『関西万博によって喪失する』地盤改良工事で“絶滅危惧種の野鳥が危機”と訴える声(2022年7月4日)
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大阪・関西万博の会場となる夢洲では、絶滅危惧種の野鳥が危機に瀕しています。
干潟にくちばしをつけてエサを探す絶滅危惧種の「ツクシガモ」。また、絶滅危惧種で東アジアのみに生息するという「クロツラヘラサギ」。これらの野鳥は大阪湾の人工島・夢洲で撮影され、夢洲には絶滅危惧種を含む110種類ほどの野鳥が飛来するといいます。
埋め立てによって広大な湿地が形成された影響で野鳥が好むヨコエビやゴカイといったエサが豊富だからだといいますが、いま、この「鳥の楽園」に“ある問題”が浮上しています。
夢洲では3年後に開催される大阪・関西万博に向けて液状化対策として地盤改良工事が行われていますが、「日本野鳥の会」の荒木涼子さんによると、この影響で野鳥が飛来することが難しくなるというのです。
(日本野鳥の会・大阪支部 荒木涼子さん)
「鳥たちの住処はなくなります。そして、(鳥の)休むとこがなくなると絶滅につながってしまいます。湿地を埋めてしまうので、コンクリートで固めると、中にいる低生生物や水生昆虫、水生植物などが全部死んでしまうので、そうすると鳥たちの食べものがなくなります」
その荒木さんがいま、特に気がかりなのが、夢洲で観測されている絶滅危惧種の「セイタカシギ」です。細長いくちばしが特徴で、翼は黒色。長いピンク色の脚を持ち、その美しい姿から「水辺の貴婦人」ともいわれる渡り鳥です。日本では100羽ほどしか確認されておらず、大阪湾では見られるのはここだけだといいます。
(日本野鳥の会・大阪支部 荒木涼子さん)
「(セイタカシギが)埋め立て地と水辺の際のところでたまごを温めている状況です。その周辺だけでも一時的に(工事を)止めてほしいと思います」
荒木さんらは6月に、セイタカシギの繁殖環境を守るべく大阪市に要望書を提出。繁殖を終える7月下旬まで緊急的に工事を一時的に中止することを求めました。これに大阪市の松井一郎市長は次のように話しています。
(大阪市 松井一郎市長 6月下旬)
「自然の場所じゃないんでね、もともと埋立地なんで。野鳥の会の皆さんともお会いして話したけれども、『野鳥の楽園』をつくるために埋め立てたのではないのでね」
松井市長は工事は継続しながらも、野鳥が育つ環境は場所を変えてつくりたいとしました。
(日本野鳥の会・大阪支部 荒木涼子さん)
「生物多様性を未来につなげられる唯一の大阪湾・夢洲という場所が、環境をテーマとした万博によって喪失する」
開幕まで3年をきった大阪・関西万博。遅れのない工事も求められていますが、果たして「野鳥の楽園」は守られるのでしょうか。
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