温泉郷を襲った“記録的豪雨”…旅館「3000万円被害」 8月予約「90件キャンセル」(2022年8月8日)
北陸や東北を襲った記録的な大雨。被害が出た新潟の温泉郷では、予約客のキャンセルが相次ぎ、夏休みの書き入れ時に大きな影響が出ています。
■旅館 濁流に削られ倒壊「3000万円の被害」
先週、想像を超える大雨に見舞われた東北や北陸の各地。河川が氾濫し、濁流が街を一変させました。
増水し、荒れ狂うように流れる川は、JRの鉄橋や橋、道路などを破壊。猛烈な雨量で、各地で土石流が発生。住宅をのみ込み、車は流され、国道のトンネルを塞ぐなど、甚大な被害をもたらしました。
荒川が氾濫した新潟県。住宅地の道路が濁流のようになった関川村です。関川村は、県内有数の温泉地。高瀬、湯沢など5つの源泉からなる「えちごせきかわ温泉郷」があります。
鷹の巣温泉の「喜久屋」は、清流・荒川の川辺にたたずむ「離れ」が魅力の隠れ宿。ところが、大雨が降った翌朝。旅館の反対の岸から撮影した映像から、濁流で堤防が崩れている様子が分かります。
6日、旅館を訪ねると、客室の一部が濁流に削られて倒壊。残っている建物も土台が削られ、宙に浮いている状態になっていました。
喜久屋・小山泰喜副館主:「(Q.こちらから見ると、またすごいですね)地面の状況が、より分かりやすいので」
壊れた客室に行ってみました。
小山副館主:「この部屋の下から、たぶんない状態です。こちらから内風呂・露天風呂に行けるようになっておりました」
本来、あるはずの内風呂と専用露天風呂、ウッドデッキが流され、ダイニングの部屋が浮いている状態。部屋自体が傾いていて、障子が開かず、壁には亀裂も走っていました。
小山副館主:「建物は全部だめで、合併槽(浄化槽)などもあるので。(修理費用は)3~4000万円くらいかかるのではないかなと思います」
■キャンセル相次ぐ…被害ない旅館にも影響
荒川が増水した当時、2組4人が宿泊していましたが、安全な温泉宿に避難してもらい、無事でした。これからお盆の時期を迎えますが、こんな状況では営業できません。
小山副館主:「8月分いっぱいに関しては、電話で皆様キャンセルということにさせて頂きまして」「(Q.キャンセルしたのは何件くらい?)8月分で80~90件くらい」
堤防が修復されるまで、今できることは倒壊しそうな客室から安全な場所に家具を運び出すこと。今後、雨が降っても土台が浸食されないよう、ブルーシートを張ることしかできないと話します。
小山副館主:「年内に営業を再開できればいいかなという状況じゃないでしょうか」
高瀬温泉の「花みちる宿 ニュー萬力」でも、一部の客室が床上浸水してしまったため、濡れた畳やじゅうたんをはがして乾燥させていました。現在は、休業を余儀なくされています。
客室に被害がなく、7日から営業を再開した旅館もありますが、キャンセルが相次いでいました。
和らぎ荘・従業員:「(Q.これは全部キャンセル?)キャンセル。50件はあるね」
■30℃超の炎天下…「汗だく」片付け
氾濫した水が濁流となっていた地区では、30℃を超える炎天下のなか、使えなくなった家具や室内の泥を外に出す作業が進められていました。その額には、大粒の汗が出ています。
用助商店・津野みつこさん:「暑いです、汗だくだくで。水を飲んで、もう少し頑張ろうかなと思っています」
■寺に大量土砂…本堂も“泥まみれ”
寺では泥まみれの畳が、僧侶や親戚の手で運び出されていました。寺の中には、裏山が崩れ、土砂とともに壁を突き破ってきた木が横たわったままになっています。
松岳寺・渋谷正淳住職:「もう、衝撃というか、あぜんとしたと言うしかないですよね。木は出せません。この木をいじったら、下手すると崩れるので」
山にはまだ、大量の水分が残っているのか、寺の土台のところからは大量の水が流れ出ていました。本堂も、泥まみれの状態です。
手伝いに来た人:「水分をこまめに取らないと、本堂の中とか空気がこもっちゃって。まだ続くと思うので、ゆっくりやりながらになると思います」
流されてきた多くの車も、泥に埋まったままの状態です。
車が埋まってしまった男性:「(Q.ご自身の車も?)そうですね。あります。奥の黒い車なんですけど、廃車ですね」「(Q.どうにもできない?)そうですね」
■水引いた駐車場に…店内の商品並ぶ
車や流木などの撤去作業が、なかなか進まなかったのは、道路が陥没して重機が通れなかったためです。重機が入れるよう急ピッチで復旧作業が進められていました。
そして7日、流木の撤去などの復旧作業が進んでいました。
用助商店・津野みつこさん:「重機が入らなければ、自力でなんてとてもとてもね。何カ月もかかっちゃうところ、処理して下さるのは、大変ありがたいことでした」
村上市荒川地区では、全域で浸水。大型ショッピングセンターの駐車場は湖のような状態になっていました。大雨から3日、水が引いた駐車場には、店内の商品が出されていました。
■猛暑なかでも…懸命のボランティア
村上市では、7日からボランティアの受け入れが始まりました。
ボランティアの男性:「柏崎で中越沖地震とか、そういった震災も経験しているので。ちょっとでも、手助けになればというところです」
しかし、一時、活動はストップしましたが、幸い雨はすぐやみ、無事再開されました。
一方、猛暑のなか、復旧作業に取り掛かるボランティアを支えたのは「かき氷」。隣の市の住民が、無料のかき氷を配っていました。
ボランティアの女性:「身近な人たちが災害に遭ったことで、私たちも少し力になれたらなと思い、きのうから『かき氷』振る舞い」
■泥渇き固まる前に「力になりたい」
山形県大江町でも、ボランティアは汗まみれになりながら、泥が渇き固まる前に、川へ捨てる作業に追われていました。
ボランティアの高校生:「(Q.きょうは、どこから?)米沢です。やってみると(泥が)本当に重くて。人数がいっぱいいたので、大丈夫かなと思ったんですけど。まだまだ人数が本当に必要だと思ったので、参加して良かった」
各地で、懸命に作業するボランティアたち。
ボランティアの高校生:「部活の仲間が、被害に遭ってると聞いて、大変だと思った。少しでも力になれるように頑張ります」
被害に遭った旅館スタッフ:「すごくボランティアの力が大きくて。ありがたい。感謝の言葉しかない」
(「グッド!モーニング」2022年8月8日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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