニックで30人陽性が出た場合は、一人3分かかったとしても、残業で1時間半かかってしまうということになるので、それが毎日続くというのはかなり職員の負担にはなる」

 政府は今月、一部の患者を除き、これを7項目に簡略化する方針を明らかにしています。それでも…。

 多摩ファミリークリニック・大橋博樹医師:「一番負担がかかるのは名前とか個人情報のところ。難しいお名前の方とか、名前はけっこう大変…」「(Q.私も柳下と「やなぎした」と呼ばれることが多い。そういうところも…)この漢字はどうやって入力すれば出てくるのかと脇で辞書で調べたり…」

 そこで大橋医師が提案するのは、メリハリをつけた報告。全員でなく、重症化リスクの高い患者のみ保健所に届け出るという仕組みです。

 多摩ファミリークリニック・大橋博樹医師:「今、圧倒的に感染者の数で多くを占めるのは軽症な若い方。この方たちのデータだけ入力しなくてよいとなるだけで、かなりスムーズに動くのではないか。一方で必ず情報を知らなければいけない方、中等症の方・基礎疾患のある方、高齢者の方という情報はこれまで通りしっかりと保健所でも把握して重症化させないということをしっかりサポートしていかないといけない」「(Q.軽症の方が悪化することもあると思うが?)おっしゃる通り、そこはすごく大事なところで、『自分の体調が変だぞ』、『悪くなってきているぞ』という時に、速やか保健所に自分の情報をエントリーできるようなシステムも必要になる」

 一方で、全数把握の中止には新型コロナの流行状況がつかみにくくなるというデメリットも伴います。現場の負担を考えれば仕方のないことなのでしょうか。

 多摩ファミリークリニック・大橋博樹医師:「全数把握をやめる=陽性者の数も知らなくてもいい…そこまで幅の広い話ではなくて、『間』があると思いますので、(感染者の)数は皆知っていていいんじゃないかと僕は思います。数だけ(報告)するということで、おおよその傾向は引き続き知ることができる。(感染者数の)情報開示と共有が一番の不安を抑える方法になると思うので。『いま拡大傾向にある』とか『やっと収束しつつある』という情報は、常に患者さんの数として把握して頂くことは重要なのではないか」「(Q.感染者数だけの入力なら何分くらい?)何人中何人と入れるだけでしたら1分もかからないわけですよね。集計も全然難しくないので、それはもう全然問題なくできると思う」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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