「ボロボロになるまでやるか、やめるか」名物弁当店が閉店…密着で見えた値上げの波(2022年6月28日)
青森県弘前市で、地元の学生を中心に親しまれる『総菜さとう』。このお店の“ウリ”といえば、安くてボリューム満点の特大鳥ムネ肉を豪快に盛り付けた “デカ盛り弁当”です。
店を、一人で切り盛りするのは佐藤剛さん(78)。お店の盛況ぶりとは裏腹に、壁には“閉店のお知らせ”です。その理由は、ウクライナ情勢や円安などを背景とした度重なる原材料費の高騰。食用油は、去年に比べて、4割近く値上がり。さらに、小麦粉、たまねぎ、弁当の容器と、あらゆるものが値上げを続けています。
佐藤剛さん:「今(材料費が)上がって、利益が少なくとも、下がってくれば商売になっていくが、上がる一方になっていくと思う」
値上げしてまで店を続けるべきか。卸業者は、店主の苦しい胸の内を聞いていました。
食肉卸の業者:「物を持ってくると、社長さん(佐藤さん)が『値段を上げたいんだけど、学生さんたちかわいそうだから』と」
店主である佐藤さんが店を開店したのは、今から33年前。学生たちに安くて、おいしい食事をお腹いっぱい食べさせたいと頑張ってきました。だから「価格転嫁」は考えられない。佐藤さんは、店を閉じることにしました。
閉店を知り、有給を取って駆け付けたという女性。約15年ぶりの来店です。壁いっぱいの色紙を見て、高校時代の記憶が蘇ります。
高校時代に常連だった女性:「おじちゃんと話をするのが、すごく好きだったので、それも楽しみにしに来てた」
最後の日、惜しむお客さんが続々と訪れていました。
市内の大学生:「安くて、お腹いっぱい食べられる店がなくなる」
市内の大学生:「本当に貴重な存在だったので、学生の身分的には、結構、大きい」
78歳の佐藤さんは、80歳までは続けたいと思っていました。
佐藤剛さん:「あと2年やろうかなと思っても、結局、今の情勢だと、どんどん(物価が)上がって、お客もかなり引くだろうし、最後までボロボロになるまでやるか、今やめるか。それで悩んだ。(Q.悔しさはある)ありますよね」
そして、6月10日。33年間の歴史に幕を下ろしました。
佐藤剛さん:「お客さんには感謝しかないですよ。大変な時代に入ったから、うちに来た人は、とにかく負けないように、一生懸命、頑張って生活してもらえたらええなと思う」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
コメントを書く