「冷戦当時に戻る」NATOが対ロシア方針転換へ プーチン氏はどう出る?専門家に聞く(2022年6月28日)

「冷戦当時に戻る」NATOが対ロシア方針転換へ プーチン氏はどう出る?専門家に聞く(2022年6月28日)

「冷戦当時に戻る」NATOが対ロシア方針転換へ プーチン氏はどう出る?専門家に聞く(2022年6月28日)

G7が対ロシアで結束を見せていたその真裏で、前線から離れたウクライナ中部クレメンチュクのショッピングセンターが、ロシア軍によってミサイル攻撃を受けました。

中には1000人以上がいたとみられ、ウクライナ政府によりますと、少なくとも20人が死亡し、40人が行方不明、59人が負傷しています。

ウクライナ、ゲラシチェンコ内相顧問:「買い物に来た女性や子どもが救助されている。見て下さい。ジュース、ビールなどを販売していた場所だ。ロシア人の手でウクライナ人が殺されている。プーチンのせいだけではない、ウクライナをサポートしない他のロシア人も同罪だ」

国際社会は、衝撃を持って受け止めています。

国連事務総長報道官、デュジャリック氏:「クレメンチュクにミサイルが着弾しました。戦火とは無縁だった街です。戦闘が激化するのを懸念しています。危険にさらされ、殺害され、けがをする一般の人々のことが心配です」

フランス、マクロン大統領:「昨日起きたショッピングセンターへの攻撃。その一報をG7首脳全員で聞きました。私たちはこの凄惨な戦争犯罪を断固糾弾します」

ロシアの蛮行はどうやったら止まるのか。NATO(北大西洋条約機構)は今後、加盟国ではないウクライナにさらに深く関わっていくことを決めました。

NATOでは今後10年間「ロシアは直接的な脅威」と位置付けることになりました。即応部隊は現在の4万人から30万人以上へと大幅に増加され、指揮系統や部隊配置、後方支援など全てが刷新されます。

NATO、ストルテンベルグ事務総長:「冷戦以来最大規模の集団防衛力と抑止力の見直しです。全ての同盟国が、ロシアを安全保障上の最大かつ直接的な脅威とみなすことになります」

ショッピングセンターへのミサイル攻撃について、ロシア国防省は「高精度のミサイルで西側の武器のための貯蔵庫を攻撃した。火災が起きた工場の隣にあるショッピングセンターは閉鎖中だった」としています。

ウクライナのゼレンスキー大統領は「攻撃できるのは無情なテロリストだけ。間違った攻撃ではない。計算されたロシアの攻撃」と批判。国連はウクライナから要請を受けて、ロシアの空爆について協議する緊急会合を日本時間29日未明に開く予定です。

◆防衛省防衛研究所の兵頭慎治さんに聞きます。

(Q.ショッピングセンターへの攻撃をどう受け止めましたか?)

ロシアによる民間施設への無差別な攻撃は、ウクライナの別の場所でも見られましが、許されない行為です。ロシアは今回も含めて6回、クレメンチュクを攻撃していて、何らかの狙いがあるとみられます。

ロシアが主張しているように、ショッピングセンターに隣接して武器庫があったのかどうかは、いずれ真偽が明らかになると思いますので、追加情報を待ちながら見極めていきたいです。

EU・G7・NATOサミットが立て続けに行われていて、西側が結束しながらウクライナへの軍事支援、ロシアへの追加制裁を議論しようとしています。今回の攻撃は、欧米諸国へのけん制や、引き続きウクライナ全土を攻撃する意図があることを見せる狙いがあるのではないでしょうか。

(Q.NATOの方針転換をどう見ていますか?)

ロシアがこれだけの軍事侵略を行ったので、NATOの方針転換はある意味、当然だろうと思います。特にロシアと隣接するバルト3国やポーランドでは動揺が走っていますので、こうした国を安心させるためにも、全面的にロシアの脅威を打ち出しながら、東ヨーロッパの国々を防衛していくために、部隊増強をしていかなければいけません。

NATOはもともと、冷戦時代のソ連の脅威を念頭にできたアメリカ率いる軍事同盟です。冷戦が終わった今、かつてのNATOに戻りつつあるとも言えます。

(Q.NATOの方針転換に対し、ロシアが行動をエスカレートする可能性はありますか?)」

ロシア側の警戒は高まっていますので、すでにロシアの飛び地カリーニングラードでは軍備増強の動きが始まっています。

そして、ロシアの同盟国ベラルーシには、プーチン大統領が数日前、核弾頭を搭載可能な短距離弾道ミサイルの配備を表明しています。ベラルーシも巻き込む形で今後、ロシアとNATOの軍事的な緊張が高まっていく可能性があります。

(Q.ベラルーシは、弾道ミサイルの配置を望んでいますか?)

ウクライナ侵攻に関して、ロシア軍はベラルーシ領内から進軍しています。ただ、現時点でベラルーシは参戦まで踏み込んでいません。

NATOとロシアの軍事的緊張に、ベラルーシ自体は巻き込まれたくないが、プーチン大統領に逆らうことができない状況にあると思います。

今後、ベラルーシも交えた形で、NATOとロシアの軍事的緊張がどこまで高まっていくのか。ここに注目していきたいと思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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