【アメリカ・ペロシ氏台湾訪問】中国「軍事演習」実施へ 専門家「海上封鎖が常態化しかねない」
アメリカ・ペロシ下院議長の台湾訪問に反発し、中国は対抗措置として軍事演習を行うとしています。専門家は「一部、海上封鎖が行われるだろうが、頻繁に軍事演習が行われるようになると、海上封鎖が常態化しかねない」と指摘しました。
■米下院議長の「台湾訪問」に反発 中国「軍事演習」へ “台湾有事”に発展の可能性は
有働由美子キャスター
「台湾を訪れていたアメリカのペロシ下院議長が3日、蔡英文総統と会談しました。これに反発しているのが中国で、対抗措置として、軍事演習を4日から行うとしているのですが、一気に台湾に侵攻する、いわゆる『台湾有事』にまで発展する可能性もあるのでしょうか?」
小栗泉・日本テレビ解説委員
「日米両政府ともに『そこまではないだろう』とみています。中国が軍事演習を『4日から』としている点にも、“一定の配慮”がうかがえます。というのも、ペロシ議長は3日夜、台湾を離れました。自衛隊の前統合幕僚長の河野克俊氏は『ペロシ議長が台湾にいる間に軍事演習というのと、去ってからというのとでは、威嚇度が違う。中国は秋の共産党大会を前に、アメリカと全面対決するメリットはない。対抗措置はとらざるを得ないので、その落としどころを探っている』と分析しています」
■中国の“空母キラー” 頻繁に軍事演習なら海上封鎖が常態化の可能性も…?
有働
「そうなると、具体的にはどういうことをしてくるんでしょうか?」
小栗
「警戒すべきは、『空母キラー』と呼ばれる対艦弾道ミサイルです。アメリカ政治に詳しい、明海大学の小谷哲男教授は、『台湾の上空を越えて、日本の南西諸島の周辺に空母キラー=対艦弾道ミサイルを撃ち込まれる可能性はある』と指摘しています。この『空母キラー』なんですが、もし撃ち込まれたら初めてのことなんですよね。中国としては、アメリカと同盟国に対して強烈な怒りをアピールすることになります。小谷教授は『これにより、一部海上封鎖が行われるだろうけれども、今後も頻繁に軍事演習が行われるようになると、海上封鎖が常態化しかねない。場合によっては、南シナ海にある台湾の離島が占拠される可能性というのも排除できない』と見通しを語っています」
■日本にできることは? 専門家「南西諸島の警戒態勢を強めることが大切」
有働
「日本としては何ができるんですか?」
小栗
「1つは情報収集です。小谷教授は、『空母キラーが撃ち込まれたら、弾頭の動きや軌道を含めて分析し、中国軍の今の能力、作戦といった手の内を見極めることができる』と話します。また河野前統幕長は『南西諸島の警戒態勢を強めることが大切。まずはこれ以上、エスカレートさせないことが得策だ』と話しています」
■対岸の火事ではない 台湾で何か起きたら日本にも…
有働
「辻さんは、どう見ていますか」
辻愛沙子・クリエイティブディレクター(『news zero』パートナー)
「台湾は親日っていうイメージも強いですし、物理的距離も近いですよね。ロシアのウクライナ侵攻も決して対岸の火事ではないですし、相似形のことが日本のすぐ近くで起こりうるかもしれないわけで、それほど緊張感が高まっている状況ということですよね」
有働
「連日、お伝えしていますのは、台湾で何か起きたら日本も巻き込まれることは避けられないからで、ウクライナを見ても力の犠牲になるのは罪のない市民と子供です。そうならないように、私たちが関心を持って見守るしかありません」
(2022年8月3日放送「news zero 」より)
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