『侮辱罪』厳罰化 改正刑法が成立 野党「言論の自由が委縮する」という懸念も (2022年6月13日)

『侮辱罪』厳罰化 改正刑法が成立 野党「言論の自由が委縮する」という懸念も (2022年6月13日)

『侮辱罪』厳罰化 改正刑法が成立 野党「言論の自由が委縮する」という懸念も (2022年6月13日)

参院本会議で13日、“侮辱罪”の厳罰化などを盛り込んだ改正刑法が成立しました。

厳罰化を求める声が上がったのは、約2年前。インターネットで中傷を受けたプロレスラーの木村花さん(当時22)が自ら命を絶ちました。そのとき、加害者に課されたのは“科料9000円”の略式命令でした。
木村花さんの母・木村響子さん:「これが犯罪だとわかれば、止めてもらえるんではないか。攻撃的な言葉を言う前に、一度、立ち止まって考えてもらえるのではないかと期待を持って、被害届を出した。やっと責任を問えるとなったときに、科料9000円ということで、抑止力にならない理不尽だなという思いもあった」

現在、“侮辱罪”の法定刑は、30日未満の拘留か、1万円未満の科料のみ。今回の改正で、1年以下の懲役・禁錮、または30万円以下の罰金に引き上げられ、時効は1年から3年に延びます。

木村花さんの母・木村響子さん:「やっとという思いが私の中では強いが、スタートとして、これが犯罪だということを、まずは知ってもらって、そこから細やかな法整備への道がつながってくるのではないか」

去年、侮辱容疑で立件されたネット上の中傷事件は全国で38件。ただ、その背後には、無数の書き込みがあります。

自身も誹謗中傷を受けた経験があり、17年前から削除などの相談に乗ってきた森山さん。現在は、NPOを立ち上げ、活動しています。投稿者の年齢や性別はさまざまですが、共通することもあるといいます。
NPOビリオンビー・森山さん:「みなさん正しいと思って、正義だと思っている方がいるし、罪になる意識が全くない人が多い。法改正しても自分のこととして認識する人はいない。いくら法改正したとか、厳罰化したと言ってもやめない」

投稿者を特定するためには、SNSを運営する側が情報開示に応じるようなルールも必要だと話します。
NPOビリオンビー・森山さん:「結局、開示請求しなければ書き込んだ人にたどり着かないから、そこをたどり着くところまでやっていただくのが希望。開示しなかったら何か罰則と、そこまでやっていただいたら違うと思う」

厳罰化は、この夏からです。

今回の厳罰化をめぐって、国会ではさまざまは意見が出ました。ネット上の誹謗中傷を防ごうとする立場に変わりはありませんが、立憲民主党などは「政治家への批判も罪に問われる恐れがあり、言論の自由が委縮する」と指摘。立憲民主党は「政治家に対する批判など公益性、真実性があると認められる場合は罰しないなどの特例を定める」とする対案を提出していました。この対案は、法務委員会で否決されていて、13日の本会議では、政府案が賛成多数で通りました。

これらの懸念について、法務省と警察庁は「正当な言論活動を処罰対象とするものではない」としています。

また、今回の改正法の付則には施行から3年後に表現の自由が不当に制約されていないか検証することが盛り込まれました。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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