「温暖化がなければ起こり得なかった」連日猛暑に記録的大雨…2018年といまの類似点(2022年6月29日)
記録的な暑さと豪雨災害をもたらした2018年夏。類似点が多いという今年の夏はどうなるのでしょうか。
『スーパームーン』『ブルームーン』『ブラッドムーン』が同時に起きるというレアな天体ショーで始まった2018年。気象の世界でもこの年は異例続きでした。
各地で40度超えが観測された7月23日。なかでも埼玉県熊谷市では、観測史上最高となる41.1度を記録しました。
2018年に記録された暑さは、今も歴代最高気温の半分を占めます。
今年との類似点で言えば、梅雨明けが関東甲信で6月29日と、当時最も早いものでした。
この年も列島が2つの高気圧に挟まれる、いわゆる“重ね布団”の影響を大きく受けています。
ただ、2018年に似ているとなると、災害への注意が必要です。
29の台風が発生し、日本への上陸も平年よりも多くなりました。
大雨は多大な被害を各地で引き起こしました。
また、西日本豪雨では河川の氾濫や浸水害、土砂災害が多発し、死者263人、行方不明8人と平成最悪の豪雨災害となりました。
この年は広い範囲で大雨となり、北海道でも石狩川など複数の川が氾濫しています。
今年の夏も極端な大雨と極端な暑さの両方に注意が必要となりそうです。
◆気候変動や異常気象のメカニズムを研究する、東京大学大気海洋研究所の渡部雅浩教授に聞きます。
(Q.今年の夏はどの程度、暑くなると考えられますか?)
起こった時期は2018年とは違いますが、似ているのは気圧の配置です。
2018年も今週の猛暑も、地表近くの太平洋高気圧が張り出して日本を覆っています。
それに加えて、大陸の方にある上空のチベット高気圧が伸び得ています。
こういう状態になると、日本の下から上までずっと高気圧に覆われて、暑い空気がたまっている状況です。
上空の高気圧はいったん衰退するとみられ、来週以降は猛暑が若干和らぐことが予報されています。
ただ、夏を通して見た場合、今年は平均的に暑いということが、早い段階から予測されています。
(Q.ラニーニャ現象はどういう現象ですか?)
ラニーニャ現象は太平洋で起こる海水温の異常です。東の方で水温が下がる代わりに、インドネシア周辺の水温が上がります。
それに加えて、今年はインド洋でも水温の変化が起きていて、それも同じようにインドネシア周辺の水温を上げる働きをしています。
日本の南の水温が上がると、そこで雨がたくさん降って、結果的に日本周辺の高気圧を強めるということが分かっています。
これだけ例年と違った天候の状態が起こると、色んなことが起こり得ます。
(Q.2018年は西日本で甚大な被害が出ましたが、豪雨災害が起きる可能性もありますか?)
確実なことは言いにくいですが、猛暑で地面が暖められると大気が不安定になり、都市部でも突発的に雷雨が発生することが予想されます。
さらに今、高気圧が張っているので、空気が入ってこない状況です。ここにもし水蒸気が流れ込んでくると、急激に積乱雲が発達して、広域の豪雨災害が起こるリスクもあります。
(Q.近年の夏の猛暑や豪雨に、地球温暖化が関係していると言えますか?)
我々の研究グループが2018年の猛暑について、温暖化の影響を評価しました。
その時の結果では、2018年の猛暑は、温暖化が背景になければあのレベルでは起こり得なかったという結論が得られています。
今回の猛暑については、これから改めて研究が必要ですが、今、日本だけではなく世界中で猛暑が発生しています。
例えばヨーロッパのフランス・地中海の辺り、アメリカの中部、中国の北部、あちこちで熱波が起きています。
(Q.このままいくと、日本の夏は毎年猛暑になるのが当たり前になりますか?)
2018年の研究では、工業化以降の世界の気温上昇が2度まで進行すると、日本国内の猛暑日の発生回数が、現在の約1.8倍になるという結果が得られました。
約1.8倍なので、毎年起こるというところまでは行きません。しかし、頻度が増えるのは確実で、強くなります。
今、猛暑日は35度以上と決められていますが、これから40度を超える地点が増えることが懸念されます。
そうなると、もう一段高いアラート、猛暑の上の“酷暑”のような指標が必要になってくる可能性があります。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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