止まらぬ円安 1日で2円↓…米国でインフレ加速 「人生で初」ティッシュ6箱1400円(2022年7月15日)
円安の加速が止まりません。14日、東京為替市場で、円相場が24年ぶりの円安水準となりました。アメリカでは物価高が進み、様々な物が信じられない価格となっています。
■一日で2円値下がり…「海外行けない」
岸田文雄総理大臣:「新型コロナ、ウクライナ侵略、世界的な物価高騰。世界にも、日本にも、数十年に一度しか起こらないような事態が重なり合って起こり」
止まらない物価高騰。要因の一つが円安です。
14日、外国為替市場は一日で2円以上も値下がりし、1ドル=139円台をつけました。およそ24年ぶりの水準です。
40代:「海外からの輸送とか、購入するところもあるので。そこで、円安の影響を思いっきり食らいますね」
30代:「コロナもあるので、海外(旅行)遠ざかってますけど。行った先での出費を考えると、国内かなと思いますね」
■米国でインフレ加速「人生で初めて」
円相場急落の背景は、アメリカの物価上昇。13日に発表された6月の消費者物価指数が9.1%上昇し、40年半ぶりの水準となりました。
買い物客:「35年の人生で、こんなに物価が高いのは、初めてだよ。以前は、もっと旅行に出掛けていたけど、今は、飛行機代がかなり高い」
庶民の味方のはずの店にも、値上げの波が及んでいます。
様々な商品が、他の店よりも安く変えると評判のカリフォルニア州ロサンゼルス近郊のスーパー。ティッシュ6箱セットは、およそ1456円(10.49ドル)。1箱あたり242円です。キッチンペーパーも6ロールで、2000円近くします。
アメリカの調査会社によると、こうした紙製品の値段が、1年前と比べて3割以上、値上がりしているといいます。
ナイロン製品も高騰していて、90枚入りのごみ袋は2289円(16.49ドル)。さらに、「安くておいしい」と評判の老舗ハンバーガーチェーンでは、ダブルチーズバーガーセットは、急なインフレで一気に10ドルを超え、日本円でおよそ1400円(10.07ドル)になっています。
地元の人からは「味は変わらずおいしいが、安い代名詞ではなくなってきている」との声が上がっています。
■FRB「1%利上げ」も…“景気後退”招く?
消費者物価指数の上昇が、5月に記録した8.6%を上回ったことから、FRB(連邦準備制度理事会)が今月、通常の4倍となる1%の大幅利上げに踏み切るのではないかとの見方が急速に広がっています。
専門家は、この急激な金融引き締めがアメリカの“景気後退”を招く可能性があると指摘します。
野村総研 エグゼクティブ・エコノミスト 木内登英氏:「3月から3回の利上げ。今月1%上げますと、毎回加速する形で利上げ。過去にない急激な引き締めによって、アメリカは来年にかけて“景気後退”になるという見方が半分くらい」
■日本も物価↑…マヨネーズ値上げ“3度目”
アメリカの急激な金融引き締めによって円安が進み、日本の物価高騰につながっています。
このスーパーではマヨネーズやハムの値上げ発表を受け、「値上げを検討せざるを得ない」ということです。
丸大食品がハムやソーセージなど350品目を値上げ。また、味の素は卵や油といった原材料費の高騰からマヨネーズを値上げすると発表しました。味の素がマヨネーズを値上げするのは、この1年で3度目です。
スーパーイズミ・五味衛社長:「原価が上がっちゃえば、(価格を)上げなきゃいけないかなと。(価格を)上げざるを得ない商品もありますけど、非常に大変な時期が来たなと感じてます。ちょっと先行きが暗いです、正直」
利用客(40代):「マヨネーズとか自分で作っても高いから、結局買いますね。こればっかりはしょうがないと思うので、あとは賃金上げてほしい」
■ファミレスでも…“地域別価格”導入も
原材料費の高騰で、ファミリーレストランでも値上げが…。
すかいらーくホールディングスが運営するガストやバーミヤンは、半数近くの商品を平均およそ5%値上げ。都市部や関東圏と、それ以外に分けて地域別の価格を導入します。
バーミヤンの本格焼き餃子は、関東圏では285円ですが、その他の地域では、現行の274円に据え置かれます。地域差を付けた理由について、次のように話します。
すかいらーくホールディングス担当者:「地域ごとに経済、消費の回復度合いが違うことが要因です。都市型の値上げに対して、他の地域の値上げ幅を抑えたということ」
■札幌市で独自 水道基本料金「請求しない」
相次ぐ物価高に、独自の対策を取る自治体もあります。
札幌市 秋元克広市長:「家庭用の水道、10月、11月分の検針分の基本料金を請求しないことにします」
札幌市に住む4人暮らしのこの家庭では、直近2カ月の水道代は1万3000円ほどです。
札幌市民:「それよりも電気代のほうが年々上がっているので。正直、そっちのほうの値上げをどうにかして頂けるとありがたい」
■止まらぬ円安…日本の“打つ手”は?
政府は、こうした地方交付金の活用や節電ポイントなどの物価対策を15日に開かれる対策会議で検討するとみられています。
岸田総理:「地域の実情に応じた、きめ細やかな支援や物価上昇のほとんどを占めるエネルギーや食糧について、集中して対策を講じる」
円安は輸出をメインにする企業には、大きなメリットもありますが、専門家は、政府の対策が効果を発揮するには、円安を止めるための金融政策が必要だと話します。
野村総研 エグゼクティブ・エコノミスト 木内登英氏:「他の国ですと、アメリカに追随するような形で、金融引き締めをしている国が多い。日本だけ特殊で、アメリカとの金利差だけ開いていく。対ドルで円安が非常に進みやすくなっている。政府が、ガソリン(価格)対策、節電ポイント、農業への支援をやっていても、円安が進むと物価高が進んでしまいますので。日本銀行の政策が、政府の物価高対策を邪魔している」
(「グッド!モーニング」2022年7月15日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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