「核実験が近いのでは・・・」北朝鮮“連続発射”東アジアの安全保障に変化は 専門家解説(2022年6月6日)

「核実験が近いのでは・・・」北朝鮮“連続発射”東アジアの安全保障に変化は 専門家解説(2022年6月6日)

「核実験が近いのでは・・・」北朝鮮“連続発射”東アジアの安全保障に変化は 専門家解説(2022年6月6日)

米韓両軍は6日早朝、8発の弾道ミサイルを日本海に向けて発射しました。けん制のためか、前日の北朝鮮と同じ数を発射しました。

韓国軍によりますと、北朝鮮は5日、西岸・内陸・東岸の4カ所から2発ずつ合わせて8発の弾道ミサイルを、わずか35分の間に発射しました。北朝鮮のミサイル発射は、今年だけで17回目になります。

岸防衛大臣:「短時間で3カ所以上から、極めて多い発数の発射というのは、異例ともいえます。飽和攻撃などに必要な連続発射能力の向上を狙った可能性がある」

飽和攻撃とは、迎撃能力を上回る数のミサイルを同時に発射することで、防御側の迎撃を困難にさせる攻撃です。

一方で、専門家は別の狙いを指摘しています。

軍事ジャーナリスト、黒井文太郎氏:「今回は米韓側の演習に対抗したタイミングなので、1発ずつ撃っただけではプレッシャーとして弱いという判断か。米韓軍の演習に対して反発するのは、一つのセレモニーとして必要ですから」

4日までの3日間、原子力空母が参加する米韓合同軍事演習が4年半ぶりに行われていました。8発ものミサイル発射は、この演習へのカウンターだという見方もあります。

加えて、別の脅威も迫っているのかもしれません。

2006年、一日で7発もの弾道ミサイルを発射した北朝鮮。その3カ月後に行ったのが、初となる核実験でした。この前例から、韓国メディアは「7回目の核実験が近いのでは」と分析しています。

◆防衛省防衛研究所の兵頭慎治さんに聞きます。

(Q.北朝鮮に対抗するかのように、米韓がミサイルを発射したことをどうみますか?)

北朝鮮の核ミサイル開発に対して、アメリカも韓国も非常に大きな懸念を持っているということだと思います。アメリカは、必ずしも北朝鮮だけの問題を切り取っているわけではなく、東アジア全体の安全保障を見た時に、中国とロシアの軍事的な一体化も懸念しているのだと思います。

ウクライナ問題で、ロシアは国際社会から孤立して、すがる所は中国しかなくなっています。最近も中国とロシアの爆撃機が合同で飛行訓練を行いました。それはアメリカのバイデン大統領が東京を訪問して、クアッド首脳会談が行われているタイミングでした。それ以外にも、中国とロシアの軍の船10隻が去年、日本海を航行する異例な動きもありました。

こうしたなか、キッシンジャー氏がダボス会議のオンライン会合で、ウクライナは早く停戦に応じるべきだと発言をしました。この背景も、あまりロシアを追い込んでいくと、中国に接近して、中ロの軍事的な一体化する恐れがあり、東アジアの安全保障にとって好ましくないという懸念の声が、アメリカから強まりつつあるからだと思います。

それに北朝鮮問題も加える形で、東アジアの安全保障環境がより一層、複雑化・緊迫化、さらに複数の脅威が同時に発生する懸念もアメリカは持っていると見ています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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