避難男性「何もかも置いていく」激戦続く東部 州知事は徹底抗戦訴え(2022年6月13日)

避難男性「何もかも置いていく」激戦続く東部 州知事は徹底抗戦訴え(2022年6月13日)

避難男性「何もかも置いていく」激戦続く東部 州知事は徹底抗戦訴え(2022年6月13日)

 ゼレンスキー大統領は激戦が続く東部地方について、「ロシア軍は4万人以上の兵力を失うことになる」と警告しました。一方で、ロシア化が進む占領地域の市議会議員が番組の取材に応じ、食べ物もないなかで従わざるを得ない現状を話してくれました。

 上空を飛ぶのは、前線に向かうウクライナ軍の戦闘機です。

 東部ドネツク州のバフムト。次々と戦火を逃れる農業用の車とすれ違います。

 こうした車の多くがロシア軍に破壊されたり、略奪されたりしています。

 町に近づくにつれ、軍用車が増えてきました。

 バフムトは、ロシアの次なる標的になるとみられている町です。

 町を出る決意をした人々もいます。

 猫を連れて避難する男性は養蜂を営んでいました。

 避難する男性:「何もかも置いていきます。蜂も家も」

 州知事は徹底抗戦を訴えます。

 ドネツク州・キリレンコ知事:「必要な限り国のために立ち上がり、少しの領土も譲りません。未来に何が起ころうとも我々は自分の土地を守ります」

 しかし、町は常に砲撃の音に包まれています。

 警察官:「空襲は常にあります。朝も夜も・・・。いつ来るか分かりません」

 骨組みがあらわになっているのは、学校です。

 近くでは農業用の倉庫も破壊されました。

 CNN、ウェデマン特派員:「なぜロシア軍がここを狙ったか分かりません。3回攻撃され、直近は木曜の朝です。穀物を標的にしたのかもしれません」

 ロシアの侵攻により、ウクライナでは穀物が輸出できない事態に陥っています。

 農家の男性:「穀物倉庫です。戦争が始まったため、何カ月も出荷できていません」

 この倉庫も攻撃を受けています。

 農家の男性:「穀物は倉庫に保管していますが、砲撃で多くが損害を受けています。屋根は見ましたか?」

 ロシア側の目下の狙いは東部ルハンシク州の全域掌握です。

 先月からウクライナ側の仮の州都セベロドネツクへの攻勢を強めています。

 セベロドネツクの攻防は一進一退。膠着(こうちゃく)状態が続いています。

 ゼレンスキー大統領:「セベロドネツクでは激しい市街戦が続いている。敵の侵攻を何週間も食い止め、強固に防衛をしている人々を誇りに思う」

 ゼレンスキー大統領は、ロシア側が東部ドンバス地方の戦闘に予備役を投入しようとしていると指摘し、兵士を数の上で優位に立つための捨て駒にしていると非難しました。

 ゼレンスキー大統領:「どんな予備役なのか、ひそかに動員された訓練不足の徴兵を戦地に投入している。ロシアの将軍たちは人々を数のうえで優位に立つための大砲の餌(えさ)としてしか見ていない」

 そして、今月中にロシア側の死者が4万人を超えるかもしれないと警告しました。

 一方、ロシア側、自称・ルガンスク人民共和国のトップは。

 自称・ルガンスク人民共和国、パセチニク氏:「セベロドネツクは100%は“解放”されていない。まだ国枠主義者のウクライナ兵がアゾト化学工場に残り、そこから町を砲撃している」

 ロシア側は、ウクライナ兵が立てこもっているとしてアゾト化学工場を攻撃しています。

 ウクライナ当局によると、この工場のシェルターには従業員200人、住民600人が避難しているといいます。

 思い浮かぶのは、マリウポリのアゾフスタリ製鉄所です。ただ、州知事はアゾト化学工場にはアゾフスタリ製鉄所のような広大な地下施設はないとしています。

 セベロドネツクと川を挟んだ隣町のリシチャンシクでは、警察が住民の避難を続けています。

 避難する女性:「このような状況なので、避難せざるを得ません。もううんざりです。庭で女の子が砲撃で殺されました。2人の子どもが残されました。だから避難を決めました。でも戻れることを願っています」

 州知事によると、リシチャンシクでは12日、ロシア側の攻撃で6歳の少年が死亡したといいます。

 ロシアに占領されているウクライナ南部、ヘルソン市に残る住民に送ってもらった映像です。スーパーマーケットに並ぶのはロシア製の商品。

 一方、ウクライナ製のビールからはラベルが剥がされ、値札には商品名もなく、ただ「ボトル1リットル」とだけ書かれています。

 町に掲げられた看板に書かれているのは、「ヘルソン州。ロシアの歴史が根付いた地」。

 ロシアの国営テレビは、住民にロシアのパスポートが華々しく発給される式典を報じました。

 ヘルソン住民:「幸せだ。人生の歴史的な瞬間だ」

 壁にはプーチン大統領の肖像も張られています。

 ヘルソン市の議員は、住民は拒否できない状況だと話します。

 ヘルソン州知事顧問・ステリマシェンコ議員:「ヘルソンの住民の気持ちは、非常に複雑な状況にあります。電波がなくロシア側からの情報しか得てないため、絶望しています」

 ヘルソン市からは人口の半分ほどが避難したとみられますが、残った人はロシア側に従わざるを得ないといいます。

 ヘルソン州知事顧問・ステリマシェンコ議員:「食べ物も仕事もない。ロシア側から家族のために稼ぐ機会を与えられたら拒否できるはずがない」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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